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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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130.魔剣の力

 鬼と撃ち合う。真っ向からぶつかり合って、大岩がすっとぶほどの衝撃波が出る。

 ガキーン!

 相変わらずの金属音、ものすごく硬い鬼の右腕。

「エレノア!」

(うむっ)

 力を込める。

 777倍の腕力、魔剣エレノアの力。

 融合した一撃を鬼の腕に押しつける。

 ズプリ! 刃が腕にめり込む。

「はあ!」

 更に勢いをつけてエレノアを振り抜く。瞬間、鬼の腕が中を待った。

 放物線を描いてすっ飛んでいく腕。

 鬼は絶叫をあげて、残ったもう一本の腕で殴りつけてくる。

「ひかり!」

(がんばる!)

 ひかりで迎え撃つ。拳と撃ち合って、縦に切り裂く。

「GYAAAAAA!」

 悲鳴の様な絶叫をあげて、よろめき、後ずさりする鬼。

 追撃する。二振りの母娘でめった斬りにする。

 赤い魔力と鮮血が飛び散る、肉を削っていく。

 やがて、鬼は人に戻った。

「ぐふ……がはっ!」

 裸の格好で、王が血まみれになって地べたに這いつくばってる。

 右腕が肘から先がない。

 落とした右腕は離れたところに転がってて、これも人型に戻ってて、クシフォスを強く握り締めたまま。

「まだ……まだおわらぬ……がはっ!」

「……」

 王を無視して、落ちてるクシフォスに向かっていく。

 そいつさえ砕けば話はすべて終わる。

 クシフォスの前に立って、エレノアを振り上げる。

「やめろ……やめろおおおお!」

 王が飛んできた。

 どこにそんな力が残ってるのかってくらいの勢いですっ飛んできて、左の拳を放ってくる。

 ロウソクの前のなんとやらか。

 ひかりを持ったままの裏拳で殴り飛ばす。

「いい加減あきらめろ」

「やめろ、やめてくれ」

「――はあっ!」

 王の制止を無視して、エレノアを振り下ろす。

 地面に転がっていたクシフォスが、綺麗な金属音を立てて真っ二つに折れた。

「あ、あああ……」

 絶望のうめきを漏らすメルクーリ王。

「これで終わりだな」

(そうだね)

(ヤツはどうする)

「クシフォスがなくなればなんも出来ないだろ。腕をくっつけてやって国に送り返してやる」

 そういいながら、異次元倉庫を開いて、魔法の玉(白)を取り出す。

(治療までするのか。お優しいことだ)

「イリスも殺すことを望んでないだろ。クシフォスを砕いた。それで目的達成だ。……文句でも?」

(ないさ)

