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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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179.無色透明

 月明かりに照らされる俺の寝室、デルフィナに腕枕しながら話をした。

「三公摂政が唯一ひっくり返るとしたら、それはアイギナ王の存在だ」
(貴様が力づくでひっくり返す可能性もあるがな)

 楽しげに言ってくるエレノア。
 空気読まないベッド下のそいつにデコピンだけして、デルフィナに話の続きをする。

「だから国民には誘拐された事を伏せつつも、国王の消息を探した。そしてお前が崖の下からベッドを引き上げて渡した。それはいい、だがアイギナ王ってのは何も今ねたきりのあの老人だけじゃない――」

 デルフィナが答え合わせするように、淡々とした口調で話しに合流する。

「――セレーネ・ミ・アイギナもアイギナの女王になれる正統性がある」
「公爵どもからすれば、国王が死んだ後警戒するのはセレーネだけだ。国王は今でも表向きは王宮で病にふせたままで、三公摂政の正統性を保たせてる。それを揺らがせる唯一の存在がセレーネ。セレーネが挙兵して向こうを逆賊と呼んだ場合、正統性が完璧ではなくなる」
「セレーネが挙兵する場合まとまった兵を調達する必要がある。周辺諸国は三公摂政の正統性を政治的に認め、兵を動かす気配はまったく無い」
「その中で一箇所だけ大きく兵や武器を揃えてる、しらべてみたらなんと、アイギナ王のベッドを探してきてくれた商人ではないか」

 ちょっと大げさに、芝居がかった口調でいった。

「あの雌狐め、何かを隠しているな? 小娘と繋がってる可能性もあるぞ。――はっ! マロネイを手に入れたのはこれを見越してのことか!」

 デルフィナまで芝居口調になった。悪役貴族っぽくなった。

「むしろ雌狐が今回の主犯か!? これは捕まえて話を聞かなければな――でやってきたわけだ」

 デルフィナと二人で現状を復習した。

 大半は推測だが、当たらずとも遠からずってところだろ。
 ちなみに襲ってきたやつらもオーラで拷問したが、デルフィナを「しゃべれる」状態で連れてこいという命令を受けただけで、他は何も知らない下っ端だった。

 彼女は悔しそうに下唇を噛んだ。

「完全にわたくしのミスですわ。挙兵の動きを完全に隠蔽するべきでした」
「きにするな、大した失敗じゃない」
「いいえ、大失敗です。隠すべき顧客に繋がる動きをしてしまったのですから」
「次は気をつければいい」

(くく、貴様はとことん自分の女に甘いな)

 エレノアにまたデコピンしてやった。

 別に甘いって事はないだろ。
 失敗したらつぎは失敗しないようにする。あたり前の事だ。

     ☆

 デルフィナのところをはなれ、応接間に戻ってきた。
 セレーネはあいかわらず、オーラに包まれたまま空中に浮かんでいる。

 壁に打ち付けられた侵入者も割られたガラスも片付けられてあっという間に元通りになったけど、セレーネだけそのままだった。

 迷彩オーラで包んだままだから、だれにも見つからずにそのままになってる。

(そろそろだな)

 エレノアがつぶやいた直後に、セレーネが目覚めた。

「……ショウ?」
「起きたか」
「ここは……あたしは……」

 起き抜けのセレーネはぼんやりしてまわりをきょろきょろ見回す。
 やがて、自分のおかれた状況を思い出す。

「ショウと話して……いろいろ見せてくれたんだ」
「そういうことだ。パウロスの真実が分かったか?」
「あれは真実なの?」

「どうなんだ?」
(われが見たとおりのままを見せただけだ。貴様流にいえば『モノローグのない映画』ってところだ)

 おれと深く繋がるようになってから、エレノアは現実世界の言葉を使う事がたまにある。
 おれの知識を借りての説明はわりとありがたい。

 たしかにそんな感じだった、セレーネに見せる前におれの頭の中に流れ込んできたのは彼女が言った「モノローグのない映画」っぽい感じだった。
 納得して、セレーネに言う。

「エレノアが見たままの光景を見せてやった」
「……見ての通りだ。パウロス・アイギナはチンピラ上がりで、本人は別に何の能力も持ってない。ケンカは弱いし、字も読めなかったっけ? 未亡人大好きでそれがらみの失敗を何回もしたし、酒も弱くてそっちの失敗も山ほどした」
「うん……」

「でも、妙に愛嬌があって、まわりが『こいつ仕方ねえからたすけてやっか』っていろいろやってあげた結果、国を作った」
「うん、そうみたいだね」
「お前とそっくりだ。人間としてダメなところがな」
「だから……パウロスを目指せ、なの?」
「ああ」

 頷くおれ。

「あたしは剣しか振るえない、他の事はてんてダメダメのポンコツなの。でもしたいことがあるからみんな助けて」

 彼女の口調をまねながらいって、頬にそっと触れる。

「お前はそれでいいじゃないか」
「……ショウ」
「ああ」

 うなずくおれ。
 セレーネは真顔になった。
 まっすぐと、今まで見てきた中で一番まっすぐな視線で、まるで挑みかかるような視線でおれを見つめて、言った。

「うん、わかった。それが一番いいよね」
(ほう)

 エレノアの感情が流れてきた。
 意外そうな、それでいて感心しているような。

「あたし、ショウの言うとおりにする。あたしが自分でできない事はあたしよりすごい人に助けを求める。昔みたいに威張り散らしてじゃなくて、誠心誠意お願いして、たすけてもらう」

 いじけてない、ヤケクソでもない。
 自分ができない事は助けてもらう、ただそれだけ。
 それが一番の最適だと思って、言ってる顔だ。

「ショウ、あたしを助けて」
「任せろ」

 頷くおれ、花が咲いたように微笑むセレーネ。


 これが、後の世に「無色の女王」と呼ばれる。
 自分の主張は一切することなく、臣下のよき意見にはすべて「いいね、それで行こう」とフランクに受け入れる。
 新しいセレーネ誕生の瞬間だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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