挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

168/288

167.三公摂政

 戦闘が終わって、砦から撤収していくアイギナ軍。
 セレーネは歩きでも馬でもなく、巨大な車に乗っていた。
 広さは八畳くらいの正方形で、屋根がついてて、ちょっとしたリビングみたいな感じだ
 両横に巨大な車輪がついてて、飾りのついた十三頭の馬に引かれている。
 最初見た時は馬車? 神輿? キャンピングカー?
 そんなイメージを受けた車だ。
 ちなみに十三頭というのは王族の証らしい。

「アイギナでは馬車一つとってもちゃんとした制度がありますわ。国王はクシフォスになぞらえた十七頭の馬、王妃や皇太子は十五頭、王族は十三頭――というように使える、使うべき馬の数が決まっていますわ」

 おれが十三頭という数に首をかしげていると、腕に抱いたままのヘレネーが説明してくれた。
 向かいにセレーネが座っているが、もちろん彼女に聞こえない。
 今のヘレネーは魔剣の光学迷彩にまもられてて、おれ以外のだれにも見えない様になってる。
 しかしおもしろいな、そんな制度があるのかアイギナには。
 そんな事を思っていると、セレーネが話しかけてきた。

「あなた、名前は?」
「ショウだ」
「ショウ……」

 セレーネはおれが名乗った仮名をつぶやき、ニコニコしている。
 瞳がキラキラと輝いてて、おれとおれの左腕のあたりを交互に見比べてる。
 まるで少女マンガのヒロインみたいなキラキラ目だ。
 正直、ちょっと予想外の反応だ。

「ねえねえ、ショウは今でも勝利の女神抱いてるの?」

 そこにいるのはヘレネーだが。

「ああ、いる。彼女を抱いてる限りおれは無敵だ」
「すっごーい」
「か、カケル様……」

 対照的な反応になった。
 セレーネはニコニコ顔、興奮しきった表情で。
 ヘレネーは盛大に赤面して、恥じらってうつむいた。

「ああもう、早くショウが戦うのをみたいよー」
「そんなにみたいのか?」
「うん! だってショウが戦ってる姿はあたしが見てきたどんなものよりも綺麗だったもん! どんな絵画よりも、どんな踊り子よりも、どんな景色や名勝よりも」

 興奮するセレーネ、目がもはや熱に浮かされている。

「ショウが戦ってる姿のが一番綺麗だった!」

 その発想はなかった。
 自分の戦ってる姿が綺麗だなんて、考えた事もなかった。
 もちろん言われたのもこれが初めてだ。今まで誰からも言われたことはない。
 セレーネ、だいぶ希少な美意識の持ち主っぽいな」
「だからちょっと待ってね。今アブラアムのところに早馬を飛ばしたから、すぐに次の戦場を用意してあげるからね」
「アブラアムって?」
「あたしのしもべよ」
「……アブラアム・パパドプーロス。アイギナ王国侯爵、職位は王師ですわ」

 ヘレネーが言う。
 王師? って目でちらっと彼女を見る。

「王子や王女の家庭教師、特に人格面を教育する方に与える職位ですわ。学問はもとより、人格者に与える事がほとんどですの」

 そういうのがあるのか。
 しかし、とおれはセレーネを見た。
 人格面を教育する専門の係がいてこんな性格になるのか。
 あんまり意味はなさそうだなそれ。

「そうだ! ショウ、あなた何が欲しい? なんでもしてあげるし買ってあげるから言ってみてよ」
(くくく、悪い男に貢ぐ世間知らずの娘だな、まるで)
 エレノアの刀身にテコピンをした。
 綺麗な音がしたが、もちろんセレーネには聞こえない。
 彼女は相変わらずキラキラした目のまま、おれを見つめてくる
「なんでも?」
「うん、なんでも」
「特にない。戦場さえあればそれでいい」
「それでいいの?」
「ああ」

 頷くおれ。

「おれは、あなたを総理王大臣にするために来た。戦える戦場が多ければ多いほどいい」
「ショウ……ありがとう!」

 目をうるうるさせて、感動するセレーネ。
 なんというか、ちょろいな。
 いやちょろいとは別次元な気がする。
 なんというか、うん、ずれてる。
 だいぶずれてるな、とおれは思ったのだった。

     ☆

 アイギナ王国、首都レティム。
 「凱旋」したセレーネの車は城下町を突っ切って、一気に王宮にはいった。

「へえ、綺麗な王宮だな。バビロンの空中庭園みたいな感じだ」
「ここが有名な『夏の宮殿』」
「夏の宮殿? なんだそれは」

 感動した様子でつぶやくヘレネーに聞きかえす。

「レティムには二つの宮殿がありますの、一つは冬の宮殿と呼ばれていて、一つはここ、夏の宮殿と呼ばれています。ここは元々国王が寵姫の歓心を買うために立てたものだと言われてますので、本来の王宮である冬の宮殿よりも遥かに華やかで美しいですの」
「へえー」

 宮殿を見回す。
 今までみた建造物の中で一番華やかで、綺麗かも知れない。
 観光地気分であっちこっち見て回りたい気分だ。

「お戻りになられましたか、殿下」

 宮殿の中から一人の男が出てきた。
 男は車から降りたばかりのセレーネに一礼した。

「アブラアム、戦場は見つかったの?」

 なるほどこいつがアブラアムってヤツか。
 にしても……あの顔。
(何か起きたのか?)
 エレノアも気づいてるみたいだ。
 アブラアムの顔、やけに切羽詰まってるように見える。

「それところではございません」
「なによ、それところじゃないって」

 セレーネは見るからに不満そうな顔をした。
 さっきまで見せていた顔は予想外だったけど、こっちは逆に予想してたそのものの顔だ。
 思いとおりにならないとすねる子供みたいな顔だ。

「メリナ公爵がお見えになられました」
「はあ? 何しに来たのよあのジジイ」
「三公摂政です」
「……は?」
「国政不安定のため、いにしえの制度、『三公摂政』を復活させよと」
「はあ? なにそれ。かえらせて、あたしがもうすぐ総理王大臣になるんだから、じいさんの出る幕はないって言っといて」
「小娘の遊戯に付き合ってたら国が滅ぶわ」

 宮殿の中から老人が姿を見せた。
 ゆったりしたローブ、もじゃもじゃの白い髭。
 パッと見て、賢者かカミサマの様な、そんな見た目の老人がセレーネを睨みながら出てきたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