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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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150.二つの戦い

 やる(、、)前に、おれはいったん屋敷に戻った。

 歩いて屋敷に戻って、正面玄関から入る。すると音を聞きつけたのか、奥からバタバタと足音が聞こえてきた。

 現われたのは獣人メイドのミウだ。たった一人の奴隷メイドとしてこの屋敷の仕事を一手に引き受けてる。

 ミウはいつも通り、明るい笑顔でおれを出迎えた。

「お帰りなさいご主人様」

「ただいまミウ。ひかりはどこだ?」

 彼女を引き寄せて、軽くもふもふしつつ、ひかりの居場所を聞く。

「ひかり様なら、いま自分の部屋にいらっしゃいますけど。お呼びしますか?」

「いやいい、おれがいく。ひかりをつれて行くからな」

 一応ミウに言った。この後ワープするから、ひかりがいなくなった、って騒ぎにならないためにだ。

「……わかりました。いってらっしゃいません」

「ん」

 最後に一モフしてから、ひかりの部屋に向かう。

 部屋にはすぐにたどりついて、ドアを軽くノックした。

「いるか、ひかり」

「おとーさん?」

「ああ。入るぞ」

 一言断ってから中に入る。

 広い部屋の中でひかりがチビドラゴンと遊んでいた。

 手を取り合って、ダンスっぽい何かをしてる。

 楽しそうにしてて、この後なにもなかったらこのまま見ていたいくらい可愛い。

 可愛いけど、今はそうしてる場合じゃない。

 チビドラゴンを抱き上げて、バタバタ走ってくるひかり。

「おかえりなさいおとーさん?」

「ただいま。いきなりでわるいが。行くぞ、戦いだ」

「うん、わかった!」

 普通なら子供にする話じゃないが、ひかりはまったく疑問を持たず、無邪気な笑顔で頷いた。

 抱きかかえるチビドラゴンをおろし、頭を撫でる。

「みゅー?」

「いってくるねおーちゃん。帰ったらまたあそぼうね」

「みゅ!」

 いつも通り会話が通じてる感じで、チビドラゴンが笑顔で一鳴き。

 ひかりは最後に一なでして、おれの方に振り向いた。

「お待たせおとーさん」

 こっちを向いた瞬間ワクワク顔になった。まるで今から遊園地に行こうって言われた子供の様な無邪気な笑顔。

「ああ。行こう」

「うん!」

 目を閉じて、胸もとで手を組むひかり。人型の可愛い女の子から、見るも恐ろしい魔剣の姿になった。

 それを手に取る。相変わらず手になじむ感触。

 まるで体を一体化しているかの様ななじむ感触。

「いくぞ」

(うむ)

(うん!)

 魔剣の母娘が返事して、ワープの羽根で練兵場に戻ってきた。

 そこでは奴隷兵がほぼ総出でマロネイの住民、取り憑かれた連中を包囲して、拘束していた。

 連中の抵抗はあったが、訓練された奴隷兵の前では無力だった。

 暴れて襲いかかってきては、返り討ちにされている。

 ちなみに奴隷兵が働いてる中、指揮官のナナはほとんど見ているだけだ。

 剣を杖のようにして立たせて両手を置き、包囲した連中を睥睨してる。

(風格がでてきたな)

「もともとあるだろ」

(そうか? はじめて会った時はただ強いだけの女だったぞ)

「そうだっけ?」

 エレノアに言われて、ナナと出会った時の事を思い出そうとする。

 メルクーリに抵抗する蛮族の戦姫、ナナ・カノー。

 あの時から強くて風格もあったって認識だけど、エレノアから見たら違うのか?

(一本芯が通ってきた、いい女になった。貴様がいなければあれの使い手にでもなって世界を与えてやってたところだ)

「英雄やら覇王やらのようにか?」

(うむ)

「面白そうな話だ、しかしあいつはやらんぞ。ナナはおれの女だから」

(……お前も、くらい言えんのか)

 なんかぼそっとつぶやいたエレノア。

 エレノア声は頭の中に響くヤツだからか、聴力777倍の範囲外で、たまに聞き取れない時がある。

「なんか言ったか」

(な、何でもないわ! ……どうせ貴様に邪魔されてるからやれないと言ったのだ!)

