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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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161.のろけ

 屋敷の応接間は二つある。
 ミウが来る客によって、案内する部屋が変わる。
 基準は、割とはっきりしてる。
 ミウが警戒してるかどうかだ。
 更に言えばおれの敵なのか、それともそうじゃないか。それで案内する方を変えてる。
 そしてそれは良くあたる。何か判断基準があるのか、それとも獣人特有の第六感(そういうのがあるのか分からないけど……ありそうな気がする)からか。100%に近い確率でよくあたる。
 今回のは――警戒だ。

 警戒用の応接間にはいると、護衛二人に守られた男が立っていた。
 手を後ろに組んで窓の外を眺めてたけど、おれが部屋に入るとゆっくりこっちをむいた。
 顔は笑ってるけど、目が完全に相手を見下す目だった。

「貴公がユウキ男爵であるか」
「ああ」
「アイギナ王国国王、イオン・ヘラクレス・アイギナ陛下の勅命である、謹んで拝聴せよ」

 前に聞いた名前だ。ヘレネーを含む五カ国の使者がまとめて来たときに聞いた名前。
 国王、つまりキモンの父親だな。
 男は言った後、手のひらを上向きにして横にだした。
 護衛の一人が巻物取り出してをそこにおいた。ものすごく丁寧な、割れ物でも扱うかのような手つきだ。
 男は巻物をひらいて、内容を奇妙なイントネーションで読みあげた。
 内容は……わからん。
 やたらややっこしい言葉で、内容があるように見えない。
 天と地がどうのこうので、悠久なるなんとかかんとかを言ってる。

(この手のものの定型文だ)

 手紙に使う時候の挨拶みたいなもんか。じゃあ完全に聞き流していいな。
 それは……一分間近く続いた。

「カケル・ユウキを子爵に任命する。謹んで受けられよ」

 要件はものすごくシンプルで、拍子抜けしたものだった。

「……はあ」
「どうした、不服か?」
「……いや」

 別にそんな事はない、本気だ。
 だって、どうでもいいから。男爵から子爵にあげてやるなんてどうでもいいにもほどがある。
 おれが反応したのは、長々と口上を並べた結果がそれかって肩すかしを食らったからだ。
 まあ、それを言っても意味はない。

「ありがたくもらっとく」

 男の眉がビクビクけいれんした。顔は笑ってるけど、目はわらってない。
 こっちの反応のどれかに反応して、内心怒ってる感じだ。
 それもまあ、どうでもいい。
 男は顔を引きつらせながら、更に言った。

「もう一つ。アイギナ王国第一王女、厩番長、セレーネ・ミ・アイギナ殿下のお言葉である」
「きゅうばんちょう?」

 喋る鳥かなんかか?

「『顔が見たい、すぐに来なさい』原文通りお伝えせよとのこと」
「はあ……」

 なんじゃそりゃ。

「なにをしている。殿下の命である、すぐに旅立つ準備をされよ」
「え? 今すぐにか?」

 本当に「すぐ」とはおもってなくて、ちょっとだけびっくりした。

     ☆

 子爵はどうでもいいけど、アイギナの王女は気になる。
 そんな彼女に会いに行くため、まずな名目上アイギナ領のマロネイにとんだ。
 デルフィナ商会、デルフィナの部屋。
 飛んで来たそこにデルフィナはいなかった。
 部屋から廊下にでる。

「きゃ」

 悲鳴が上がって、誰かがぶつかってきた。

「お前は……」

 デルフィナの部下のメガネ美人だ。名前は……なんだっけな。
 思い出せないな。

「デルフィナ様は取り込み中です」
「取り込み中?」
「アイギナから使いの者が来て、その相手を」
「へえ? アイギナ。キモンの件かな」
「それまではうかがってません」
「そうか」

 メガネの女はお辞儀してから立ち去った。
 アイギナの使いか。
 なんの話をしてるのか知りたいな。
 耳を澄ませた、建物の中にいるであろうデルフィナの声を拾った。
 見つかった。ついでに会話してるだろう相手の声も拾った……見つかった。
 多くの声の中からそれらだけを聞くように意識しつつ、廊下の壁に背中をもたせかけた。

『アイギナ王国第一王女、准武尉、セレーネ・ミ・アイギナ殿下のお言葉である』

 じゅんぶい?
 さっきは「きゅうばんちょう」ってやつじゃなかったっけ。

(むぅ……)

「どうしたエレノア」
(いや、奇妙だなと思ってな)

「なにがだ」
(われの記憶が正しければアイギナの官吏制度は上から十七等級あってな、厩番長は十六等級、准武尉は十五等級。どっちも下級官吏の名称なのだ。それが王女につくのはあり得ない話なのだ)

「名乗り方は『総理王大臣』の時と同じだな」
(そっちは分かる、名称は多少違うが王族が宰相になる事はままあることだからな)

「……なるほど、会社の社長がついでに主任を名乗ってるようなもんか」
(そのたとえは分からんが……おそらくそれで間違いない)

 なるほど、それは確かに奇妙だ。

「おれの時は厩番長(十七等級)、今は准武尉(十六等級)か。出世してるな」
(一国の王女が出世ごっこか? ありえん)

 エレノアは鼻で笑った。たしかにあり得ないな。
 あり得ない話を気にしててもしょうがない。おれは再び意識して、デルフィナ達の会話を拾った。

『ユウキ様の情報を?』
『うむ、包み隠さず全て話せと殿下は仰せだ』
『お前がユウキ子爵と深く関わっているのは知っている』
『ユウキ様には儲けさせてもらってますわ』
『韜晦はいらぬ。たとえお前と子爵がどのような関係であったとしても、この際不問にするとの仰せだ。情報さえ渡せばな』
『お言葉ですが、当方は商人でございます。商人から情報を引き出すのに、対価の一つもなしなのはいかがなものでしょう』
『なにが欲しい』
『キモン殿下との密約。それをそのまま』
『この街の賃借権か。よかろう』
『即答ですのね』
『そうなることを読んでいただろう。女狐が』
『守銭奴とお呼び下さいな』

 皮肉はデルフィナの方が一枚上手だな。
 しかし、おれの情報か。
 会いに来いって言ったり、情報をデルフィナから仕入れたり。
 大分意識されてるな、用心した方がいいかもしれん。

(単に惚れられただけかもしれんぞ)

 変な茶化しは無視する。

『では、話してもらおうか』
『そうですわね。一言でいえば最高の殿方ですわ』
『ふむ?』
『空前絶後、前代未聞。最強にして至高の殿方。人類史上もっとも神にちかい、完全無欠の方』

「……」

 なんというか、むむむ。

(大分惚れられているな)

「……」

 こっちの茶化しはスルーするのが大変だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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