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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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173.祝福し合ういい女

 アイギナ王都レティム、その城下町。
 おれはヘレネー、そしてリカの二人を連れて街中を歩いていた。

 メルクーリ王国第三王女、『テレシアの双花』、ヘレネー・テレシア・メルクーリ。
 カランバ王国現女王、『薔薇園の主』、リカ・カランバ。

 どちらも超有名人で、本来なら国賓待遇で迎え入れられるべき女たちが、無造作に街を歩いている。

「本当に……ばれないんだね」

 リカが感動した様子でつぶやいた。

「カケル様の新しい力よ。このオーラに包まれていない人間には別の見た目に見えるそうよ」
「どんな風に見えるの?」

 リカがヘレネーに聞き返して、ヘレネーがおれを見たから、リカもこっちをみた。

「普通の町娘だ、目立たないように苦労した」
「カケルが苦労する程の力なの?」

「かなり苦労した。お前ら綺麗だからな、顔が見えてるところで地味な町娘をイメージするのは難しかった。見たままからイメージするとどうしても綺麗になってしまう」
「そ、そうなの……」

 リカは赤面した。綺麗だって言われたのが恥ずかしかったみたいだ。
 赤面するリカは見てて飽きない、出会った頃が人形だった分、今の豊かな表情は見てて飽きない。

「カケル様。わたし達は何をすればいいのでしょう」
「うん?」
「ご命令なら何でもします」

 ヘレネーが真顔で言った。
 リカも照れ顔から真顔になっておれを見つめた。

 二人ともおれの命令ならなんでもする、むしろ命令してくれ、って顔に書いてある。

「そう構えるな。目的は二つ。まず前回の事がアイギナの民にどう伝わってるのかの情報収集だ」
「では酒場などがいいですね」
「買い物をして回ろう。店をやってる女の人は口が軽い」

 ヘレネーとリカが早速それぞれの案を出した。
 どっちもきっと効果的に情報を収集出来るだろう。

「まあ待て」

 それで動きだそうとした二人を引き留めた。

「もう一つ目的がある、二人とデートする事だ」
「……でーと?」
「……何故?」

 ヘレネーもリカもきょとんとした。
 一つ目の目的とあまりにもかけ離れて、一瞬思考がついて行かなかったみたいだ。

「二人とも大変だっただろ。セレーネに色々教えるの」

 今、セレーネの教育のためにおれは自分の女を次々と投入してる。

 ここにいるヘレネーやリカの様な王族たちの女はもちろん、世界のあらゆる知識を頭におさめている大賢者オルティア、元から強くてくじ引きのチートをいくつか譲った事でほとんど(おれ抜きの)世界最強の剣士になったナナ。
 商人のデルフィナや冒険者のイオパーティーとか、果てはメイド幽霊たちまで投入した。

 全ては、セレーネを教育するため。
 なにも知らない、知らなすぎな彼女を教育するため。

「いえ、セレーネ様は物覚えがいいので、苦労というほどの事は」
「物覚えがいいのは同感。でもワガママな性格には手を焼いてる」
「ワガママですけれど、知らない事は見栄を張らずに知らないと言える素直な性格じゃありませんか」
「それは確かにそうだけどね」

