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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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156.やられたらやり返す

「魔剣使い……」

 目の前の男が血を吐きそうな勢いで、忌々しげにつぶやいた。
 にしても、面白い格好だな。
 全身をすっぽりおおうだぼついた黒装束。
 顔までそれで隠されてて、妖しげな光を放つ瞳だけが見える。
 いかにも忍び、いや暗殺者って感じの格好だ。
 そいつの足元におれが捕まえた青いヤツが首チョンパで転がってる、その更に離れたところに……ミイラ?

(王太子だろう)

 そういえば服が同じだ。

(貴様がもたもたしてたから見事に消されたな)
「逆だ」
(む?)
「泳がせておいたんだよ。何事もなきゃこいつらから話をきいたんだが、こうして口封じされたって事はこいつらは下っ端も下っ端、上に何者かいるって事だろ」
(……うむ)
「で、そこに繋がってるのがこいつってことだ」

 黒装束を指す。
 気配が揺れた、息を飲んだのがはっきりと聞こえた。
 おいおい、動揺がわかりやすすぎるぞ。
 一方、エレノアから楽しげな感情がながれてくる。面白がってるって感じの。

(悪い男だな、捕らえた人間が消されるのを待ってたということか)
「久しぶりだな」
「……」

 黒装束の気配が揺れた。
 こいつと会うのも二回目だな。
 前は……シラクーザの時の蛮族王の後始末をしに来たときだな。

「今回も後始末か。芸がないな」
「なんの事なのかしらんな」
「あの時は取り逃がしたけど、今回はそうはいかないぜ。話を聞かせてもらうぞ」
「……」
「さて、芋の収穫の時間だ」

 黒装束が「くっ」って呻いた。

「ダモスめ、だからあれほど魔剣使いに関わるなといったのに」
「へえ? そりゃどういう意味だ?」
「……話すと思うか?」
「素直に話すことはないだろうな」
「死ぬ覚悟は出来た、何も話すつもりはない」
「死ぬ、か。その時はこいつらから聞くまでだ」

 といって、床に転がってる二つの死体をさす。

「なんだと? 何をするつもりだ」
「おれの事を魔剣使いって呼ぶくせにそんな事も分からないのか」

 エレノアを見せびらかすように掲げて、言う。

「こいつは魔剣エレノア。死霊の軍勢で世界をすき勝手にした剣だぞ」
「――っ!」

 また息を飲んだ、はっとなって思い出したみたいだ。

「死体を操るのはお手の元。死んだら死んだで都合がいい。死人でも口ありだ」
「くっ」
「エレノアで操って喋らせるさ。ついでにお前もな」
「くっ……そこまで魔剣を自在に操れたのか。うかつ」
(失敬な男だ。われは誰にも操られてはいない。自分の意思でやりたい事をやってるのだ)
 自分の意思? やらないのかお前。
(だ、だれもやらないとは言ってないだろ。操られてなどいないと言ってるのだ。じ、自分自身の意思で力になってると言っているのだ)
 はいはい伝統芸(ツンデレ)伝統芸。

「って、事だ」

 エレノアとひかり。二振りの魔剣を構える。
 黒装束をじろっとにらみつけて、言葉を突きつける。

「お前に出来るのは素直に喋るか、倒された後の拷問で喋るか、死んだ後のエレノアの命令で喋るか」
「……」
「そのどれかだ」
「くっ……」

 黒装束は腰を落として構えた。
 雰囲気が変わった、抵抗する気だな。
 胸の辺りで腕をクロスさせて、げんこつから鋭い刃が飛び出す。

「素直にはしゃべらないか」
(当然だろうさ)
「やるぞ。エレノア、ひかり」
「うおおおお!」

 雄叫びをあげながら、黒装束が突進してきた。ゲンコツの先から生えてくる刃を振り回して斬りつけてくる。
 ガキーン!
 エレノアで受け止める、つばぜり合いして――ひかりで斬りつける。
 二本の刃をクロスさせてうけた、そのままはじき飛ばす。

「くっ、重い!」

 飛び下がった黒装束が呻く。そいつに向かって投げつけた――。
 エレノアを。
 伝説の魔剣を投げつけた。エレノアがまっすぐすっ飛んでいく。
 黒装束は慌てて避けた、切っ先が頬をかすめる。

(ええい! われを投げた上にはずすなどと!)

 抗議するエレノアを無視して、ワープの羽根で飛ぶ。
 黒装束の真横に。

「なっ!」

 ワープで追いついたエレノアをつかんで、ぐるっと水平になぎ払う。
 金属音が鳴り響く、建物全体がふるえる。
 更にはじき飛ばされる黒装束に――更にエレノアを投げる。
(だから投げるなと!)
「くっ!」

 飛ばされた黒装束は空中でぴたっと止って、着地してエレノアと撃ち合う。
 そのまま構える、エレノアをじっと見つめて次の攻撃に備える。
 更にワープした、黒装束の背後にワープした。

