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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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128.動く理由

 イリスと一緒に洞窟の奥に進んでいく。

 ほとんど倒してしまったからか、アケファロスがほとんど出なくなって暇になった。

 世間話をしながら進んでいく。

「そういえばお前達の父親ってどういう人間なんだ? メルクーリの国王だっけ?」

「父上? そうだな……」

 イリスは少し考えてから、答えた。

「一言で言えば――野心家だ」

「野心家?」

「そうだ、メルクーリをもっと大きく、強くしようという野心がものすごく強い。そのための手段は選ばない人だ。だからこそカケルが提案してくれた紙幣の話が通ったのもある。先代――わたしの祖父上ならば『王家の秘宝をそんなことのために使うなんてけしからん!』といっていただろう」

「ああ……」

 その説明だけでなんとなく想像がつく。

 そういうしきたりとかを重んじる人間ってどこにでもいるよな。

 おれもそれを知ってるから、紙幣を提案したとき無理かも知れないって思ってた位だ。

 イリスの父親、メルクーリ王はそれとは正反対の人間か。

 なるほど、野心家で――実利主義の国王だから話がすんなり通ったんだな。

「だからお前も手段に使おうとした。嫁がせて、クシフォスを取り戻すために」

 頷くイリス。

 イリスの父親、メルクーリ王の事をいろいろ聞きながら、先に進む。

 いろんなエピソードを聞いた、手段を選ばないのがよく分かるエピソードに事欠かない人間だ。

 途中で思い出した様に現われるアケファロスもきっちり倒して、100%ドロップのくじ引き券を回収する。

 そうこうしてるうちに洞窟の最深部に到着する。

 開けた場所があって、奥に祭壇らしきものがある。

 祭壇の上に一振りの剣が丁重に置かれている。

 剣は赤く脈打って、「おれは並みじゃないぞ」って強く主張している。

「あれかクシフォスか」

「おそらく」

「どうだ?」

 エレノアに聞く。

(あの悪趣味な自己主張、何百年もたったのにやめてないのだな)

 エレノアは呆れまじりにいった。

 なんか色々あるみたいだが、とにかくクシフォスなのは間違いないな。

「よし、砕くぞ」

「頼む」

 祭壇に向かって進む――が。

 途中で何かにぶち当たって、パチッ、って火花が飛び散った。

「なんだ?」

(結界だ。当然だろ?)

「……確かに当然だ。封印されてるんだから結界の一つもあるわな」

「結界……それは聞いてない」

「気にするな。エレノア?」

(いつもとおりにやればいい)

「そうか」

 お墨付きを得たから、エレノアを抜き放つ。

 構えて――無造作に振り下ろす。

 バチッ! 火花が散って、エレノアがはじかれる。

「硬いな」

(真面目にやれ。あれに負けたとあっては我の沽券に関わる)

「アレに負ける? これはあいつが張ってる結界なのか? 封印されてる、つかまってるのに」

(自身の力を利用された結界だ、よくある)

「なるほど」

 大体の話はわかった。

 深く息を吸って、今度は八割の力でエレノアをたたきつけた。

 バリン! 何かが砕けた音がした。

「おお!」

「こんなもんか」

(まだだ。よく見ろ)

 エレノアに言われた通り、目を凝らしてみた。

 何もない空間だが、うっすらと、砕いたはずの結界がみるみる修復されていくのが見えた。

「自己修復するのか。どうすればいい」

(簡単だ)

 エレノアは鼻で笑った。

(ヤツの力は無限ではない。修復できなくなるまで砕き続ければよい)

「なるほど簡単だ。イリス、下がってろ。本気でやる」

「わかった」

 イリスは言われたとおりおれから離れた。

 エレノアに続いてひかりも抜き放つ、母娘魔剣を握り締める。

 深呼吸して、力を溜める。

「いくぞ」

(うむ)

(うん!)

