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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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168.逆賊認定

「テリオス……」

 現われたじいさんをみて眉をしかめるセレーネ。
 嫌そうな目と口調、どう見ても良好な関係ではなさそうだ。
 このじいさん……何者なんだ?
「メリナ・ヴェ・テリオス」

 おれに抱かれたままのヘレネーが答えた。

「アイギナ王国公爵、さかのぼれば建国時の功労者の家系ですわ。途中で世継ぎに恵まれず一度家が断絶しましたが、王家から養子を迎えて家を存続させた家系でもありますわ」

 なるほど、だいぶ偉いヤツみたいだな。てか一応は王族って事になるのか?
 江戸時代の大名に似たような話があった様な気がする。あれはどの藩だったかな……ちょっと思い出せない。
 思い出そうとしてると、じいさんはセレーネの前にやってきた。
 身長の差で自然と彼女を見下ろす形になった、それをセレーネが怒った。

「無礼ですわよテリオス」
「これは失礼。しかしながら殿下、わがテリオス家はアイギナ王国のいかなる人間にも頭を下げる必要がないと、六代前の国王陛下よりお言葉を頂いております。そうですな、いわば天下御免の無礼者でございますれば」
「なによそれ」

 セレーネは甲高い声でわめいた。
 メリナの眉がびくっと動いたが、すぐに満面の笑みを使ってオーバーに上書きした。

「なんと、ご存じない? いやはや、これは失礼をした、セレーネ姫」

 びっくりした後に、わざとらしく腰をおって頭を下げたエレフ。芝居がかった仕草だ。
 そして顔を上げた瞬間、彼女をどこまでも見下す様な、更なる侮蔑の眼差しに変わっていた。
 おれはちらっとヘレネーを見た。

「功績を称えられ、子々孫々誰にも頭をさげなくていいという恩賞を受けたのです。王族はもちろん、国王にさえも」

 へえ、それはすごいな。
 つまりあれか、お前はよくやってくれたから。お前もその子孫も、おれの子孫には頭を下げなくてもいい、って六代前の国王が言ったんだな。
 すごい話だ。当人達はいいけど、子孫はたまったもんじゃないな。

「テリオス、あなた一体何をしに来たんですの?」
「率直におたずねしますセレーネ姫、王太子殿下は今いずこおられるかな」
「び、病気で、どっかで休んでますわ」
「いずこにおられますかな?」

 エレフ相手だからか、口調がどことなくお嬢様とかお姫様っぽいセレーネ。
 エレフは口調を強めて、そんな彼女を問い詰める。

「どっかです! 詳しい場所なんて知ってるわけがありませんわ」
「では、知ってる者は?」
「だから知りませんわ!」
「ふむ。では王太子殿下がいまどうなっているのかもご存じない」
「だから知らないって言ってるでしょ」

 徐々に口調が崩れてきたセレーネ。

「困りましたな、いやはやこれは困った。巷に妙な噂が流れているものですから、それを確認しにきたのですが」

 また大げさに身振り手ぶりしながらいって、ちらっとセレーネを見る。
 賢者だか魔法使いだかみたいな白い髭の下の口がニヤリとなってるのが見えた。
 あー、これはあれだな、キモンがもう死んでるってつかんでるか確信してるかって顔だな。

「何よ噂って」
「時にセレーネ殿下。国王に続き総理王大臣さえも不在である現状をいかが考えますかな」
「どうって、あたしが総理王大臣になるって考えてるけど?」
「なるほどそれも一つの手立て。しかしそれよりももっとよい方法がございますぞ」
「何よそれ」
「三公摂政」
「はあ?」
「わがアイギナ王国に古くから伝わる三公摂政。なんらかの理由で政事を執り行うことが不可能になった王家に代わって、われら最古の三公爵家が合議し、一時的に国を支える制度でございます」

 なるほどそれは大事な制度だ、向こうの世界でも総理副総理、大統領副大統領ってバックアップがあるしな。
 余談だけど大統領と副大統領って同じ乗り物に乗らない、何かあったときにまとめておだぶつになったらおしまいだからだ。

