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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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171.魔剣を侵す男

「なりふり構わないで来たか」
(くく、よほど貴様に怯えていると見える)
「にしても用意がよすぎるとおもうんだが」
(王太子キモンがいなくなったので、それなりの用意を調えておく人間がいるのも不思議ではない)
「それもそうか」

 頷きつつ、守り切ったベッドに手を触れる。
 あとはそこに寝てるアイギナ王ごとワープすれば一丁上がりだ。

「待て!」

 若い男の声が聞こえた。
 振り向く、騎士の格好をした端正な顔つきの男が部下を率いてぞろぞろやってきた。

 数は百あるかどうか。

(ものの数ではないな)
(強さも普通みたい、おとーさんなら楽勝だね)

 魔剣二人が次々にそういう。
 身のこなしからして普通クラスの使い手ってところだし、確かにたいした事ない。

 それで無視してワープの羽で飛ぼうとしたが。

「包囲しろ! 相手はあの魔剣使いだ、慎重にいくぞ」

 騎士の部下がおれのまわりをベッドごと取り囲んだ。

(むふ、今気づいたがこれはちと面倒臭いことになっているのではないのか?)
「面倒臭い?」
(この場をやり過ごすのは造作も無い。しかしヤツは来てすぐに貴様の事をしった、つまりアイギナは貴様の関与を認識していることになる)
「……屋敷か」
(うむ)

 そうか、そうなるのか。
 ここでアイギナ王を連れ去っても、おれが関わってる事が完全に知られた以上、レイウースの屋敷が何をされるのかわかったもんじゃない。

 ナナがいるし、鍛え上げた奴隷兵たちもいる。イオのパーティーも時々くる。
 頭脳面は大賢者オルティアがいる
 おれがいてもいなくても、何かをされそうになってもどうとでもなるだろう。

 だが、面倒臭い。
 エレノアの言うとおり面倒臭いことになった。

(この場でケリをつけたほうがよかろう)
「……いや、ケリは後だ」
(なぜだ?)
「セレーヌがどうするのか、もう一度だけ話を聞いてみたい」
(あれもいい女(、、、)にするのか?)

 答えない。
 確証はないけど、セレーヌに素質を感じてる。
 おれ好みのいい女になりそうな素質を。

 だから今回の事も、最終的に彼女にやらせようと考えてる。
 ここでおれが全部片付けないで、彼女にやらせようと。

(貴様の道楽に付き合うのはやぶさかではないが、現状どうやり過ごす)
「考えがある。エレノア、ひかり。手をかしてくれ」
(ふむ?)
(ひかり、何をすればいいの?)

 魔剣二振りを構えた。
 目を閉じる、深呼吸したヘソの下に力を込める。

「観念したか、もう遅い!」

 何か言われてるっぽいけど、無視する。

 強く母娘の存在を感じて――力を引き出す。

(――っ!)
(ひゃう!)

 目を開ける、オーラが体から出ていた。
 勢いよくふきだすんじゃなく、ゆっくりと、空間を侵食するかのように広がっていく。

「な、なんだこれは」
「ひるむな! あんなのこけおどしだ!」
「しかしゴゴフス様、あれは――うわあああああああ」
「ひいいいいいい!」
「や、やめろおおおおおお!」

 オーラに取り込まれた騎士の部下達はつぎつぎと悲鳴と絶叫をあげた。

 恐怖。

 魔剣の母娘から引き出した恐怖をまわりに拡散させた。

 幼く無邪気なひかりはピュアな恐怖、例えるのなら鋭い刃で一刀両断されたような恐怖。
 永く魔剣だったエレノアのはどろっとした混沌のような恐怖、例えるのならハンマーで殴られていつまでも体に鈍く残り続ける恐怖。

 二種類の恐怖を引き出し、拡散させた。
 オーラは瞬く間に王宮――『冬の宮殿』を包んだが、足りない。

「もっとだ、もっと行くぞ」
(ん……あぁ……)
(がんばる!)

 更に力をこめる、魔剣を強く握りしめて力を引き出す。
 オーラが更に広がる、広がり続けて行く。

 広まるオーラはやがて城下町――さらには王都全体を覆った。

 恐怖が――アイギナ王都レティムを容赦なく包み込んだ。

     ☆

 ベッドごとワープして、マロネイのデルフィナ商会に運んできた。

 待っていたデルフィナがそれをみてあきれ顔をした。

「今度は国王陛下ですのね」
「予想してただろ、お前なら」
「ええ、そうですわね」
「とりあえず保護を頼む。内密にな」
「もちろんですわ、国王陛下を誘拐したなんてしられたら流石に首が飛びますわ」

 あきれつつ、冗談めかしていって、デルフィナは信頼出来る部下とやらを呼んで、あんな事があっても眠ったままの国王を連れて行った。

 さて、これで一段落。
 つぎはセレーネ、かな。

(まったく、ほどほどあきれたのでしゅ)
「……でち?」

 頭の中に響く声がいつもの違って聞こえた。
 口調や言い回しはエレノアのそれ、だが。

(どうしたでしゅか)
「それはなんの冗談だ」
(なにをいってるのかわからないでしゅ)

 ……。
 いやこっちがわからねえよ。
 なんでいきなり舌っ足らずの上に幼児言葉になってるんだお前は?
 なにがあった。

(おかーさん、なんかかわいい)
「かわいい?」
(うん、なんかちっちゃい子みたい)
「ちっちゃい子……?」

 もしかして、って思って、おれは念じながら歩いて、くじ引き所にいどうした。

 不思議空間のくじ引き所、ここでだけ、エレノアは人の姿に戻れる。
 そうしたみたのは……エレノアらしき幼女だった。

 もともとエレノアは幼い少女のような外見をしている。
 それが更に幼くなっていた!

「わあ、おかーさんかわいー」

 ひかりはエレノアに抱きついた。
 普段はエレノアがちょっと大きくて、見た目が似てることもあって姉と妹っぽくみえるが、今はその姉と妹が完全に逆転していた。

 小学校一年生の(ひかり)と三歳児くらいの(エレノア)

 ぱっと見そう見えてしまう。
 一体どうしたんだこれは。

「お客さん、何度も言いますけど変な団らんをここに持ち込まないでください」

 くじ引き所のスタッフがいつも通りあきれた声で話しかけてきた。ひかりを見る目がどこまでも優しいのもいつも通りだ。

「わるい」
「それに非常識です、人間のくせに魔剣を侵食するなんて」
「魔剣を侵食?」
「お客さんの力が魔剣を上回ったので、その力が魔剣の精神を侵食したんですよ。それでここにいる姿までかわったんです。お客さん、完全に魔剣を上回っちゃいましたね」
「それでなのか? いやしかしひかりは変わってないぞ」
「娘さんだから遠慮したんじゃないんですか? 子供と遊ぶときって普通に手加減しますし」
「ああ、なるほど」

 確かに子供と遊ぶときは手加減するな。
 それに普段から――宣言とおりエレノアを全力で使うけど、ひかりは無意識にセーブしてるかもしれない。
 なるほど、それでエレノアだけかわったのか。

「ま、エレノアほどのクラスの魔剣ならすぐに戻ると思いますよ。それよりもお客さん、ここはくじ引き所なんですから」

 冷やかしはお断りってことか。
 くじ引き券を一枚取り出して、渡した。

「じゃあこれで一回だけ」
「本当に団らんしに来ただけなんですね……いいですけど」

 呆れつつも、チビエレノアとひかりのいちゃいちゃに、スタッフも目尻が下がりっぱなしだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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