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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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151.戦場音楽

「なんだお前は――くわっ!」

「どうした――へぎゃっ!」

 真っ正面にワープして、エレノアとひかりで同時に兵士の二人を切り捨てた。

 鮮血が飛び散る、戸惑いが広がる。

 迷いと驚きがアイギナ軍の進行を止めた。

「だ、だれだお前は――」

「喋ってるヒマがあったらかかってこい!」

 誰何する兵士の首をすっ飛ばす。首から血が垂直に噴き出して、体が崩れ落ちる。

 返す刀で三人、近くにいたやつらをついでに斬り伏せた。

 こっちに倒れてくる兵士の死体を蹴り飛ばして、それにぶつかって体勢を崩した別の兵士も腰から両断する。

 斬って、道を拓いて、一直線に進む。

「敵襲、敵襲!」

「相手は一人だ。かかれー!」

 ようやくまともな反応が来た。

 隊長らしき兵士の号令で、他の兵士が一斉に持ってる槍を突いてきた。

「長いな!」

 ここでその事に気づいた。

 アイギナ兵が持ってる槍は長かった、他の国の兵のものに比べて2倍近く長い。

 当然、攻撃範囲が広い。兵士は隊長の号令と共に距離を取って、遠巻きにしておれを突く。

 エレノアを振る、集中攻撃の矛先を一気に払った。

 金属製の矛先が切りおとされ、驚きが波打つように更に広がる。

(遠いな)

 槍が長い分相手までの距離が、反撃までが遠い。

「なら縮めるだけだ!」

 ぐっと踏み込んで、前傾姿勢で兵に飛び込む。

 通常の倍の間合いを一瞬で詰めて、魔剣で兵を切り刻む。

 首を飛ばし、心臓を串刺しにし、肩から袈裟懸けで真っ二つに。

 一撃一殺、兵士相手に無双していく。

(じゅーに、じゅーさん、じゅーよん、じゅう……)

(何を数えてるのだひかり)

(おとーさんが、ひかりを使って斬った数なの)

(ほう、そんなのを数えてたのか。面白そうだな、我もやってみるか)

(おかーさんもいっしょにするの?)

(せっかくだ、競争でもしようか。どっちがより多く数を積み上げられるか。娘だからといって手は抜かんぞ。魔剣として負けられん)

(ひかりも魔剣だよ? それならひかりもおかーさんにはまけないよ?)

(くく、では勝負だな)

(うん! あっ、15 16 17 18――)

(一つ、二つ、三つ)

 一気によそ見して多分のカウントを進めるひかり、人数じゃなくて個数で数えるエレノア。

 母娘魔剣がまさかの事をやり出す中、おれは構わず兵士を斬り続けた。

 人体のパーツが飛び散る、鮮血の雨が降る。

 兵士が次々とかかってきては、一人残らず斬っていった。

「化け物め!」

「ひるむな! 相手は一人だ! 一斉にかかって押しつぶせ!」

 敵兵の士気は高いままだ。数の差が影響してるんだろう。

 何せ2000人もいる、こっちはたった一人だ。強気なのは当然だな。

(よんじゅうよん、よんじゅうご、よんじゅろく――)

(二十と一、二十と二、三。二十と四)

 おれが盛大に暴れ回っても、まだ全体の一割も減らしてない。それほどの数。

 だけど。

「いいぞ、実にいい。楽しくなってきた」

 興奮気味にいった。両手の魔剣が更にうなりを上げた。

 鮮血の嵐の中を縦横無尽に動き回る。

(くく、悪い顔をしてる)

(おとーさんかっこいいね)

(そうだな。悪くない。魔剣の使い手にふさわしい)

(うん!)

(――おい!)

 母娘の会話から一変、エレノアはおれに呼びかけた。

 意識の方向も変わった、その方向に視線を向ける。

 バタバタと倒れた兵士、割れた人垣からそいつの姿が見えた。

 馬の上に乗ってるアイギナの第一王子、そしてその隣にいる異形の男。

 距離はざっと百メートル。馬に乗って高い位置にいるからギリギリ見えた。

(いたな、ワープで詰めろ)

 エレノアの声に、反射的に異次元倉庫を開きかけた。

 が。

「いらん! 数を数えてろ!」

 手が止った、ワープはしなかった。

 せっかく魔剣の母娘が魔剣らしくしてるんだ、もっともっとさせてやろうと思った。

 ワープをしないで、さっきと同じまま切り進んでいく。

 それを気づいてるのかいないのか。母娘は何もいわないでカウントを再開した。

(ごじゅう!)

(三十と五。おい貴様、ひかりばかり使ってないか? もっとわれも使え)

(くふふ~。ひかり、おかーさんにかっちゃうね)

(まだまだ、本物の魔剣というものを教えてやるわ)

 二人の声はさながら戦場音楽、おれをさらに高揚させてくれた。

 血の臭いよりも、斬った感触よりも。

 母娘のカウントはおれを昂ぶらせた。

 惨殺のカウントが加速していく。

(六十と一――もはや人間の顔をしてないなこやつは)

(おとーさんやっぱりかっこいい! ななじゅうなな)

 やがて、道が完全に切り開かれる。

 ぐっと踏み込んで、一気に突進。

 なぜか呆然としてる異形のものを、オーラの腕でわしづかみにする。

「て、てめ」

「お前が元凶だな。とりあえず大人しくしてもらおうか。もうちょっと――」

「――舐めるな! 人間ごときがよ!」

 そいつはおれを振り払って、飛び退いた。

 着地するやいなや、近くにいる兵士を殺した。

 手を振り下ろして、手刀で縦に真っ二つにする。

 一人じゃない、そいつは更に兵士を殺した。まるで狂ったかのように、兵士の虐殺をはじめた。

「何だこいつ、仲間割れか?」

(……いかん! すぐにここから離れろ)

「は?」

 なにいってるんだエレノアは。ここから離れるって――むっ。

「体が――重い?」

「くくく……」

 異形の男が嗤った。口の端を器用に片方だけつり上げて嗤った。

 その足元が光っていた。

 いや足元だけじゃない。いつの間にか地面が魔法陣に塗りつぶされていた。

 見た事のない魔法陣、それが辺り一帯の地面を選挙していた。

「なん、だ。これは」

「動きをしばく結界よ」

「結界、だと?」

「おうよ。人間の血肉が大量にいる結界だが、発動したらそれまでよ。この中にいるてめえは力が十分の一に制限されるのよ」

 そいつは得意げに、胸を張って語った。

 十分の一、だと。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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