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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣エレノア編

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13.死霊の軍勢

(くっ、貴様なにものだ)


 魔剣が聞いてきた。おれがくじ引き券を拾ってる間も、そいつは色々と何かをして来て、おれを乗っ取ろうとしていた。

 だけど上手くいかない、それでしびれを切らして聞いてきたんだろう。

「結城カケルだ」

(名前なんぞ聞いてないわ! 貴様が何者かと聞いている。なぜ我が取り憑けん)


「なぜって言われてもなあ……」

 なんでなんだろう。

(我が取り憑けるぬ人間なぞ初めてだぞ。むっ、貴様、その魂の色)


「え?」

(なんだその色は、貴様ただの人間ではないな?)


「ただの人間だけど……」

 あっ、ただの人間じゃないのかも知れない。もしかして異世界の人間とその辺で何か違いがあるのかも知れない。

(この色……覇王ロドトスに似てる……? いやそれよりも……)


 魔剣はなんかぶつぶつつぶやいてた。

「さて、お前をどうするかなんだよな」

(むっ?)


「やっぱりこのまま叩き折った方がいいのか? うーん」

(我を舐めるな人間。体を乗っ取らずとも、貴様を葬る手立てくらいある)


「えっ」

 油断してたからビックリした。何かくるのかと身構えた。

 すると、魔剣が光った。黒く――まがまがしい黒い光を放った。

 次の瞬間、地面からボコボコと生えてきた。

 ロープを纏った死霊、鎧姿のスケルトン、うめき声を漏らすゾンビ。

 まさしく――。

(これが、かつてのレトリア帝国を蹂躙したわが死霊の軍勢よ。死霊ども、こいつを殺せ!)


「くっ、油断した」

(あっはははははは)


 脳内に響く高笑い。

 死霊の軍勢が一斉に襲いかかってきた。

 殴ろう――と思ったが、手のひらの中にあるそれを思い出した。

 魔剣。こいつらを召喚した張本人だけど、剣である事は変わりない。

「……」

 試しに魔剣を振ってみた。先頭に突っ込んでくるスケルトンに向かって振り下ろした。

 かぶとを割って、脳天からスケルトンを真っ二つにした。

「おっ、いけるな」

(なっ、貴様何をしている! 我を使って我のしもべを攻撃するなどなんたる不遜!)


 なんかわめいてるけど、無視して魔剣をふるいつづけた。

 スケルトンの剣を受け止め、骨を砕く。

 死霊の魔法を吹き飛ばし、ロープごと切り裂く。

 ……体液が微妙に気持ち悪かったから炎の魔法で遠距離からゾンビを焼き払う。

 襲ってくるモンスターを倒していった。

(人の話を無視して……ならばこれでどうだ!)


 何かを言った直後、魔剣が一気に重くなった。取り落としそうになる。

 ズブリ、と、まるで包丁を豆腐の上に落とした、そんな勢いで魔剣が地面にめり込む。

(ふはははは、どうだ。こんなこともできるのだよ。今の我は巨竜にも匹敵する程の重さよ)


「巨竜? おいおい質量保存の法則とかどうなってるんだよ」

 ……異世界で言う台詞じゃないけど突っ込まずにはいられなかった。

(さあどうする、これでも手を離さないか? それならそれでいいぞ? 我を掴んだまま死霊の軍勢に――)


「ふんっぬ!」

 腰に力を入れて、魔剣を思いっきり引っこ抜いた。

 確かに重いけど、なんとかならないってレベルじゃない。

 ハンマー投げみたいな感じで、遠心力を使って魔剣をぶん回した。

 無双再開だ! 死霊の軍勢を更になぎ倒していく。

(き、貴様、でたらめだぞそれは! なぜ我を振れる、重くないのか貴様!)


「いや重いよ、見てわかるだろ」

 重くなかったらこんな振り方してないし。

(そういうレベルじゃないわ!)


 更にわめく魔剣。

 迫ってきたスケルトン(もう何体目なのかわからない)を砕いたあと、地面に転がった骨の間から光ってるものが見えた。

 見覚えるのある光――くじ引き券だ。

 なるほどこうしてモンスターを倒しても出る時があるのか。

 やる気が出てきた、ペースを上げて倒していった。

 軍勢、と呼ぶにふさわしいモンスターを倒しきる頃には、さすがに背中が汗だくになっていた。

 終わった後、おれはくじ引き券を回収して回った。

 あれから数えたけど、大体100匹に1枚のペースで落ちていた。ドロップの割合としてはどんなもんなんだろう。

(貴様、さっきから何をしている)


 魔剣が聞いてきた。

「何って……これを拾ってるんだけど?」

 魔剣を持ったままくじ引き券をヒラヒラと見せた。

 言葉はない、だけど頭の中で魔剣が困ってるって気配が伝わってきた。

 ……見えてないのか。

 このくじ引き券ってもしかしておれ以外の人間には見えないのかな。今度くじ引きに行くときに聞いてみよう。

 と思ったけど、その「今度」は意外と早く訪れた。

 くじ引き券を全部拾うと、前のと合わせて丁度十枚になった。

 十枚のくじ引き券、これでおまけ含めて11回回せる。

 早速回しに行こうと思った。

 どうやってあそこまで行くのかな、適当に歩いてればいいのかな?
 行きたい、と頭の中で思いながら、魔剣をもって森の中を適当に歩き回った。

 ふと気がつくと、景色が一変していた。

 薄暗い森から、いつの間にかあの部屋にやってきていた。

 くじ引きの部屋、スタッフの人もちゃんといる。

 これで来れるんだな。

 おれはスタッフ……そして抽選器に向かっていった。

「ども、くじを引きに来ました」

「お客様、関係ない人を連れてこられるのはちょっと困ります」

 スタッフは何故かそういい、ジト目でおれを見た。

「え? 関係ない人? だれも連れてないけど?」

「じゃああそこにいるのは?」

 スタッフがおれの背後をさす。

 振り向くとそこに幼女がいた。

 ワンピースを着た五歳くらいの幼女で、彼女はビックリ顔で自分の手のひらを見つめていた。

「この姿は……我が人間だった頃の姿」

「我?」

 聞き覚えのある一人称と口調だ。もしかしてこの幼女って――。

「何故こうなったのはしらんが――これなら手出しできる。しねえぇぇ!」

 幼女が突進してきた……が、おれは落ち着いて止めた。

 手をつきだして、頭を押さえる。

 幼女がしてきたのは……だだっ子パンチ。

 見た目に似合いすぎて怖いくらいの、可愛らしいだだっ子パンチ。

 あたらないだだっ子パンチ、涙目の幼女。

 幼女は飛び退いた。

「くっ! 肉体を持ったのは数百年ぶりだから仕方ない。だが今なら、剣としての我を持たない貴様なら死霊達で倒せる」

「むっ」

「出でよ! 死霊の軍勢」

 手を突き上げた。おれは身構えた。

 シーン。

 何もおきなかった。

「なぜだ! 何故出ない!」

「……」

 警戒を解く。何となくわかった。

 いやなんでこの姿になってるのかわからないけど、今のそいつは何も出来ないことがわかった。

 なので、後回しにした。

「すいません、十枚たまったんでくじ引かせてください」

「いちいちわれを無視するなあああ」

 後ろから叩いてきた。

 ポカポカ、ポカポカ。

 くっ、今まで一番手ごわかった。いろんな意味で。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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