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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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133.お手本の女

 まどろみの中、誰かがそばで話してるのが聞こえる。

「うふふ……」

「姉上、すごく嬉しそうだ」

「嬉しいわよ、だって、イリスもカケル様に可愛がってもらえたと思う。ふふ……」

 なんだか頭がくすぐった。

 薄目を開けると、ヘレネーとイリスの姿がみえた。

 ヘレネーはおれの頭をそっと撫でて、髪の毛先を指でいじってる。

 イリスはそれを隣で見つめてる。

 話の内容が気になったから、おれはタヌキ寝入りを決め込んだ。

「わたしも可愛がってもらえたのが嬉しいのか、姉上」

「もちろんよ。カケル様に可愛がってもらえる、女にとって、これ以上の幸せは存在しないのだから」

「そんなに、か」

「イリスは既に体感してるはずよ」

「体感……」

「カケル様の腕の中、そうしていただいてる時の幸せを既に味わっているはずよ」

「それは……」

 言いよどむイリス。

 薄目を開ける、顔を赤らめてもじもじしてるのが見える。

 かわいくて――起き上がってまた押し倒したいくらいかわいかった。

「姉上、一つ、聞いてもいいだろうか」

「何かしら」

「この気持ち、この感覚。これは、カケル……だけ?」

「出来るだけ、客観的に伝えるわ。いまイリスが感じてるもの、おそらく他の男も与えることが出来ると思う」

「……え?」

 驚くイリス、泣きそうな声をしてる。

 それに対して、ヘレネーはふふ、と、悪戯っぽい笑みで続ける。

「カケル様から与えられるのは並みの男の数十――いえ数百倍もあるのだと思うわ。数百年かけて醸造した美酒と、囚人の密造酒の差くらいあると思うの」

 なんだ囚人の醸造酒は。

「ああ、兵どもが作ってるのと同じヤツだな。支給された兵糧に唾液をつかって発行させたもの」

「イリスにはそっちの方がなじみあるのね。ええ、そう。どっちもアルコール、酔うことは出来る。だけど、いいお酒はただ酔うだけではない」

「……うん」

「カケル様の寵愛もただ幸せというだけではない。心も、体も。女としても、人間としても。全てを満たしてくれる寵愛なの」

「……わかる、気がする」

「カケル様が与えて下さる物は他の男でも多分可能。でも、圧倒的に薄くて、劣悪なもの。わたしはそう思う。だからね」

「姉上……」

 おれの頭から手の感触が消えた。

 薄目を開けると、ヘレネーがイリスの頬に手を触れてるのが見えた。

 慈しむヘレネーの顔と、それをまっすぐ見つめるイリスの瞳。

「イリスがアイギナの王太子ではなく、カケル様の寵愛を頂けるのは嬉しい。姉として、こんなに嬉しい事はない」

「……ありがとう、姉上」

「おかしな子。わたしはただ喜んでるだけよ」

 くすくすと、鈴を転がす声で笑うヘレネー。

「うん。それでも、ありがとう」

「姉上」

「なあに?」

「そうすれば、もっとカケルにふさわしい女になれるのだろうか」

 イリスらしい質問だ。

 そんなことを考える必要はない、イリスらしくしてればいい。

 いい女は自分らしくしてるのが一番いい女たり得る。

 おれはそう思う、まわりの女達がそう。

 だから体をあげてそう言ってやろうと思ったが。

「それが一番の問題だわ」

 ヘレネーの声のトーンが変わった。

 それまで妹を慈しむ優しい姉の声だったのが、一瞬で悩める子羊のような感じになってしまった。

「それは、わたし達もずっと考えている事。幾度なく顔を合わせて討論をしたことでもあるの」

 わたし達?
「わたし達?」

 イリスが同じ疑問をもった。

「わたしと、ルカ女王陛下、アウラ王女殿下、フィオナ女王陛下、マリ女王陛下。皆で顔をつきあわせて、討論に討論を重ねてきたわ」

 なんだそのとんでもないメンツは。

 ちょっとした……マジモンのサミットじゃないか。

「世界中の、そして歴史上のどの英雄よりも遙かに器の大きいカケル様。そんなカケル様に、わたしたたちはどうすればふさわしい女になれるのか」

「……」

「一方的に寵愛を受けるのは幸せだけれど、女としてもどかしいの」

「分かる……気がする」

 同意するイリス。

 おれからすりゃ考えすぎって思う。

 隣にいる王女姉妹も、いま名前があがった女達も。

 全員がいい女で、そんなことを考える必要がないくらいいい女だ。

「何回かの討論で、手本になる女性が二人いる、そう結論つけたの」

 二人? 誰と誰だ。

「一人目は?」

「デルフィナ・ホメーロス・ラマンリ。彼女は今、おそらく一番カケル様と対等的な関係にある」

 デルフィナか。

 まあわからんでもない。いい女だし、完全におれの女って訳でもないし。

 彼女を完全におれの物にするには、彼女の財産を丸ごと買い上げる必要がある。

 そういう意味だと、ヘレネーたちが手本にするのは分かる。

 となると、もう一人ってだれだ?

 一人がデルフィナなら、もう一人は……うーん。

 心当たりがない。全員がいい女だけど、こいつらが手本だというほどぬきんでてるやつ、いるっけ。

 もしかしてひかりか?

 そうかもしれない。

 ひかりも今後いい女になるはずだからな。

「もう一人は? 姉上」

 急いた様子で問い詰めるイリス。おれも気になって耳を澄ませた。

「ミウ・ミ・ミュー。カケル様に仕えるメイドよ」

 出てきたのは、かなり予想外の名前だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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