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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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153/288

152.77倍

「そおだ。ケケ、いくらてめえでも、噂の魔剣使い様でもよお。力がこうして10分の1に制限されてたら何もできねえだろ。んん?」

 悪人面をさらに悪そうにゆがめて、得意げに言い放つ。

 勝ち誇って、勝利を確信して疑わない表情だ。

 剣を持ったままの手を試しににぎにぎしてみた、足も上げ下げしてみた。

 確かに、体がいつもより重く感じる。両手両足に人間一人ぶら下がったくらいの重さを感じる。

 足元で明滅を繰り返してる大規模な魔法陣が効いてる。大量の肉と血を生け贄に捧げたそれは使い手の見た目もあって、多分禁呪の類なんだろうな。

 効果ははっきり出ていた。

 だが。

「10分の1じゃあな」

「なにぃ?」

「10分の1じゃ、まだまだ77倍なんだよな」

「何を訳の分からねえことを。強がりか、強がりなんだな。はっ、今すぐそれをへしおって――」

 青いヤツが腕を伸ばす、指先を揃えて突いてきた。

 鋭い爪が空気を引き裂いて、まっすぐおれの心臓をめがけて飛んでくる。

「ふっ!」

 気合一閃。エレノアを斜めに振り下ろして、腕を肘の辺りでずぱっと切った。

 宙を舞う青い腕、返す刀でみじん切りにする。

 青い血をまき散らし、そいつはわめいた。

「なんだと!? なんだとおおお!?」

「ああ、やっぱり力落ちてるな」

(くくく、全力でその程度だものなあ)

(おとーさん……大丈夫?)

 楽しげなエレノア、心配してくれるひかり。

「そうだな……」

 対照的な二人を握ったまま青いヤツを見る、まわりにいるアイギナ兵を見る。

「ここにいる奴らを皆殺しにする分には問題ない」

 おれは笑った、なんでか知らないけど笑った。

 なんだろうなこれ。ああ……わかった。

 楽しいんだ。楽しいからなんだ。

 楽しいから……久しぶりにやりがい(、、、、)のある戦いに感じられたから。

 おれは笑ったんだな。

「くそっ、強がりやがって。効いてねえはずがねえんだ! なら全員でひねりつぶしゃ問題ねえ。おい!」

「な、なんだ」

 アイギナ王子――キモンが反応した。

 おれが突っ込んできてからずっと、茫然自失だったそいつが我にかえった。

「なんだじゃねえ、やれよ!」

「はっ――、わ、わかった!」

 キモンは手をあげて、おれに向かって振り下ろす。

「全軍かかれ! 相手は一人だ!」

 総司令官の号令。

 遠巻きにしてた兵士がそれでやる気を取り戻して、襲いかかってきた。

「いいぞ、来い。もっとかかってこい!」

(まったく、この男は……六十と二)

(ななじゅうはち)

 近くにいる槍兵の二人の首を同時にすっ飛ばした。

 直後、巨大な盾を構えた兵が大勢突っ込んできた。長い槍を持ってる奴らと違う兵種だな。

 そいつらはくるりとおれを取り囲む、360度囲まれた。

 その後ろに光を反射するものが見える、盾の裏に武器が隠されてる。

「はあっ!」

 真っ正面の一人を盾ごとエレノアで真っ二つにする。すかさず両横の二人が盾で振り下ろしたエレノアを押さえてきた。

 押さえる動作の流れて、持っている手斧で斬りかかってくる。

(六十と三。見事なコンビネーションだ)

「だが遅い!」

 ひかりで二人ののど元を突いた。切っ先が延髄ごと貫通して、盾兵がほぼ同時にくずれ落ちる。

「「「うおおおお!」」」

 間髪おかず、盾兵が一斉に押し寄せてきた。

 押しつぶすように、盾でおれを押さえつけて動きを止めようとする。

「こんなもの!」

(おとーさん、上!)

 盾兵を一気に振り払った直後ひかりの警告が聞こえた。

 パッと上を向く、黒光りする魔法の矢が放物線を描いて飛んできた。

 パッと見て、優に百本越えている。

「うおおおおおお!」

 二振りの魔剣で乱舞する。降ってくる魔法の矢を一本ずつ、手数で打ち落とす。

 矢は魔剣にあたって、はじけ飛ぶ。

(よけろ!)

(おとーさん!)

 母娘の叫びが聞こえる、矢が一本乱舞の網をすり抜けてきた。

 目の前に迫る、もう避けられない。

「ふん!」

 おれは避けなかった。

 へその下にぐっと力を入れて、飛んでくる矢を体で受ける。

「「「おおおおおお!」」」

 アイギナ軍に歓声が走る、士気が俄然と上がっていく。

 ファーストアタック、はじめておれに当たった攻撃。

「そうだ、数で押せばいけるんだ!」

 王子の声に兵が反応する。

 魔法の矢が更に飛んできた。

 空を覆い尽くすほど大量の矢。

「あまい、あまいぞ! はっ!」

 横薙ぎ一閃、エレノアで虚空を斬った。

 切っ先が通り過ぎた後の空間に黒いつぶつぶが無数に出来た。

 それが徐々に大きくなって、漆黒の矢となって空に飛んで行った。

 矢が矢とぶつかった。同じものが真っ向からぶつかり合って、連装花火のごとくはじけ飛んだ。

「な、なんだと」

「ばかな。魔剣使いって魔法も使えるってのかよ!」

 キモンと青いヤツが驚愕する。

(久しぶりに魔法を使ったな)

「77倍でも覚えられたようだな」

 この世界では、素質さえあれば、一度喰らった魔法が使える様になる。

 くじ引きで全能力アップをもってやってきたおれは素質もアップしてる。

 普段はそしつも777倍だが、今は魔法陣の制限で77倍。

 それでも普通の人間の77倍。喰らった魔法をすぐに覚えて、それをやはり77倍の魔力で一気にうった。

 飛んでくる魔法の矢を全部打ち落とした。

「なんという……何という強さだ。これが噂の魔剣使いだというのか」

「くそ! だから魔剣使いに関わりたくなかったんだ! おいてめえ、どうしてくれるんだよ!」

「ええい離せ! お前には約束以上の報酬を前払いしてある。たらふく食っただろう、だったらこの状況を何とかしろ」

「何とかって! あんなのをどうすりゃいいんだよ!」

 わめく二人をよそに、兵を次々斬っていく、魔法で撃ち抜いていく。

 母娘のカウントがおれを昂ぶらせた。魔法陣の拘束を引きちぎる感覚が気持ちよかった。

 かつてない高揚感を覚えながら、アイギナ兵を倒していく。

「くっ、こうなれば一時撤退だ」

「おれもとんずらこくぜ」

「甘い! ここまで来て逃がすとおもうのか?」

「なに!?」

「……ふっ!」

 目を閉じて、魔剣の力を意識する。

 昂ぶった戦意、それに比例して沸き上がる力。

 魔剣の力を限界まで引き出して放出する。

 それはオーラになって、場を取り囲んだ。

 まるで――檻のように。

 青いヤツが飛び上がって、檻の天井にぶつかって、跳ね返された。

「ばかな、出られねえ!」

「おい! なんとかしろ貴様!」

「知るか! おれも出られねえんだ!」

 仲間割れをはじめた二人、そいつらを放置して、残ったアイギナ兵に向かって行く。

 こいつらはいつでも片付けられる、今はまず、残った兵だ。

(くくく、悪い顔をする)

(おとーさん頑張れ)

 悪いが、魔剣の贄になってもらうぞ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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