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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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127.告白

 その場にイリスを寝かせた。

 疲れ果てて倒れたが、怪我はないし――というかさせるわけがないし、呼吸もしっかりしてる。

 少し休めば回復するだろうと思った。

「手を貸せエレノア」

(やれやれだな)

(ひかりも手伝う)

 仕方なさそうなエレノアと、ノリノリのひかり。

 母娘魔剣を鞘に収めた状態のまま、柄に手をかける。

 強くはっきりイメージして、オーラを出す。

 今までとはちょっと違うオーラ。

 漆黒よりも更に昏く、おぞましく。見たものがあらゆる不吉と災厄を連想する様なオーラ。

 それをだして――寝かせているイリスだけを避けて、まわりに拡散した。

 無言のメッセージだ。

 近づいたら死よりもつらい目に遭わせてやる、そんなメッセージを込めた威嚇である。

 別にモンスターが現われてから切り捨てても問題はない。

 本気になれば音を立てないで盾ごとアケファロスを真っ二つにする事もできる。

 やれるのだが、万が一って事はある。

 音を立てる可能性とか、衝撃波を出してしまう可能性とか。

 イリスを休ませたい、と言うのを考えるとこの威嚇が一番安全で無難だ。

 まわりは静かになった。

 草木さえも寝静まった深夜の様な静けさが訪れた。

 それでしばらく見守ってると、イリスがゆっくり目を覚ました。

「……カケル?」

「起きたか」

「……」

 イリスはおれが出してるオーラを見た。

「……ありがとう」

 賢い彼女はすぐにまわりの状況からそれの意味を理解した。

「気にするな。休めたか」

「ああ。だいぶ回復した」

「ならいい」

 おれはオーラをおさめた。

 まわりに洞窟らしき、静かだが雑多な音が戻ってくる。

 ふと、イリスがじっとおれを見つめてる事に気づいた。

 潤んだ目の熱い視線でおれをまっすぐ見つめてくる。

「どうした」

「わたしは……だめな女だ」

「いきなりどうした」

「アケファロスと戦った。気持ちよかった。カケルのために戦うことが出来て、全力で……カケルのためだけに戦った。それがものすごく充実して――気持ちがよかった」

「いいことじゃねえか」

 戦いの高揚と快感はおれも知ってる。

 その後に女を抱く快感も知ってるが――それはまあ別の話。

 だからそう言ったんだが――イリスはゆっくりと首を振った。

「あまい蜜――麻薬のような味だった。それを覚えたら他のじゃ満足できなくなると思った。もう何もかも捨てて、国も、地位も、なにもかも。全部捨てて、あなたのためだけに戦いたいと思った。一人の女として、あなたのためだけに……そう思ってしまった」

 イリスは切なそうにした、今にも泣き出しそうな顔をした。

「姉上はすごいな。カケルの女になっても、自分を保って、王女として、テレシアの双花として振る舞うことが出来るのだから。わたしでは到底かなわないすごい人だ」

 とうとう、大粒の涙がこぼれてしまった。

「それに引き替え……わたしはだめな女だ」

(葛藤しているな。姫と女、公人と私人とで。生真面目だな)

 それがイリスの可愛いところだ。

 おれはイリスを見つめて、いった。

「変に難しく言ってるけど、ようはおれの女になりたい、ってことなんだろ?」

「それは……そうだが」

 イリスは困った顔をした。

 間違いじゃないが、素直にうなずけない、って顔をしてる。

(要約しすぎだ)

 くくく、と楽しげな声が脳裏に聞こえる。

「どうした、間違ってるか?」

「間違ってないけど……」

「なら、いいじゃねえか」

「しかし……それではカケルにふさわしくない」

「は?」

「カケルのまわりにいい女が大勢いる。姉上に負けず劣らずいい女が。それに引き替えわたしがこんなんじゃ――むぐっ」

 イリスの口を塞いでやった――キスで。

 うだうだ言う口を無理矢理キスで塞いで、グチグチ言うのを止めた。

 最初はびっくりした、もがいた。

 だがおれは彼女をがっちり抱き留めて、逃げられないようにした。

 分からず屋に対するお仕置も込めて、たっぷりキスをした。

 離したあと、イリスにいう。

「イリス」

「な、なんだ」

「おれにふさわしいとかふさわしくないとかは、おれが決めることだ。おれの女にするかどうかはおれが決めること。いいな」

「あ……うん」

「ついでにいうと、ふさわしくないって思うのなら、おれに頼れ」

「え?」

「どういうのがふさわしいのかおれにいえ。それをかなえてやる」

「そんな事、たのめ――」

「おれがなんとかしてやる」

 いいわけを途中で遮った。

 イリスの表情は面白いくらいめまぐるしく変わった。

 びっくりして、赤面して、穏やかになった。

「カケルの言葉はすごいな、なんでも解決してくれそうなくらい、心強くて、力強い」

「くれそうとかじゃない。解決するんだ、おれがな」

「そうだな。カケルなら何でもできるな」

 イリスはふっ、と笑った。

 あきらめとか、自嘲とかそういうネガティブな微笑みじゃない。

 ポジティブで、彼女らしい穏やかながらも力強い笑顔だ。

「どうかしていた、すまない」

「ふむ?」

「よくよく考えれば悩むことはなかったのだな。カケルのためだけに戦いたいのと、立場を忘れずにテレシアの双花として民を導くのと。両方やればいいだけの話だったな」

(バカが移ったか、軽く矛盾してる――いたっ)

 無粋なツッコミをデコピンで止めた。

 矛盾とかどうとか、バカがどうとか、そんなのどうでもいい。

 大事なのはただ一つ。

 今のイリスがさっきのイリスよりもいい女に見える。

 それだけだ。

「イリス」

「はい」

「お前を抱きたい」

「わたしもカケルに抱かれたい」

「すぐに」

「すぐに」

「クシフォスを砕くぞ」

「ああ!」

 力強く頷くイリス。

 とんでもなくいい女だ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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