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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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141.いまはわかりません

 デルフィナに会いに来た。

 気絶した借金取りが持ってた借用書を彼女に突きつけると、表情が一瞬で変わった。

「なぜ……」

「本物らしいぞ」

「わかりますわ」

「分かるのか」

「ええ……」

 苦虫をかみつぶした顔のデルフィナ。執務机の引き出しから一枚の紙を取り出して、おれが渡した借用書と一緒に机の上に並べる。

 何かの書類みたいだ。

 持ってきたものと文面は違うが、最後のサインだけ一緒だ。

 おれでも分かる、同じ人間がしたサインだ。

「どういうことだ?」

「いまは分かりません」

 デルフィナは静かに答えた。

 苦い表情は変わらないが、ほとんど即答だ。

「分からないのをはっきりいうんだな」

「わたくしはいま、カケル様と試用期間の契約を結んでおります」

「うん? ああ、そうだな」

 なんの事かって一瞬思ったが、デルフィナをはじめて抱いたときの事を思い出す。

 彼女は「自分を丸ごと買い上げられる男」を望む、おれはまだ変えるほどの財力はない。

 その代替案として、試用期間、という形で落ち着いた。

「恥の上塗りはわたくし自身の商品価値を下げてしまいます、最悪返品を招く事態になりましょう。ですのではっきりと申し上げました」

 息を吸って、おれをまっすぐ見つめて、挑む様な目で宣言する。

「いまは、分かりません」

「……そうか」

 デルフィナの言葉をかみしめる。

(くく、貴様のまわりは面白い女が多い。しかも皆違った面白さときた)

 まったくだ。

 デルフィナといい、他の女といい。

 おれのまわりには面白くて、気が強い女が多い。

「どれくらいで分かる」

「すぐに」

 明言をさける、しかし決意だけ強く露わにするデルフィナ。

 本気みたいだな、なら後は任せていいか。

 デルフィナは立って、手を叩いた。

 ドアはすぐに開いて、一人の男が入ってきた。

 何回か見た事がある、彼女の部下だ。

 デルフィナは男に耳打ちした。口調に怒りが籠もってる。

 ますます、任せていいかなと思って、おれはひとまず戻ろうとワープの羽を取り出した。

「何をするの!」

 デルフィナが叫ぶ。

 驚きと、怒りがない交ぜになった声。

 彼女を見る、さっきまで従順だった男が豹変して、彼女の腕を浮かんだ。

 唇をすぼめて、キスを迫り、押し倒そうとしてる。

 ……はあ?

 ずんずんと近づき、無言でエレノアを振り抜いた。

 男の首がすっ飛んで、一秒遅れて血が間欠泉のように吹き出した。

 ゴトンと転がる首、崩れ落ちる体。

 いきなりの事で息を切らせるデルフィナ。

「大丈夫か?」

「……ええ」

「どういう事だ」

「分かりません。途中まで命令を聞いていたのですが、急に豹変を」

「前兆は?」

「わたくしに懸想しているのだけれど、迷ってる内にあらゆるチャンスを逃すほど臆病な男ですわ。間違ってもわたくしを――ましてやカケル様もいるこの空間でわたくしを襲えるような男ではありません」

「酒でも飲んだか、クスリでもキメたか」

(そのどれでもないようだな)

「むっ……まさか」

 エレノアが会話に割り込んできたから、第三の可能性を思い当たる。

 直後、男の死体から黒い何かがにじみ出た。

 それまで取り憑いてたのが、宿主が死んだことで漏れ出したようす。

 黒いオーラを纏って、腕にしてそれをつかむ。

 借金取りと同じものだ。

「またこれか、どうなってるんだ一体」

「アイギナ……」

「アイギナ?」

「この男も、あの借金取りも。アイギナの出身ですわ。そして……」

「……ネオラの父親も、か」

 こくりと頷くデルフィナ。

「いままでこういうのはあったか?」

「まったく」

 デルフィナは即答した。

 コモトリアで見たのと似てるこの黒い何か。

 それがいきなり複数見つかる様になった。

「アイギナで何か起きてるようだな」

 おれのつぶやきに、デルフィナは重々しく頷いたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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