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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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129.いつも通りにした

「はああああ!」

 小細工はなしだ。

 まっすぐ突っ込んで、横一文字にエレノアを振り抜く。

 王がクシフォスでガード。

 ガキーン!!!

 空気が爆発したかと思うほどの衝撃波があいだの地面をえぐる。

 王が吹っ飛ばされ、空に向かって飛んでいく。

(綺麗なアーチを描くものだ)

「うまい表現だな」

 エレノアに感心する。野球なんてしらないだろうに、吹っ飛ばされた王の姿をみてその感想を抱いた。

 赤い光が空中で弧を描いて、エレノアの感想通り綺麗なアーチが空にかかった。

 それがピタッ、と静止する。

 とばされた王が空中で無理矢理とまって、血走った目でUターンしてくる。

「貴様ああああ!」

「遅いっ」

「くぅっ! まだだ! まだ……クシフォスの力はこんなものではない!」

「ふっ!」

「ぐわぁ!」

 エレノアとひかり、母娘の魔剣で王とクシフォスを圧倒する。

 圧倒はしてるが、意外と決まらない。

 何回か「決まった」と思った攻撃がことごとくクシフォスでガードされる。

 意外と反応速度がはやい。

 ならガードごと斬ろうと思ったが、これもうまくいってない。クシフォスは意外と硬い。まっぷたつにしようとしても、剣ごと王を吹っ飛ばすくらいしかできなかった。

 何回目かわからない突っ込んでくる王を大上段から斬りつける。ガードした王を地中にたたき込む。

 余波でクレーターが出来た。叩き込まれた王が這い出てくる。

 マントや服はぼろぼろ、全身が血塗れだ。

「あきらめてクシフォスを手放せ。なにをどうやっても状況はかわらん」

「ほ、ざ……くなあ!」

 力を振り絞って、って感じでさらにつっこんでくる。

 突進の速度は落ちてる――がクシフォスをふる勢いは弱まってない、それどころか赤い光がますます勢いを増してる。

 王の肉体は弱っているが剣の力は衰えていない。

 受け止め、蹴り飛ばす。

「剣が体を支配しだしたか」

(そういう芸風なのだ)

「おまえも似たようなものだろうに」

(くくく、魔剣のたしなみという奴だな)

(まけんのたしなみ? ひかりもたしなむの?)

 たしなみの意味がわかってないような口ぶりのひかり。可愛い。

「わるい手本だから見習っちゃだめだぞ」

(うむ。魔剣のことは我を手本にするといい)

(うん、おかーさんのことをみならうね)

「おまえのが一番教育上わるいんだがな」

 突っ込んでくる王とクシフォス。こっちも突っ込んでって劇激する。

 ギアをあげた。エレノアとひかりを何度もクシフォスにたたきつける。

 もはや斬るじゃなくて、たたきつけてる。それを何度もやってるうちに、クシフォスの刀身に小さいヒビができた。

 魔剣の名にふさわしい堅さだったが、ようやくほころびが見えてきた。

(我らの方が一枚格上だったようだな)

 満足げなエレノアの声。

「このまま一気に砕く!」

(うむ)

(がんばる!)

 向かって行く、王はふらついてる。

 ぼろぼろの血塗れ、もはや意識があるのかも怪しい状況。

 それでものそり、って感じで剣をふる、時々変なうめき声を漏らすようになってる。

 ゾンビのようにクシフォスを振るっているだけ、ってなってきた。

「がはっ……う、うお、おおぉ……」

 突然、王の動きが変わった。

 それまではおれに向かってきたのが、その場に立ち止まって苦しみだした。

 クシフォスを持つ右腕をつかんで、苦悶にうめく。

 赤い脈動が、爆発的に強まっていく。

(あれは……)

「知ってるのかエレノア?」

(みてればわかる)

 エレノアは呆れ混じりに言い捨てた。

 その言い方が気になって、おれは攻撃の手を止めて、様子をみた。

 苦悶の王、顔をあげて空に向かって絶叫する。

 かと思えば今度はカクッと地面に向かって血反吐をまき散らし、ハンマーでするかのようにクシフォスでまわりの地面をたたきつけだした。

 暴れ出した直後、異変が起きる。

 それまでクシフォスを中心に脈打っていた赤い光が王の体に乗り移った。

 赤みが濃さを増す、光だったものが、次第に濃度を増して実体化する。

 光が皮になって王を覆う、その上を更に皮が覆っていく。

 着ぐるみを一枚また一枚を重ね着していくような光景。人間だった姿が徐々に大きくなって……バケモノみたいになっていった。

(変身しちゃった……)

「取り込まれた、つったほうが正しいなこりゃ」

(よほど強く力をよこせ、と願ったのだろうな)

「どうなってもいい、力をよこせ――ってやつか」

 ありがちだな。

(付け加えるのなら『目の前の男を倒せるほどの力を』であろうな。よかったな、モテモテではないか)

(おとーさんモテモテ!)

