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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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166.戦場に踊るカケル

 ナナと撃ち合う。
 速さと強さと巧さを兼ね備えた必殺の斬撃。切っ先が通った後の空間が冷たくゆがむ。
 エレノアで真っ向から打ち合う。
 切り結んだ瞬間、ナナが眉をひそめた。

「この感触……エレノア?」

 ぼそりとつぶやく。
 おれにだけ聞こえるような――いや、おれに聞かせるためでもないんだろう。
 単に、疑問が強すぎて声に出ているだけ。
 なにしろ今のエレノア、ひかり、ヘレネーはナナにすら見えないはずだ。
 彼女視点だと、おれは透明の何かをもって受け止めた、そんな風に見えるはずだ。
 それが感触でエレノアだと感じた、という事である。
 よく分かったな。
(われともっとも切り結んだ人間だからな。史上最多だろう)
(さいたなの?)
 訝るひかり。
(われの相手など、大抵は一度か二度であの世行きだからな)
 自慢げでもなく、普通の事のようにいいはなつエレノア。
 そういわれるとそうだな。
 おれがエレノアを使うようになってからも大体そんな感じだ。
 大抵はさくっと斬ってる、二太刀以上切り結ぶ相手なんてほとんどいない。
 ナナは――別格だ。
 そのナナはサッと飛び下がった。
 ちらっとおれのもう片方の手を見た。
 ひかりはいるだろうか、って目だ。
 ひかりは抜いてない、その手はヘレネーを抱いてる。
 ま、わざわざ言うこともない。
 ナナなら勝手に察するだろ。
(……やけるな)
(やけるの?)
 やけるってなにがだ?
 エレノアのつぶやきに首をかしげかけてると、ナナが更に飛びかかってきた。
 斬撃、打ち合ったそばから更に斬撃、矢継ぎ早に飛んでくる斬撃の連続。
 それと打ち合ってると、その背後から矢と魔法が大量に飛んで来た。
 奴隷部隊の援護射撃だ。

「ふっ!」

 ナナを押し返して、エレノアで矢と魔法を打ち払う。
 間をおかずナナがさらに詰めてくる、飛んでくる断空の連斬。
 そしてさらに矢と魔法――。
 少しずつ押された。
 左腕にヘレネーを抱いたままナナと奴隷部隊を相手にするのはちときついな。
 そのヘレネーは安心しきった表情をしている。
 安心しきった顔で、おれに体を預けている。

「エレノアと……ヘレネー殿か」

 飛び下がったナナ、つぶやきがまた聞こえる。
 どうやらそこまで理解したみたいだ。

「総員、相手の左を狙え」

 ナナの命令で矢と魔法が左に集中して飛んで来た。
(くく、容赦の無い)
(ナナおねーさんすごい)
 感心する魔剣の母娘。おれの気持ちを代弁していた。
 すごいなナナ、見抜いた上に、容赦なく弱点を突いてくるとはな。
 それでいい、そうこなくちゃ。

「お前はそうじゃないとな」

 ナナとの戦いはすごく楽しかった。
 楽しすぎて、目的を忘れてしまいそうだった。

     ☆

 ナナに打ち勝って、彼女と奴隷部隊を砦の中に追いこんだ。
 背後からアイギナ軍が徐々に迫ってくる、話ができる余裕は一分あるどうかってところか。
 まずはナナを誉めた。

「よくやった。また腕をあげたな」
「恐悦」
「これからどうする?」

 今度はヘレネーに聞いた。
 オーラで包んだままなので他人には見えないが、ナナは既に察知して、奴隷部隊もうすうす気づいてるっぽくて騒ぎにはならなかった。

「本来でしたら一度彼女を差し出す必要がありましたが、カケル様の新しい力で必要なくなりましたわ」
「うん?」
「盗賊達の死体はどちらに?」
「盗賊達の死体は?」

 気づいても聞こえては以内ので、ヘレネーのセリフをそのままナナに伝えた。

「あちらにまとめてある」
「それを?」

 これはヘレネーあてだ。

「カケル様のお力で、皆様のに見える様に被せれば」
「ああ、偽の死体として差し出すんだな」
「はい」

 頷くヘレネー。
 たしかに、そいつらは本物の盗賊団、赤いクチバシ団だが、今までアイギナ軍と戦ったのはおれの奴隷部隊だ。
 少なくとも一時、見た目にこっちのにする必要がある。

「ナナ、全員集めろ」
「はっ。総員集合」

 号令で集めってきた奴隷部隊、全員いることを確認して、ワープの羽でレイウースの屋敷に連れ帰った。

「ご苦労だった、後はいつも通りにしろ」
「はっ」

 軽くねぎらった、キスをしてやる。
 それからまたワープで砦に戻ってくる。

「あっちにあるって言ったな」
「はい」

 ナナが示した方角に向かっていった。
 大量の盗賊の死体が捨て置かれていた。
 エレノアとひかりの力で、大量にオーラを出して被せた。
 盗賊の死体の見た目が変わった。

「確認してみてくれ」

 そういって一度ヘレネーを離す。
 エレノアのオーラから切り離された彼女の目は普通の目になる。

「大丈夫ですわ、ちゃんとみんなの姿にみえます」
「そうか」

 再びヘレネーを抱き寄せる。
 偽装はすんだ、これで戦功を立てたことになる。
 予定通りのマッチポンプが完了した。
 そこに、アイギナ軍がなだれ込んできた。
 先頭は――セレーヌ王女。
 馬に乗った彼女がやってきて、おりて、おれの前に走ってきた。

「あなた! あたしの部下になりなさい!」
「ああ……うん?」

 頷きかけて、首をかしげた。
 微妙におかしい。
 なんだか分からないけど、微妙におかしい。
 何がおかしい?
(無能が乗り気になってるからではないのか?)
 ああそうか。
 うん、そうだ。
 一芝居打って、彼女に恩を売って取り入るのが目的。
 その目的を果たせるのはいいけど、彼女が強く「部下になれ!」と言ってきた事に違和感を感じたのだ。

「イシゴニス!」
「はい」

 後ろから追いついてきた将軍の男が応えた。

「次の戦場は?」
「は?」
「次の戦場は? 戦う場はどこ?」
「おっしゃってることの意味が分からないのですが」
「察しが悪いわねドクズ! 彼がさっきの様に綺麗に戦える戦場はどこなのかときてるの!」

 いきなり部下を罵倒するセレーネ。
 これってつまり。

「予想以上気に入られたようですわ。流石カケル様」

 そういうこと、みたいだな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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