 エレノアは割と上機嫌そうだった。

 クシフォスを砕いた直後から上機嫌なのが伝わってきた。

 魔剣として自分の方が格上、って証明できたから何だろう。

 文句はないが、とりあえず放っておいた。

 思うところがあって、真っ二つにしたクシフォスをひかりで念入りに砕いたあと、横に落ちてる腕を拾って王の所にいって、魔法の玉で治してやった。

 腕がくっつき、怪我が完治する。

 が、王はうなだれたまま動かない。

 ぶつぶつ何かつぶやいてる。

 わかりやすく、クシフォスを砕かれたショックにうちひしがれる。

 これも無視。男のメンタルまでケアする義務はない。

「カケル!」

 イリスの声がして、振り向いた。

 剣をおさめた彼女が駆け寄ってくる。

 離れたところに小鬼の死体が四つ転がってる。

「大丈夫だったか?」

「大丈夫だ。父上は――」

「体は治した。後は任せる」

「わかった」

 イリスは懐から筒状の様なものを取り出して、空に向けて放り投げた。

 それは途中から溶ける様に光になって、更に空に向かって飛んで行って、空中で花火のようにはじけた。

 信号弾か。

 しばらくすると、大勢の足音が聞こえた。

 やってきたのはメルクーリ兵、ざっと数えて百人はいる。

 今の信号弾でイリスが呼びつけたんだな。

 兵士はイリスの前にやってきて、びしっと敬礼した。

 イリスは兵士達に何かを言いつける。兵士達は王の所にいって、丁寧に起こして、運んでいった。

 これで一件落着、だな。

 あとは――イリスだ。

 イリスを見る、目が合って、顔を真っ赤にして目をそらされた。

 さっきまでの勇ましい感じがどこへやら。可愛さが目立つ女に変貌した。

 可愛い。ギャップがとても可愛かった。

 近づく、手が届く距離からまっすぐ見つめる。

「終わったぞ」

「……うん」

 恥じらいを残したまま、イリスは決意した顔でおれをまっすぐみる。

「わたしを、カケルのものにしてくれ」

「なにか希望は? なんでもかなえてやるぞ」

「好きにして欲しい」

「うん?」

 更にまっすぐ、力強くおれを見つめて。

 はっきり頷くイリス。

「カケルの……好きにして欲しい」

 そう言う意味か。

 進んで……望んで「何でもいい」という事か。

 イリスらしくて、ますます可愛く見えてきた。

「好きにする」

「うん……」

 そして、頬を染めてうつむく。

 肩に手をかけて、顔を近づける。

 イリスは目を閉じた。

 近づく唇と唇。

 そして。

『ぐおおおおおおおお!』

 大地が震撼して、キス顔のイリスがバランスを崩す。

 肌にピリリと突き刺すほどの衝撃波。

 目を開けるイリス、パッと振り向くおれ。

 そこに――鬼がいた。

 さっきとまったく同じ鬼、全身が赤く脈打つ鬼。

 鬼のまわりを兵士達が取り囲んでる――いや侍らされてる。

 精気がなく、目がどことなくうつろで、そのくせ殺気をこっちに向けてくる。

 更に、赤い光を体に纏ってる。鬼と同じ赤い光だ。

 地面をみる、粉々に砕いたクシフォスが転がってる。

「クシフォスの力……でもどうして」

「おいエレノア!」

(隠し球のようだな。おそらく王の中に潜んでいたのだろう)

 推測口調、どうやらエレノアも知らなかったみたいだ。

(もともと二つに分離してたのだ、分けたり乗り移ったりするのが出来るようだ。新しい芸風を身につけたのだな)

「そうか」

(おとーさん、どうするの?)

「……」

 イリスを見る。困ってるのと懇願するの、間くらいの表情をしてた。

 そんな彼女にキスをする。

 きょとんと驚かれる。

「任せろ」

「……うん! お願い」

 イリスを置いて、鬼と兵士に近づいていく。

(どうするのだ? ただ倒したんじゃまた依り代を元に復活しかねん)

 わかってる、そういうタイプだろうな。

 そう言うタイプの相手なら、やり方を変えるまで。

「ついでにお前の株も上げてやるよ」

(われの? なんの話だ)

「ひかりも手伝ってくれ」

(うん! ひかり、なにをすればいい?)

 答えず、代わりに行動で示す。

 エレノアとひかり、二人を鞘に収めたまま目を閉じた。

 存在を強く感じとる。

 力を――母娘の力をたぐり寄せる。

「オーラが……」

 イリスのつぶやきが聞こえて、目を開ける。

 未だかつてないほどオーラを纏っていた。

 一部が黒衣になって体を覆い、のこった大半が体のまわりにまとわりついてる。

 まるでバトル漫画の主人公だな。

 その状態で無造作に鬼と兵士に近づく。

 近づいて、オーラを伸ばした。

 赤い光を放つ兵士と鬼に漆黒のオーラを被せる。

 赤い光が抵抗をするのを感じる、無視して押し込む。

 押し込んで、王と兵士からクシフォスを引きはがす。

 綱引き。

 赤い光と漆黒のオーラが、兵士を巡っての綱引き。

 次の瞬間、まわりの景色が一変した。

 洞窟から出て、森の中にいたのがまったく違った場所に飛ばされたかのように。

 光に満ちた空間。

「これは……」

「おとーさん、すっぽんぽんだ」

 母娘の声が聞こえた。

 振り向くと、真後ろに二人の姿があった。

 人の姿になっている母娘は真っ裸だった――ついでにおれも真っ裸だった。

「精神空間か」

「そのようだな……狙ったのか?」

「わかるか」

「今ならな」

 にやりと笑うエレノア。

 不敵な笑みは彼女によく似合う。

「なら、やる事もわかってるな」

「うむ。まかせるがいい」

「ひかりもがんばる!」

 母娘に頷き返し、正面にむき直す。

 そこに、あかい光の玉があった。

 二人を引き連れて、光の玉に向かって行く。

 それを――完全にすりつぶすために。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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