「男にもてたところでなぁ」

 別にうれしくともなんともない、むしろげんなりする。

 その間も徐々に大きくなっていく王。やがて三メートルを越す、二足歩行のモンスターのような外見になった。

 全身が赤く脈動する、まるで「鬼」の様な見た目。

 角と牙をつければまんま赤鬼、もはや完全にモンスターだ。

「GYASHAAAA!」

 バケモノはいきなり突進してきた。数倍に膨れ上がった腕ーーおれの体よりも太い腕を振ってきた。

 エレノアを構えて受け止めるーー。

 ガキーン!
 剣と腕がぶつかり合う、なのに金属音がした。

 それだけじゃない、受けた勢いで軽くすっ飛ばされた。

 ガードしたからダメージはない。空中で体勢を整えて着地する。

 一撃で十数メートル吹っ飛ばされた。

 手がしびれた。肘、肩にまできた。

(おとーさん!?)

「大丈夫だ。……相当パワーアップしたな」

(どうやらそれだけではないようだぞ)

「むっ?」

 その場に立ち止まって、天を仰いで雄叫びをあげる化け物。

 地響きがする程の咆吼。直後、バケモノから小さなバケモノが現われた。

 体から何かが溶け落ちるような形で一部分離して、それが地面に落ちて、ぐにゃぐにゃってしてから形を変えた。

 徐々に形が作られていき、色も付いた。

 生まれたのは、バケモノのミニチュアのようなもの。

 オリジナルが三メートル超えてて、分身体は一メートルちょっと。

 そしてオリジナルに比べて小さい分ちょっと愛嬌がある事を除けば、ほとんど同じといってもいい見た目だ。

 それが合計で五体。

 クシフォスに取り込まれたバケモノが五体の分身を作ったのだ。

 分身体の一体が突っ込んでくる、オリジナルよろしく腕を振ってくる。

 エレノアで受け止める。

「むっ」

 ちょっと驚く。

 分身のパワーは変身前の王とほぼ互角だったのだ。

 感心しつつ、腕を払い、蹴り飛ばす。

 すっ飛んでいった小鬼がすぐ様飛び上がって、怒りの表情でこっちを睨む。

「すごいな、あんなのも作れるのか」

(そういう芸風なのだ)

「そういうのは先に言え」

(うっかりしていた)

 けろっと言い放つエレノア。悪いとは思ってない口調だ。

「今度くじ引き所に行くときお前だけ留守番な」

(な! 貴様それは)

 一転、切羽詰まった声になる。

 あのくじ引き所はエレノアが唯一人間の姿に戻れて、娘のひかりとふれあえる場所。

 それの禁止は親ばかな彼女には結構なお仕置きになる。

 それはともかく。

 言われたとしても、結局やることはかわらない。

 クシフォスを砕く。

 それだけだ。

 さて、本腰入れて――・
「な、なんだこれは……」

「イリスーー」

 背後から声が聞こえる、振り向いたーー直後。

 真横を何かがものすごい勢いですり抜けていった。

 風を切って猛進する五体の小鬼、おれの意識がそれら一瞬の隙を突いて、現われたイリスに向かってつっこんでいった。

「ーー!」

 イリスは反応した。

 剣を構えて、応戦の意志を見せる。

 ーーだが。

「カケル!」

 ワープして、小鬼とイリスの間に割り込んだ。

 突進してくる一体をエレノアでまっぷたつにして、残った四体をひかりをつかったラッシュで弾き飛ばす。

 ちょっといらっときた。いや、結構いらっときた。

 おれの目の前でおれの女に手をだされるのはかなりいらっとくる。

(自分から女を戦場に送り出しておいて?)

 やるのとやられるのは話がべつだ。

 エレノアが軽く呆れた、という感情が伝わってくる。

 それを無視する。

 残った四体の小鬼、そして指揮しているであろうオリジナルの鬼(メルクーリ王)を睨む。

 こいつらはを……ぶっつぶす。

「あの赤い光……あれが父上なのだな」

 背後からイリスが真剣なトーンで話しかけてきた。

「ああ。下がってろイリス」

「……」

「イリス?」

「わたしも一緒に戦う。いや、戦わせてくれ」

「……」

 思わず振り向いた――今度は意識を鬼どもに残したまま振り向いた。

 目と目が合った、イリスの目に強い光があった。

 強い意思を持った瞳。

 実に――彼女らしい。

「頼む、カケルーーんぐ!」

 懇願する彼女を抱き寄せて、キスした。

 いい女は好きだ。

「な、何をするカケル!?」

 赤面するイリス、それにかまわず聞く。

「洞窟の中で剣をぶん回して一撃の重さを上げてたな。そういうのじゃなくて、手数を上げられる戦い方は出来るか?」

「え? あ、うん。がんばれば」

「よし、なら小鬼は任せる。手数で攻めろ」

「わかった」

 イリスが剣を構え直す。

 エレノア、そしてひかりを構える。

 構えて、鬼に向かっていく。

 反応して、小鬼がつっこんできた。そいつらに一撃ずついれて、すり抜けてオリジナルの鬼に向かっていった。

 チラッと背後を確認。イリスは言いつけ通りに手数で小鬼どもを迎撃した。

 イリスが斬りつける度に、小鬼の体にくっついた黒いオーラが爆ぜた。

 魔剣のオーラ、ちょっと前に開発して、奴隷兵達がナナを圧倒した技だ。

 それを確認して、おれは鬼に向かって行った。

 黒衣を纏いなおし、二振りの魔剣を構える。

 ここからは、いつも通りだ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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