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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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155.罠

 レイウースの街。
 別名五爵邸別館とも呼ばれている奴隷部隊の一室。
 奴隷兵の部屋だったそこは急遽モノが運び出されて、二人の男を監禁する場所となった。
 一人はアイギナ王太子、総理王大臣、キモン・モ・アイギナ。アイギナ王国で王に次ぐ地位にあり、実質トップにある人間。
 もう一人は青い肌に頭から生える角という特徴的な見た目の、人間とはあきらかに異なる存在。
 名前はダモス。キモンに協力して、力を与えた者だ。
 二人は監禁され、表に奴隷兵が厳重に見張っている。

「出せ! ここから出せ。わたしを誰だと思っているのだ! アイギナ王太子にして総理王大臣なるキモン・モ・アイギナだぞ!」

 運び込まれた時は気絶していたが、起きるなり大声でわめくキモン。
 声は大きいが、それだけだ。両手両足を頑丈な鎖につながれて何も出来ないでいる。
 それでもわめき続けてる。運び込まれてからほぼ一日、わめき続けたキモンは声がかすれてきたが、それでもわめいてる。

「いーかげんにしろよ」

 ダモスがうんざりした声で言った。
 人ならざるものも鎖につながれているが、こっちは比較的落ち着いている。

「何をのんきなことを! 貴様が魔剣使いをなんとかしなかったからこうなったのではないか!」
「知るかよんなの。元はと言えばおれは気が進まなかったんだ。くそ! 上の言うことは本当だったぜ。魔剣使いなんかに関わるべきじゃねえんだ」
「なにをぶつぶつ言ってる。とにかく何とかしろ!」
「しるか、適当にわめいてろ」

 鎖につながれたダモスはゴロン、と寝っ転がった。
 キモンに付き合って無駄なわめきはしたくない、ということだ。

「だせ! わたしをだせ! ユウキ卿を呼んでこい! 爵位をあたえてやった恩もわすれか!」

 キモンは更にわめいた。
 やがてわめき疲れたのか、壁に背をもたせかけて、そのまま寝入ってしまった。
 高かった日がおちて、夜がやってくる。
 不意に空気が変わった。
 ドアの外で奴隷兵が気を失って倒れた。

「よーやくきたか」

 ニヤリ、と口の端をゆがめるダモス。
 人間が「瘴気」と呼ぶそれは、彼からすれば慣れ親しんだまさに新鮮な空気。
 同時に、同胞がきたという事を示していた。
 何もない空間から現われた者は黒装束姿で、頭からつま先まで黒い布ですっぽり覆っている。

「おせえぞ、助けに来るのが」
「大声をだすな、気づかれる」
「なーに言って――」
「魔剣使いは地獄耳と聞く。死にたいのならもっとわめけ」

 魔剣使い、というワードを聞いたダモスは口を閉ざした。
 今やこのワード、その存在は大きすぎる存在、警戒を通り過ぎて恐怖の対象になっていた。

「だ、だったよ、早くここから出してくれ」
「よかろう」

 黒装束の男は手を伸ばして、ダモスに触れた。

「なんだこれは」
「力を与えた。人間一人分の命でここから抜け出せる力を得られるだろう」
「人間一人?」

 黒装束の男がちらっとキモンを見た。ダモスははっとして、にやりとした。

「ケケケ、そういうことかい。まっ、口封じは必要だよなあ」

 全て理解したとばかりの顔で、ダモスはキモンに近づく。
 鎖でつながれているとはいえ、ぎりぎり触れる距離にいる。
 ダモスはキモンに触った。
 みるみるうちに、キモンの肌がしなびていった。

「な――が――」

 異変に気づいた時にはもう手遅れだった。圧倒的な速さで生命力を吸われて、キモンはミイラのようになっていって、そのまま絶命した。

「はっ!」

 ダモスが気合をいれると、鎖はバキンと音を立ててちぎれた。
 生命力を吸い取ったからか、全身の筋肉が盛り上がってムキムキになっている。

「へへへ、こんなもんだぜ。よし、このままとんずらするぜ。そとは眠らせてるよな」
「……」
「おいどうした」
「言付けだ。魔剣使いに関わるな、そう言ったよな」
「いやそれは――」
「安心しろ、手はくださん」
「出来心で――へ? お、おれを始末するんじゃねえのか?」
「……」
「は、はは。びっくりさせんなよ、そんなはずがぐげえええ!」

 瞬間、ダモスの体が形容出来ない様な軋み方をして、頭がはじけ飛んだ。
 ムキムキの体だけを残して絶命した。

「脱出しようとしてキモンの命を吸い取ったはいいが、吸い過ぎて負荷にたえられなくなりはじけ飛んだ」

 誰に言うでもなく、つぶやく黒装束の男。

「残念だ、助けに来るのが一足遅かったようだな」

 と、白々しく言い放った。
 そのからだがまた闇に溶ける。現われた時と同じように、そのまま消えていく。
 ――はずだった。

「なに!? 何故だ、何故もどれない」

 顔まで黒装束で隠れているから顔は見えないが、あきらかにうろたえている男。
 慌てて同じ事を試す。闇に溶けて移動してこの場から立ち去ろうとしているが、まったく上手く行かない。

「なぜだ! なぜこう――これは!」

 かれはハッとした。

「瘴気の中に――違う闇のオーラが? これはまさか!?」
「やっぱり来たか」

 男が現われた。
 二振りの魔剣を携えて、瘴気よりも圧倒的なオーラでまわりを支配した。
 絶対なる自信とそれを支える力をもつ。
 魔剣使い、結城カケル。
 かれが、悠然とこの場に現われた。
 一瞬で、場の全てを支配して。

「さて、話を聞かせてもらおうか」

 黒装束の男は死を覚悟した。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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