「魔剣をおとりに――!?」
「こっちも魔剣なんでな」

 かりを振り下ろす。
 ズバッ!
 袈裟懸けに男の背中をばっさり切った。
 手応えはあった――奇妙な手応えた。
 はじめての感触。
 確実に手応えあったが、人間ともモンスターとも違う感触だった。
 転がって距離をとる暗殺者。
 斬られた背中からシュウウウウ、って擬音が聞こえそうな黒い空気が漏れ出す。
 瘴気。なんとなくその言葉が頭に浮かんだ。
 受け止められたから勢いを失って、地面に落ちそうになったエレノアをつかんで更に投げる。
 構える黒装束。
 今度は受け止められる前にワープして、途中でつかんで切り下ろす。
 バキーン! 黒装束の刃が二本とも音を立てて折れてしまった。
 更に投げる、更にワープする。
 無防備の真上からひかりを振り下ろす。
 拾って、なげて、飛ぶ。
 二振りの魔剣の回転切り、片腕をすっ飛ばした。
 投げるとワープをくりかえして、上下左右、四方八方から黒装束を攻撃する。
 全方向から攻撃を受けたそいつは次第に部屋の中央に押されて、そこに釘付けになった。
 いったん攻撃を止めて、元の場所に戻る。
 エレノアを突きつけて、聞く。

「どうだ、喋る気になったか?」
「……」
「しゃべる気にはならないか」
(勝算があるのではないか? みろ、斬られた所が再生をはじめている)

 エレノアの言うとおり、黒装束は再生してるみたいだ。
 斬られた所から漏れ出す瘴気が徐々に少なくなって、すっ飛ばされた腕も刃ごと完全に再生していた。
 攻撃を始める前とほとんど変わらない。強いていえば妖しげな光を放ってた目がまがまがしく、赤に爛々と輝くようになったことか。

「調子にのるな! たかが人間の分際で」

 黒装束の反撃。
 それまで一方的にやられてた黒装束の方から飛びかかってきた。
 再生した腕と刃、それを振りかぶってくる。
 エレノアで受けた、それなりに重さのする一撃。

「この程度か」
「かかったな」
「む?」

 変な生臭い匂いが鼻の奥につーんと来た。
 直後、黒装束の刃がエレノアを侵食しだした。
 肉のような何かが、青筋をひくひくさせて侵食してくる。

 「これで!」
(なめられたものだな)

 笑いとワンセットの声、だけどまったく笑ってないようなエレノアの声。
 おれは何もしてない、が、侵食がとまった。
 エレノアの刀身を覆おうとした肉っぽいのがはじけ飛んだ

「なっ。通じない……だと?」
(このわれにそんな事をしてくるとはな)

 冷笑をするエレノア。
 多分エレノアを侵食して取り込むか操ろうとしたんだろうなあ。
 完全に釈迦に説法だが。

(おい、貴様。少しお仕置をしてやれ)

 大分頭にきてるな。エレノアがわめくでもなく冗談でもない注文をつけてくるのは珍しい。
 おれはエレノアを振り上げた。

「くうっ!」

 黒装束床を転がって、青いヤツと王太子の死体のそばにいった。
 エレノアにやろうとしたやつを二つの死体にした。
 死体はあっという間に浸食されて、動いて――起き上がった。
 首無し死体とミイラ。死霊の軍勢を彷彿とさせるそいつらがおれに向かってくる。

「お前そっくりだな」
(あんなのと一緒にするな!)

 わめくエレノア、ちょっと元にもどった。
 攻撃してくる首無しとミイラ。両方の攻撃を二振りの魔剣で受け止めた。
 直後――二体の体がぱっくり裂けた。
 裂け間から銀色の光――黒装束の刃が襲ってきた。

「これでぇ!」

 死体は捨て駒、いやカモフラージュだった。
 おれが攻撃を受けてたところに、死体ごとおれを貫く三段だったか。

「無駄だ」
「それはどうかな」

 黒装束がにやっとしたようにみえた。
 腕が動かない。よく見たらエレノアとひかり、二本(ふたり)刀身にまた浸食が進んでいた。

「一瞬止めさえすれば!」
「むっ」

 魔剣が動かなかった。侵食してくるのをはじくまでコンマ何秒間のタイムラグが生まれた。
 それが狙いか。黒装束は二本の刃を真っ向からついてきた。
 死体を操ったのも、その先の浸食も。
 二重のおとりからくり出される本命の一撃。
 流石に意表を突かれた、裏の裏をかかれた気分だ。

「だからってどうって事はないがな」
「なっ!」

 驚愕する黒装束。
 エレノアとひかりを手放して刃を受けた。
 真剣白刃取り。777倍の動体視力でそれをやった。

「ばかな……魔剣を手放すなど……」
「魔剣使い魔剣使いっていうけど、根本的に勘違いしてるよ、お前は」
「なに?」
「魔剣に使われてるんじゃない、魔剣を使ってるんだ。おれは」

 バキン! 黒装束の刃を白刃取りのままへし折った。
 刃を投げ捨てて、アイアンクロー気味で頭をわしづかみにして、体ごともちあげる。
 足をじたばたさせて、必死にもがく。

「ついでに一つ教えてやる。浸食ってのは抗するものなんだ」
「――っ!」

 地面に縦につきささったエレノアに触れて、そういった。
 おれは出来ない、浸食は出来ない。
 が、エレノアは出来る、息をするように出来る。
 そして、きっと。
 今はやりたいと思っているはず。

(……)

 エレノアが顔を赤らめてるような気がして、おれの腕から黒いオーラがでて、黒装束を覆っていった。
 抵抗は、一秒も持たなかった。
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活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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