 ヘレネーとリカ、二人はここにいないセレーネを評価した。
 その評価を聞きつつ、二人を連れて街中を歩く。

 ふと、雑貨屋らしき店を通り過ぎた。
 並んでる商品の中に目についたものがあったから店にはいってそれを手に取った。

 開いてみる、いい感じだった。
 即決で買って、戻ってきてヘレネーに渡す。

「これは……扇子?」
「ああ、開いてみろ」

 飾りのついた扇子は開くと、切り絵のようになっていた。
 扇子の面は精巧にくりぬかれて、大輪の花が描かれている。

 派手でも下品でもなく、シックな感じの扇子だ。
 それを開いて、閉じて、持って。
 ヘレネーは驚いた顔でおれをみた。

「ああ、やっぱりお前にはそれが似合う」
「覚えていてくれたのですか」
「むしろずっと持ってる」

 といって、おれは扇子を取り出した。
 はじめて会ったときにヘレネーからもらった、メルクーリ王家の紋章が入った扇子。
 ずっと持ってるそれをヘレネーに見せた。

「カケル様……」

 目が潤むヘレネー。
 そのまま胸の中に飛び込んでこないのがいかにも奥ゆかしいヘレネーらしい。

「よかったねヘレネー」
「はい」

 笑顔で見つめ合って、頷きあう二人の女。
 ヘレネーのことを祝福するリカにも何かを買ってやろうと思って、更に街をあるく。

 また、足が止る。
 見つけたんじゃない、聞こえたのだ。

 雑談に近いやりとりの中に気になるワードを耳が捕らえた

「本当にどうなるんだろうなこの国。男爵が反乱を起こして、王太子様を殺して、王女様をさらっていくなんて前代未聞だ」
「国王が病に倒れてからろくでもない事ばかりが起きる」
「なあに、災い転じて福となす、だ。この事がきっかけで三公摂政が始まるんだ。公爵様達のもとで国はもっとよくなっていくさ」
「そうだといいんだけど……」

 昼間から露店で酒をあおってる老人が三人いた。
 話に耳を傾けていると、どうもあの日の事がすでに蔓延してるみたいだな。

 どうやらおれが反乱をおこして、キモンを殺してセレーネを誘拐した、というストーリーになってるみたいだ。

「あんな事を」
「カケル様に全てをなすりつけるなんて許せませんわ」

 同じように立ち止まって、状況を理解して、耳を傾けていた二人の女が怒っていた。
 リカはストレートに感情を露わにして、ヘレネーは静かに怒っていた。

「イリスと連携して、外交ルートで圧力をかけます」
「こっちもやるよ。いくつか期限が近いトリ決めがあるから、それを中心にやる」

 静かにうなずき合う二人。
 なんか今の一瞬でいろいろ決められてる。

「二人ともやめろ」
「ですが」
「このままじゃカケルが全部の責任をかぶってしまうよ」

「実際おれがやったことだしな、キモンを殺したのもセレーネを誘拐したもの」
「でもそれには事情があるじゃない」
「言わせとけ。いやむしろ二人は外交的に三公摂政のバックアップをしてやれ。向こうの正統性を補強する何かが出来るだろ?」

「それは……」
「出来るけど……」

 互いを見比べる二人。
 やれるけどなんで? って顔だ。

 その顔はしかし一瞬だった。
 おれが説明しようと口を開きかけた瞬間、二人はもう理解していた。

「セレーネのためだ」
「ただ教育を施すだけではなく、その後のハードルまで用意するつもりなんだわ、カケル様は」

 そういうことだ。
 というか、二人とも察しがよすぎる。

 やっぱりいい女だ、リカもヘレネーも。

 そのリカだが、何故か唇をすぼませて、いじけた顔になった。

「どうした」
「だって、わたしの時はハードルを用意してくれなかった」
「なんだそんな事か」
「そんな事じゃないよ、わたしだって――」
「リカは最初からいい女だったから、必要なかったんだ」
「――カケルの試練を……え?」

 きょとんとなってしまうリカ。

 リカは最初から賢かった。
 籠の鳥で囚われて、人形のようになっていても隠しきれない才気――賢さがあふれていた。

 ハードルなんて、用意する必要はなかった。
 むしろ枷を取り除いてやるだけで充分だったんだ。

「わたしが、最初から?」
「ああ、いい女だった」
「うわあ、どうしようどうしよう。カケルにそんなこといわれるなんて思わなかったどうしよう」

 リカはじたばたした。
 やっぱりだいぶ感情表現が豊かになってきて、見てて飽きない。

「よかったわねリカ、そう言ってもらえて。今日来た甲斐があったわね」
「うん!」

 また笑顔で見つめ合って、頷きあう二人の女。
 祝福し合う二人。そうする二人は、やっぱりとんでもなくいい女に見えた。

 いい女にむらむらした。
 おれは二人をそっと抱き寄せた。

 それだけ二人は察した。
 ヘレネーはおれの胸に顔を埋めて、リカは目を閉じて唇をつきだした。

 二人に一回ずつキスをしてやってから、近くの宿屋に連れ込んで可愛がった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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