「うおおおおおお!」

 結界を叩いた、叩き続けた。

 たたき割ったそばから再生するが、再生したそばからたたき割ってやった。

 再生の度にクシフォスが赤く光る。

 刀身が脈打って、結界が再生される。

 構わず壊し続けてるうちに、再生の間隔が少しずつ長くなっていった。

 五秒くらいだったのが十秒くらいになって、二十、三十と伸びていく。

 やがて、待ってても再生しなくなった。

「よし、打ち止めみたいだな。イリス――」

 次のステップに進むためにイリスを呼ぼうとしたその時、おれの横を何者かが駆け抜けていった。

 速さはたいしたことはないが、いきなり現われた第三者。

 戸惑ったおれは思わず素通りさせてしまった。

 イリスの言葉も影響した。

「父上!」

 彼女が父と呼んだ男――メルクーリ王は祭壇にたどりつき、クシフォスをつかんだ。

 一瞬、赤い光が爆発的に広がって洞窟の中を包んだ。

 剣を構えて、黒衣を広げてイリスを守る。

 警戒したが、何も来なかった。

「おお、おおおおお! これがクシフォス!」

 赤い光が収まった後、メルクーリ王は感動した様子でクシフォスを見つめていた。

 うっとりしている、と言ってもいい。

「父上! 何故父上がここにいるのですか」

「お前がクシフォスを事を探っていたのはすぐにわかった、ここに来るために」

 そりゃそうだろうな。このタイミングで動いたら誰でも簡単に推測できる。

「で、でした何故、止めなかったのです」

「お前が動けば、魔剣使いも動く」

「えっ?」

「魔剣使いが動けば、永らくどうしようもなかった、片割れをつれて来ない限り解除できなかったこの結界もなんとななる可能性がある。だから泳がせておいたのだ」

(くくく、まんまと利用されてしまったな)

 そうみたいだな。

「お前も、魔剣使いも。よくやってくれたよ」

「父上……」

 苦虫をかみつぶした表情のイリス。

 クシフォスが強く脈打った。一際赤い光を放った。

「おお、おおおおお! 流石クシフォス。伝承に残っていた我が国の秘宝だ。この力……この力があれば力尽くでもう片方のクシフォスを寄り戻せる」

「……」

「はああああっ!」

 メルクーリ王はクシフォスを掲げた。

 赤光が煌めいたあと、天井が爆発して穴があいた。

 ここは湖底にある洞窟、穴が空いた途端、水が一気に流れ込んできた。

 王はジャンプして、穴から飛び出ていった。

 娘がいるのも構わず、一人脱出していった。

 ……。

(おとーさん……)

「カケル!」

 イリスがそばに駆け寄ってきた。必死な形相だ。

「父上を止めてくれ。このまま行かせるのはダメだ! 王である父上がアイギナに侵入、あるいは潜入したのが明るみにでれば大変なことになる!」

「軽く国際問題になるな」

「そのまま戦争が起きるかも知れない」

「たしかに」

 隣国の王が武器を持って侵入、後宮おさめてるものを盗み出す。

 戦争になってもおかしくない。

 そして野心家のそいつはここぞとばかりに受けるだろうな。

 たしかに、ここで止めなきゃダメだ。

「わかった。つかまれ」

 イリスの腰に手を回して、ワープの羽を取り出した。

 一瞬で地上にワープした。

 直後、遅れてメルクーリ王が飛び出してきた。

 ワープで先回りしたこっちに気づいてない王は空高くまいあがって、方角を確認してから飛び出そうとした。

「行ってくる」

「お願いっ」

 懇願するイリスに頷き、おれも空高く飛び上がった。

 メルクーリ王よりも速いスピードで、飛んで行こうとする方角に先回りして。

「――なっ」

「落ちろ!」

 驚愕する王を、エレノアを使ってクシフォスごと地面に叩きおとした。

 王は地面に突っ込んだ。直後、小さい爆発がして、穴の中から飛び出してきた。

 服はぼろぼろだが――ダメージはない。

「魔剣使いっ!」

「わるいが行かせん、そいつも砕かせてもらう」

「なぜ邪魔をする! 子爵にしてやった恩を忘れたか」

 そういえばおれメルクーリ子爵だっけ。

 言われるまですっかり忘れてた。

 ま、そんな事はどうでもいい。

「何故だ!」

 何故――理由か。

 王の邪魔をする理由。

 イリスを抱くため、イリスに頼まれたから、利用された仕返し。

 細かくあげてたらキリがないけど……まあ、一言でまとめるとしたら。

「おれがそうしたいって思ったから」

 今までやってきたことがそうで、これからもそうだ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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