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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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148.魔剣使いの宅急便

 次の日。

 マロネイの滞在先、デルフィナ商会の建物の中。

 デルフィナの部屋で、彼女は朝から机にかじりついて仕事している。

 それを少し離れたところのソファーから眺めていた。

「いい女だ」

(一度貴様の『いい女』とやらの基準をじっくりと聞いてみたいものだ)

「おれが抱きたくなる、それだけだが?」

(シンプルのように聞こえて、その実答えになってないな)

「そうか? 普通にシンプルだろ」

(こっちが質問しているのだ、もう少し言語化する努力をしたらどうだ?)

「してるだろ。おれが抱きたくなる」

(そういうのを言語化とはいわん)

 エレノアの呆れた感情が脳内に流れこんでくる。

「そもそも、言語化ってのを聞いてどうする」

(……)

「エレノア?」

(ひ、ひかりがそうならんように指導するのだ)

 なぜかエレノアから流れてくるのが呆れから焦りに変わった。

 何をいきなり焦ってるんだこいつは。

「ひかりの事なら心配する必要はない。娘なんだから」

(ふん、どうだか)

「親ばかとかからかってくるのにそういう心配するのか」

 久しぶりにちょっと困った。ちょっとだけだ。

 そんな風にエレノアとどうでもいいおしゃべりをしてると、ドアがノックされて一人の女が入ってきた。

 メガネを掛けた、インテリ風の若い女。

 顔つきはデルフィナと同じ系統、可愛いよりは美人系だ。

「ご報告です、マスター」

「何か起きたのかしら?」

「はい……」

 女は微かに頷いた後、おれをちらっと見た。

 部外者がいると話せないことか。

「構いませんわ、話しなさい」

「……はい。街に暴動が起きてます」

「暴動? いつものように鎮圧なさい」

「いつもの様に?」

「ええ、これですわ」

 デルフィナが胸もとから何かをつまみ出すジェスチャーをした。

 おれがあの黒いのをつまみ出すのを連想した。なるほど、あれが原因で起きてる暴動で、今までも起きてたって事か。

「それがマスター……頻発してます」

「頻発?」

「今朝から急に起きるようになって。現在報告を受けたもので七件、報告は来てないけどあきらかに様子がおかしいのが五カ所」

「……」

 デルフィナの形の良い眉がはっきりとハの字になった。

「十二カ所も暴動が起きてるのか」

「最低で」

 おれをちらっと見て、返事をする。

 報告をうけたデルフィナは考え込んだ。

「鎮圧は……時間掛かりますわね」

「そうなのか?」

「これほどの暴動が一斉に起きるなんて想定してませんでしたわ。アイギナの役人に代わる自警団を用意してますが、規模が……」

「そうか。デルフィナ――」

 名前を呼んだ瞬間、デルフィナは手をかざした。

 手のひらをおれに向けてくる、黙ってろ、って言われた気がした。

 そのポーズのまま、デルフィナは少し考える。

「冒険者ギルドに要請。報酬は通常の三倍。今日中に複数箇所鎮圧出来る冒険者には更に倍出すと伝えなさい」

「承知しました、マスター」

 女は腰を折って一礼して、部屋から出て行った。

 デルフィナの意思がはっきり伝わってきた。おれの力は借りないで処理したい、って意思が。

(女の意地だな)

