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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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169.宣戦布告

 一瞬きょとんとした後、セレーネはアブラアムに向かってわめく。

「そうよ、逆賊よ。あいつ、ううんあいつら逆賊よ。さっさとあいつらを捕まえちゃってよ!」
「残念ですが、それは不可能です。今や政治的な正当性は向こうにあります」
「訳わかんない! あたしは王女なのよ、第一王女なのよ!?」
「三公摂政が発動された時点で向こうが上になります」
「それよそれ訳わかんない!」

 セレーネはわめき続けた。
 子供の様に、一方的にアブラアムに向かってわめき続けている。
 それをアブラアムが柳の如く受け流している。
 静かに、理詰めで一つずつ反論している。

「あれでは……無理ですわ」

 おれに抱かれたままのヘレネーが言う。
 確かにあれじゃどうやったって無理だ、傍から見て聞き分けのない子供を大人が諭して宥めてる、そんな風にしかなってない。
 セレーネはというと、自分が王女だから、その一点でわめいているだけ。
 あれじゃ好転するはずがない。
 しかたない、助け船をだすか。

「アブラアムといったか、一つ教えろ」
「……なんだ?」
「三公摂政終了の条件は?」
「……」

 答えないアブラアム、おれを睨む。
 その目は、あきらかにおれの事を警戒していた。

「どういう事よ」

 セレーネが聞いてきた。

「三公摂政はあくまで摂政、摂政ってのはつまり君主の代理で政治をするって事だ。国をそのままもらうって事じゃない、終わり――権力の返還もあるって事だ」
「そうなの?」
「昔も三公摂政があったのに、今王国が王家のものだってのが証拠だろ」
「なるほど! どうなのアブラアム!」

 再度問い詰めるセレーネ。

「……」
「答えなさいよ!」

 セレーネつかつか近づいていって――なんとアブラアムを蹴った。
 無抵抗で蹴られたアブラアム、顔をゆがませながら、答える。

「王が政事を執り行えるようになること」
「そんなの無理じゃん!」
「……もしくは新しい王が生まれること、か?」
「え?」
「……」

 更におれを睨むアブラアム。
 余計な事を言いやがってこの野郎、って目だ。
 よし、やる事は決まったな。

「そんな事はいいから兵を集めなさいよ。あの三人捕まえればそれで終わるじゃん」

 同じ話を蒸し返すセレーネ。
 まったくこいつは……。

「……」

 アブラアムと目があった、何故か哀れみの目で見られた。なんだ?
(くく、大変な娘に肩入れしてしまったな。という目だな)
 ……なるほど。
 ちょっとむかつくけど、反論は出来ないな。
 そのアブラアムはセレーネにいった。

「そう簡単な話じゃありません、それに、そもそも無理です」
「なんでよ」
「一度は試しました。三公摂政に正当性があるとは言え、第一王女という立場に同様のものがまったくないとはいえない。だから兵を一度は集めようとしました」

 そりゃそうだ。そういう制度があるからって、王女を完全に無視できるのかっていわれたそんな事はないに決まってる。

「じゃあ――」
「呼びかけに応じたのは十名に満たないものでした」
「……………………え」

 そうなったか。
 いや何となく分かる、最初は分からなかったけど、この部屋で起きた一連の事でなんとなく察しがついた。
 バカ殿ならぬバカ姫についてくる人間がほとんどいなかった、ってことだ。

「十人……十人もいない……?」
「はい」
「ご、五千人は? あの五千の兵は?」
「それに声をかけたのです」
「そんな……」

 セレーネはショックを受けた。
 ちょっと前まで自分に従った五千の兵が、ちょっと立場が変わっただけで十人まで減ってしまった。
 支持率に直せば0.2%、流石のセレーネもショックを受けて。

「そんな……」

 床にへたり込んで、茫然自失としていた。

     ☆

 マロネイのデルフィナ商会。
 アブラアムが追加で呼んだ兵を斬って、ワープの羽でセレーネを連れて直接デルフィナの部屋に飛んだ。

「……カケル様、そのお姿はなんですか?」

 おれが現われたのをみて、ほとんど驚かないデルフィナ。

「よく分かったな、見た目完全に変えてるのに」
「その現れ方をするのはこの世でカケル様ただ一人ですわ」
「そりゃそうか」

 そういい、魔剣のカモフラージュを解除する
「あら、ヘレネー殿下も。それにそっちのは……セレーネ殿下?」

 カモフラージュを外した後に出てきた二人の王女、デルフィナはセレーネを見て訝しんだ。

「どうしたんですの? どうやらショックを受けてますけど」
「ヘレネー、説明とか任せる」
「はい。カケル様は?」
「必要なものをぶんどってくる……彼女のこの後に必要なものをな」
「肩入れを続けるのですか?」
「この後の展開による」
「わかりました。ここはわたくしにお任せ下さい」
「任せた。デルフィナも頼む」
「構いませんわ。わたしは見合う報酬さえいただければ」
「そうか」

 デルフィナを抱き寄せてキスをする。

「前払いだ、たりるか?」
「結構ですわ」
「ヘレネーも頼む」
「はい」

 頷くヘレネー。その場に三人の女をおいて、再びワープの羽で飛んだ。
 アイギナ王国、首都レティム。
 セレーネの部屋に戻ってきた。
 アブラアムはまだそこにいた。

「お前は――そうか、お前が絡んでいたのか。――魔剣使い」

 変化したおれの姿を見て、すぐに状況を理解したアブラアム。
 優秀だな、こいつ。

「そういうことだな」
「なぜここに戻ってきた」
「案内してもらおうと思ってな」
「案内?」
「国王のいる場所に」

 顔を強ばらせるアブラアム。

「なぜ?」
「とぼけるな、三公摂政の摂政はだれの変わりだ? 何も出来なくなってる国王の替わりだろうが。だったら何をするにしてもまずは国王からだろ?」
「国王を連れ去る気か!?」
「殺してもいい」
「――っ!」

 驚愕するアブラアム。
 その発想はなかったって顔だ。
 そしてその顔は逆におれの発想が正しいって証拠にもなった。
 国王が国政出来ないから、三人の公爵が古い作法にのっとって摂政する。
 逆を言えばちゃんと政治ができる国王がうまれればそいつらの出番はないってことになる。

「国王が死ねば次の国王は誰になる? まさか三公じゃあるまい?」
「……くっ」
「やっぱりそうか」
「セレーネ殿下……あの女が王になれば国が滅ぶ! さっきのでわかっただろう!」
「……ああ」

 確かにそうだ。
 アブラアムに言われて、おれはためらった。
 アイギナのごだごだに頭を突っ込んだのはセレーネを「出世」させるためだ。
 しかし彼女の言動を見てると、本当にそれでいいのか分からなくなった。
(貴様の「いい女」たちとは比べ物にならないほどの凡愚だからなあ)
 エレノアもしみじみ言った。
 今のセレーネを女王にすれば……多分国が滅ぶ。
 その一点ではアブラアムと同意見だ。
 が。

「国王は連れて行く」
「何を聞いていたか――つれて行く?」
「そうだ。さっきまでは必要なかったけど、今のでお前は国王の処遇に別のやり方を見つけてしまった」
「……」
「だから国王はおれが保護する。どうするのかはまた後で決めればいい」
「できると思うのか? ここをどこだと思っている。万を超す兵がいるアイギナの王都レティムだ! 国王のいる冬の宮殿は厳重な警備に守られているのだ」
「できないと思うのか?」

 魔剣を抜く。
 エレノアとひかり、母娘の魔剣を抜いて構える。

「おれは魔剣使い――結城カケルだ」
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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