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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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160.二つの顔、二つの要件

 屋敷そばの訓練場、朝礼台に椅子を置かせて、ナナが奴隷兵達の訓練をつけてるのをみていた。
 そばにオルティアが立っている。フードをかぶった出会った時とまったく同じ格好でそばに立っている。

「最初の頃とはまるで違うわね」
「そうか?」
「わからない? あなたがここにいるのに、あなたの事をまったく気にしていないんですもの。訓練をはじめた直後は気にしていいところを見せようとしてたけど、集中しだしてからはまったく違う動きになったわ」
「ナナのおかげだな。あいつが上手く監督してるから」
「それが半分」
「もう半分は?」

 オルティアは答えない。沈黙して、奴隷兵の訓練をみた。
 頭のいい女はよくこういう思わせぶりな会話をする。そして本当に頭のいい女は思わせぶりだけじゃないちゃんとした理由を持ってる。
 それをかんがえるのは割と楽しいことだ。
 答え合わせするかは別として。

「実際、どれくらい成長してると思う?」
「小隊長は他国だと副将クラスまで成長しているように思うわ。特にニキとネオラ、この二人なら一軍を与えてやってもいい、と言う君主もいそうね」
「へえ」

 オルティアがそこまで褒めるなんてすごいじゃないか。

「それよりも彼女ね」
「彼女?」

 聞き返すと、オルティアは手を伸ばした。
 全身をすっぽり覆ってるマントの下から出てきたのは、艶と張りのある瑞々しい白魚のような美しい指。
 その指で奴隷兵達を監督するナナをさした。

「ナナ・カノー。(,)敗の戦姫。彼女に風格、いえ貫禄が出てきたわね。ただ立ってるだけでももう他とはあきらかに違うもの。あれはもう……覇王級ね」
「当然だ」

 何を今更、って思った。
 おれの女の中でも、ナナは頭二つくらいぬきんでてるいい女だ。
 強いし、綺麗だし、かっこいいし。
 オルティアはニキとネオラに一軍を任せる君主がいるかもって評価したけど、ナナだったらおれ、世界征服をかんがえた時の総大将にするな。
 なんかプライベート生活能力がないとか、そんな弱点もあるみたいだけど、それがまったくマイナスにならないくらいいい女だ。
 正直なところ。

「もう一回敵同士になってみたいな。本気での」

 ナナとはもうそんな関係にはならないだろうけど、そうなったら絶対に楽しいだろうな、っておもう。
 ああ、楽しそうだ。絶対に楽しいよな、ナナと全力で敵同士で戦うの。

「彼女が一番恐ろしいところは」
「うん?」
「あなたにそんな顔でそんなセリフを言わせるところだわ」
「どんな顔なんだ?」

 べたべたと自分の顔を触ってみた。

「初めてのオモチャを手に入れた子供の様な顔」
「たとえがよく分からん」

 わからんが、オルティアの様な女ならちゃんと意味があるはず。
 それを何となくかんがえながら、訓練を眺めた。
 ながめつつ、オルティアをここまで引っ張り出した本題を切りだした。

「ソロン教の事を教えてくれ」
「それが今日の本題なのね」

 こっちを向くオルティア、フードを頭からかぶってるせいで表情がよく分からない。

「そうだ」
「何故メリッサに聞かないの?」
「まずは外から。外部の人間だとお前が一番詳しそうだから」

 大賢者オルティアって呼ばれてるくらいだからな。

「そうかもしれないわね。ソロン教のなにが知りたいの?」
「そいつらのボスの事だ」
「人間の? それとも神の?」
「いるのか、神が」
「そういうものが存在するわ。本当の神なのかは見解次第だけど」

 オルティアの話をまとめるとこうだ。
 ソロン教はソロンという、世界でたった一人の神を信仰する宗教だ。
 ソロンは空想上の存在じゃなく、年に一度「降臨の日」で現われて、様々な奇跡を起こしていく慈しみの化身にして絶対神。。
 実際に起きた神の奇跡で救われた信者は数知れず。
 他の宗教と違って「神が降臨して奇跡を起こす」現象がはっきり確認されてるから、信徒の数と勢力が他とは段違いで、世界で一番巨大な宗教――らしい。

「本物の神なのかは見解次第っていったな」
「ええ」
「お前は?」
「不老不死級の魔法使い、あるいは魔族が奇術師の手法に長けてる、と思っているわ」
「そうか」
「……後者なのね」
「むっ」
「あら、当たったのね」

 ちょっとだけびっくりしたって感じでオルティアがいう。やられたな。
 さらっとカマをかけられるとは思ってなかった、つい顔に出てしまったみたいだ。
 まあいい、オルティアに知られて何かが困ることもない。
 それよりも、顔で思い出した。

「なあオルティア、なんでフードをかぶってるんだ? 今若返ってるだろ」

 そういって彼女の手を取った。
 さっきナナの事を指したときとまったく変わらない、艶と張りがある美しい手。
 絶世の美女の手そのものだ。

「人前よ。この方が大賢者らしいでしょ」
「で、本当は?」

 つかんだオルティアの手がびくっと震えた。

「……やっぱりな」
「カマかけたのね」
「やり返しただけだ」
「憎らしい男だわ」
「で?」
「みられたくないのよ。大賢者オルティアの顔」
「ん?」

 やっとただのオルティアになったのに、って続けてつぶやく。
 蚊のなくような声、残念だが耳がいいから全部聞きとれた。

「オルティア」

 彼女の手をつかんで、引き寄せて、膝の上に載せた。
 そのままフードをめくって、絶世の美女の顔をさらす。

「話はしまいだ」
「……ええ」

 ただのオルティアになった彼女はその通りの顔で、おれに体ごと預けて体重をかけてきた。
 オルティアを抱き留めて、頬と唇を撫でてやりながら、奴隷兵の訓練を眺める。
 のんびりしたいい時間だった。
 しばらくして、屋敷の方からミウがパタパタ駆け寄ってきた。
 珍しく落ち着きのない、焦ってる顔。

「ご主人様!」
「どうした」
「し、使者さまです」
「使者?」
「アイギナの……えっと総理王大臣様、からの使者です」

 おれは眉をひそめた。
 総理王大臣って……キモンは死んだはずじゃ?

「要件は聞いてるか?」
「メイドですから詳しい事は。ご褒美と、ご命令があるとしか」

 まるでいい知らせと悪い知らせがある、みたいな話だ。
 いかなきゃならんか、と、おれは立ち上がって、屋敷の方に向かってあるきだしたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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