 分かってる。

 声を出さないでエレノアに答えた。

 デルフィナがそうしたいのなら、させてやろうと思う。

 まあ、指示とか聞いてるとどうにかなりそうだしな、時間がかかるだけで。

 そういうことなら、おれはここにいない方がいいのかもな。

 ソファーから立ち上がって、デルフィナに言った。

「用を思い出した、ちょっと屋敷に戻る。夕方頃に――」

「マスター!」

 パン! ドアが壁にたたきつけられるで開いた。

 さっきの女が血相を変えて部屋に飛び込んできた。

「どうしたの?」

「あ、アイギナが。アイギナ軍がこちらに向かってきてます」

「……そういうこと」

 デルフィナはこっちにも聞こえるくらいの勢いで歯ぎしりした。

     ☆

 マロネイの外れ、街壁の上。

 デルフィナと一緒にやってきたおれは、777倍の視力で遠方を見ていた。

「来てるな。ざっと数えて2000、ってところか」

「そうですか……」

「旗もある、こんなマークだ」

 オーラを出して、見えた旗についてるマークを作ってみた。

「総理王大臣の旗ですわね」

「聞いたことある肩書きだな」

「アイギナ王国第一王子・総理王大臣、キモン・モ・アイギナ。カケル様も一度会ったことがありますわ」

「なるほど」

 顔なんて思い出せないし名前も微妙に聞き覚えるかどうかのラインだが、総理王大臣という肩書きはなんとなく覚えてる。

「そいつが軍を率いてるって事か」

「ええ。同時に……見えましたわ。今回の黒幕が」

「ほう?」

「現在マロネイでは暴動が起きております。原因はあの黒いもの」

「ああ」

「今の時点でもわたくしの手に負えない程の規模になってて、この後も更に拡大する可能性がございます。そしてここからが重要」

 デルフィナはため息をついた。

「金で街を買ったとは言え、この街は名目上アイギナのまま。名ばかりの役人が派遣されているのもそのせいですわ」

「なるほどな」

 理解した。

「暴動鎮圧っててい(、、)で兵を送り込んで、暴動を鎮圧したあとそのまま駐留する、ってわけか」

「ええ。何もなければ兵は送れませんわ。名目上支配下の街に兵を送って奪い返すなんて話になれば各国の笑いものになります。しかし大規模な暴動が起きれば」

「大手を振って兵を送れる、と」

 デルフィナが頷く。

「あれが城内になだれ込んで、暴動の一つでも鎮圧すればわたくしの負けですわ」

 遠くに巻き起こる軍の砂煙を見る。到着するまでざっと三十分ってところか。

「……お願いしますわ」

 デルフィナが折れた。

 自分でやりたかったが、状況から判断して、突っ張っても仕方ないって思ったんだろう。

「任せろ」

「こちらはサポートと、後処理を」

「暴動が起こってるところの情報だけくれ、後処理は後でいい」

「え? しかし暴動の痕跡、人的証拠が残ってると――」

 デルフィナが首をかしげる中、おれは振り向いて街の中を見た。

 ちょうどいい具合に、二百メートルくらい離れたところに暴動が起きている。

 あきらかに正気を失った者同士が向こう見ずのケンカをしてる。

「見てろ」

 異次元倉庫を開いて、ワープの羽を取り出した。それを使って暴動の場所に飛ぶ。

 近くにとんで、詳しい状況を把握する。そこで十数人の男が乱闘を繰り広げている。

 どいつもこいつも正気をなくして、獣のようなうなり声を上げている。

 何人かは拳から血が噴き出してるってのに、それも構わず相手を殴り続けてる。

(やるのか?)

 エレノアのうずうずした声が聞こえる。

「お前の出番は後だ」

(むっ?)

「まずは……こうする」

 ワープの羽を更に使った。

 そこにいる乱闘してる連中、黒いものに取り憑かれてるような連中を連れて、まとめてワープした。

 移動した先はレイウースの屋敷、奴隷兵の兵舎前の練兵場。

「閣下!」

 そこにニキがいた。自主鍛錬してるみたいだ。

「奴隷兵は何人いる?」

「はっ、第二小隊以外全員いるであります」

「招集をかけろ。これからどんどん連れてくる。ここに包囲して一人も逃さないようにしろ」

「はっ!」

 ニキが兵舎の中に入って、奴隷兵が次々と飛び出てくるのを確認する。

 中にはナナの姿もいる。

 それで安心したおれはワープの羽を使ってマロネイに戻った。デルフィナのところに戻ってきた。

「カケル様!」

「こんな感じでよそに移せば証拠はないだろ」

「……はい!」

「ってことで、情報頼む。間に合うか」

「間に合わせますわ」

 はっきりと頷くデルフィナをワープの羽で商会につれて戻った。

 彼女は部下から情報をかき集めて、おれが出向いてワープの羽で憑かれてる人間ごと練兵場にワープさせた。

 アイギナ軍が到着したころには、マロネイで憑かれてる人間は一人残らず消えていたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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