 半ギレでエレノアが言う。

 ああ、なるほどな。うん、確かにおれが邪魔してる。

 マリの一件の後、これ以上犠牲者が出ないように、乗っ取られないおれがエレノアを管理してる形だ。

 それが不満ってことか。

「わるいが手放すつもりはないからな」

(わかっている――)

「お前もなんだかんだでいい女だからな」

(……ふぇ?)

 ん? なんかエレノアらしくない間抜けな声が聞こえたぞ?

(い、いまなんて?)

「お前もいい女だっていったんだが? ほら」

 意識をエレノアに通す。魔剣の力を引き出して、体の外に放出する。

 黒いオーラが体を包み、黒衣となって、腕となった。

「出会った時はこんなこと出来なかったが、今は出来る様になった。これだけでもお前はいい女だ」

(……)

 エレノアは黙ってしまった
「どうしたエレノア?」

(な、なんでもないわ!)

 さっきと同じセリフを口にしたエレノア。ニュアンスはさっきと微妙に違う気がする。

 テンションの起伏が激しいな、こいつ。なんかあったのか?

 まいっか、それはあとで考えよう。

「閣下!」

 オーラを出したおれに気づいて、奴隷兵第一小隊長ニキが小走りでやってきた。

 遠くでナナもおれに気づいたが、視線をちらっと向けてくるだけで、すぐにまた男達を監視に戻った。

 仕事人って言葉を思い出しつつ、ニキにいう。

「ごくろう。問題は?」

「ありません!」

「そうか、よくやった。今からおれがケリをつける、全員を下がらせろ」

「はっ!」

 ニキはかかとを揃えて敬礼して、元の場所に走って戻っていった。

 命令がすぐに伝達されて、奴隷兵は隊列を維持したまま後退をはじめた。

 代わりにおれが前に出た。

「やるぞ、エレノア、ひかり」

(……ふん)

(ひかり、がんばる!)

 オーラを出して、取り憑かれた男達に近づく。

 憑いてるものをオーラの腕でつまみ出して、握りつぶす簡単な作業。

 数は多かったが、全部片付くまで10分もかからなかった。

     ☆

 マロネイ郊外。撤退していくアイギナ軍を遠くから眺めていた。

 キロ単位で離れてるアイギナ軍は人々って言うより、一つの大きい塊にみえた。

「覇気がまったく感じられねえな」

(意気込んでやってきたはいいが何もなくて肩すかしを食らったのだ。そうもなろう。それに)

「それに?」

(デルフィナにさんざんやり込められたのだろうよ。優位に立ったあの女の交渉――いや恫喝か。相当エグいものと見た)

「……なんか分かる」

 想像してちょっとぞくっときた。

 デルフィナの交渉。

 なんかものすごいパワーワードに聞こえてくる。

(で、どうするのだ? あれもついでにやってしまうか?)

「そうだな……デルフィナにきいてからにしよう」

(わかった)

「じゃあとりあえずマロネイに――」

 戻ろうとしていったんは身を翻したが、パッとアイギナ軍の方に振り向いた。

(どうした)

「あれ」

(あれ?)

「見えないのか? ほらあのど真ん中に、指揮官っぽいのが馬に乗ってるその横に」

(貴様の目と一緒にするな。そんな遠くのものがみえるか」

(ひかりは見えるよー。なんか青い人がとんでるね)

 無邪気な声で答えるひかり。

 ひかりはおれの娘で、能力を一部受け継いでる。だから見えるんだな。

(青い?)

「肌が青くて、頭に角生やしてて、鋭い牙がある。人間じゃないなありゃ」

(なるほど。黒幕くさいな、それは)

「気が変わった。あれを捕まえる」

(そうだな、目の前にいるのならその方がいいだろう)

「いくぞエレノア、ひかり」

(ああ)

(がんばる)

 魔剣の母娘を握り締めて、おれは2000人のアイギナ軍に向かっていった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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