挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

182/288

181.脱力した理想の動き

 今から百年前、ハニアの戦いというのがあった。
 戦いは侵略戦争の中に起きた。

 当時のアイギナ王国は他国の侵略をうけ、連戦連敗を喫し、敗色濃厚となった。
 このままでは国が滅ぶ、と判断した当時の国王は領土の半分を差し出すという条件で停戦の交渉をはじめた。
 その間も敵の侵攻は止まらなかったが、王は非抵抗・服従の姿勢を見せることで停戦交渉を進めた。

 それに抗ったのが当時の第一王子である。
 負け続けている状況で停戦交渉しても意味がないとして、更なる抗戦を唱えた。

 それを国王は認めなかった。
 王子の意見はことごとく却下され、やがて全ての軍事権限を剥奪された。

 王子は従った――表面上は。
 国王の命令に従って軍から手を引いたが、一方で直属の部下二百人を連れて「散歩」に出かけた。
 散歩の先はハニア。敵軍100万が迫っている場所だ。

 ハニアは山道と湖によって挟まれた極端な地形で、大軍の展開に不向きだった。
 その地形を最大限に活用して、王子は100万人の敵兵を殲滅した!

 200人で100万を殲滅した戦いは「ハニアの戦い」と呼ばれ、歴史の一ページに刻み込まれた。
 そしてこのハニアの戦いで敵国は兵力を大きく消耗し、それが遠因となって、アイギナが息を吹き返して、やがて戦争に勝ったという。

 それ以来、「ハニアの戦い」は劣勢を覆した合戦の代名詞になった。
 個々の武勇が大きく戦況を左右するそこを初戦につかって、セレーネに自信をつけさせてやろうというのがヘレネーの考えである。

     ☆

 セレーネ・ミ・アイギナは剣を振るった。
 200名の兵を先導(、、)して、剣を振るって突進した。

 率いる、ではない。先導して、である。
 彼女は他人を率いる能力を持ち合わせていない、出来るのは個人の武勇で突進を続けること。
 だから今の彼女は200人の兵を率いているというより、201人の先頭として特攻している、それだけである。

 敵はハニアから出てきた迎撃部隊1000、セレーネらの実に五倍である。
 セレーネは劣勢に臆しなかった、突進を続けた。

 かの「ハニアの戦い」になぞらえた、それと同数の200という伝説的な数字――によるものでは決してない。
 セレーネは未だに無知の領域だ、この国の歴史上最大の栄光であるハニアの戦いの事もまだろくに知らない。

 セレーネを安心させているのは背中にいる存在。
 200人の兵士よりも更に背後にいる、神輿の上に乗っている男。

 アイギナ国王の御旗を掲げている、その姿をこれでもかと強調しているしわくちゃの老人。
 もちろんアイギナ国王本人ではない。
 彼女がいまだに「ショウ」と呼び続けている魔剣使い、結城カケルだ。

 そこにいてくれてる、見てくれてる。
 その事がセレーネに勇気を与えた、あらゆる恐怖から彼女を守った。

 彼女は未だに無知の領域にある。
 今の自分を突き動かしている気持ちの正体が、一般的に「恋」と呼ばれている事を彼女はまだ知らない。

 しらないが、その効果は強く出た。
 セレーネは突進した、201人の中の誰よりも勇往果敢に突進して、誰よりも多く兵を斬った。

 セレーネはナナから教わった、基本の突き、斬り、払いを繰り返して敵を斬った。
 最初はきっちり学んだ行動を再現していたが、疲労が蓄積していくのとともに動きが鈍り、形が崩れていった。

 それがあるラインを超えた頃、彼女の動きは変わった。
 人間は一定のラインまで疲労がたまると、体がもっとも自然な、理想的な動きをする様になる。
 彼女のそれは、強くまぶたの裏に焼き付けている程の動き。
 夢にまで出てくる動き。

 そうして、動きが変わった。

 血風が、舞った。

     ☆

 神輿の上から戦場を見た。
 セレーネは奮戦している。200人と1000人で人数に五倍の開きはあるが、狭い地形で同時に展開出来る()での数はほとんど同じだ。
 ヘレネーがここを選んだのは大正解だったな。

 大正解、なんだが。

「なんか……あの動き」
(くく、愛されてるな)
「ああ、やっぱりおれの動きを真似てるのか」
(スピードもパワーもだいぶ劣っているが、動きだけを見ればうり二つだな)

 エレノアのお墨付きをえた。
 そう、最初はガッチガチな動きだったセレーネが、途中からおれそっくりの動きになってきた。
 剣を振るって戦う姿はおれそっくりだ。
 そんな自分そっくりの動きを見るのは複雑だが。

(よほど強い想いでなければあそこまで再現できまい)

 そう考えると面白くもあった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