「だから必要ないのよそんなの、あたしが総理王大臣になればそんなの――」
「率直に申し上げます、セレーネ殿下では力不足ですな」
「なっ」
「真に国の事を思うのであれば、出世ごっこをする前に王太子殿下の消息(、、)をもっと密にしなければならなかったはず。ですがセレーネ殿下はそうされなかった。その一点であなた様にまつりごとの才覚はないと断言ぜざるを得ませんな」
「そんなこと……そんな事ないわよ! っていうかそんなの認めるわけないじゃん!」
「残念ですがセレーネ殿下、これはもう決定事項でございます」
「は?」
「陛下よりお言葉を賜って、三公摂政せよとのお言葉を頂きました」
「うそつかないでよ! 父上がしゃべれるはずがない。父上は病気でしゃべれる状況じゃないんだから」
「それはどうですかな」

 にやり、そして肩をすくめるメリナ。

「いえ、それはどうでもよろしいことですな。わたしがここに来たのは三公摂政議決第一号を殿下にお伝えするためです」
「は? 第一号? なに言ってんの」
「しばしの間、殿下には休養して頂きます」
「さっきからなに言ってんの? わかる用に説明しなさいよ」

 わめくセレーネ。
 大してメリナは笑うだけでまともに答えない。
 これはずっと軟禁するつもりだな、セレーネを。

「では、わたしは失礼いたします」
「待ちなさいよ! ちょっとアブラアム! 何ずっと黙ってるのよ、あんたも何か言ってやりなさいよ」
「申し訳ございません殿下、メリナ公爵殿下のお言葉はまったくの適法ございますれば」
「はあ?」
「アブラアムといったか」

 メリナがアブラアムに話しかけた。

「殿下を丁重に避暑地へお連れしろ。丁重にな」
「……はい」

 恭しく腰を折って一礼するアブラアム。
 セレーネは激高してつかみかかろうとしたが、アブラアムに止められて、何も出来ないままメリナを見送るしかなかったのだった。

     ☆

「なんなのよ、なんなのよ! なんなのよあれ!」

 部屋の中で暴れるセレーネ。

「なんで言いなりになるのよアブラアム」
「申し訳ございません、ですがメリナ公のお言葉はまったく正しい」
「正しい?」
「陛下も王太子殿下もいらっしゃらない現状では、三公摂政発動はきわめて正しい。これを覆すには陛下御自らお出になるか――」
「だからそんなの出来るわけないじゃん」
「――総理王大臣が政を執り行うかのいずれかです」
「だからそれはあたしが――」
「殿下は事実上、本日より行動が制限されます。これ以上の出世(、、)は不可能となります」
「……」

 絶句するセレーネ。

「申し訳ございません」
「ちょっとあんた!」
「誰か」

 手を叩くアブラアム、すぐに兵士が二人入って来た。

「殿下を丁重にお連れしろ」
「「はっ」」

 兵士二人が左右からセレーネを挟み込んで、肩をつかむ。

「ちょっと何すんのよ、離しなさい」
「姫様、どうかご辛抱を」
「辛抱とかする訳ないでしょ。なにすんのよ、あたしをどこに連れて行くのよ」
「『秋の宮殿』」

 アブラアムが静かに答えた。

「牢屋じゃないのそれ! そんなところに行くわけないでしょ! あたしはセレーネ・ミ・アイギナ。第一王女なのよ! わかってんの」
「……お連れしろ」

 アブラアムはおれをちらっと見て、静かに言った。

「カケル様がどうするのかを確認しましたわ」

 そうみたいだ。

「どうしますか?」

 決まってる。
 エレノアを抜き放って兵士を切り捨てた。

「ショウ!」
「……何をするつもりだ」

 おれを睨むアブラアム。

「おれはセレーネ姫を総理王大臣にするために来た」
「それは不可能だ。三公摂政が発動された、姫殿下の命令はどこにも届かないし適法性はない」
「セレーネ」

 アブラアムを無視して、セレーネに話しかける。

「な、なに?」
「おれの目がおかしいとかじゃなかったら、今、この国の王女に害をなす連中を見かけた様な気がするけど、どうだ?」
「そうよ! 見た通りよ」
「自分の地位のために王族に危害を加える人間ってさ」

 一呼吸開けて、アブラアムを見る。
(くくく、悪い顔をする)
「逆賊、って言うやつなんじゃないかな」
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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