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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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126.戦姫と狂戦士

 最初はちょっと邪魔なモンスター程度の認識、だから適当に力づくで排除してた。

 だがくじ引き券がこれだけポロポロでるとなったら話が違う。

 おれはイリスに聞く。

「こいつらはなんなんだ?」

「わからない、そもそもここに入ったのがはじめてなんだ」

「そうか」

(アケファロス)

「む?」

 エレノアがイリスの代わりに答えた。

(アケファロス、という名だ。元は人間。生前特に戦う意思が強い狂戦士が、首を刎ねられた死後なおも戦い続ける意思で地獄の底から這い出た連中だ)

「へえ」

(ずっと戦いつづけるの?)

(うむ、生前と同じくな。よくみろ、武器も盾も年季がはいってるだろ。おそらくこの湖底でずっと戦い合ってたんだろう)

 おれはアケファロスの武器と盾をよく見た。

 いわれて見ると確かに細かい傷が無数に入ってて、年季と戦いの歴史を感じさせる。

「ずっと戦うのか」

(ひかりも、おとーさんとおかーさんとずっと一緒がいいな)

「死んだ後もか」

(お望みとあらばそうしてやろうか……貴様に出来るかどうかはわからんが)

「そういうのが出来るのか?」

(むろんだ)

 エレノアは事もなさげに言い放つ。

(われと関わった人間の何人かはそうだったぞ。どいつもこいつも有名になってるはずだ、イリスに聞いてみろ)

 おれはエレノアの言葉をイリスに伝えた。

 彼女は少し考えて、答えた。

「もしかして……トロクロスがそうなのか?」

「だれだ、そいつは?」

「不死の戦士トロクロス。あらゆる戦いから生還し、生涯千の戦場を駆け抜けた人物だ。最後はたしか四肢を引き裂かれて千里四方にばらばらに捨てられてようやく絶命したという」

「どうだ?」

(こいつらと同じでな、死んだ後でも戦い続けたいと言ったから願いを叶えてやった。十数年間のいい暇つぶしになったよ)

「なるほど」

 色々やってるんだな、エレノアは。

 エピソードだけ聞くと、世間に魔剣エレノアって恐れられる理由がよく分かる。

 実体はただの親ばかなんだが。

(貴様に言われたくないわ)

「カケル、また来た」

「よし」

 洞窟の奥から続々と現われてるアケファロス。

 エレノアとひかりを抜き放つ。

 くじ引き券が出るとわかって、俄然やる気になってきた。

 チャキ、って音がして、剣を構えたイリスが横に並んできた。

「手伝う」

「やれるのか?」

「守られてるだけの女は――カケルにふさわしくない」

 固い決意を覗かせた。

「そうか。無理だけはするな」

「わかった」

 黒衣を纏って双剣を構え、イリスと一緒に踏み込む。

 無造作にアケファロスを切り捨ててく一方で、こっそり黒衣でイリスを守る。

 直接の手出しはしない、こっそりフォローするだけ。

(まだるっこしいことをする)

 エレノアがくくくと笑う。

 それを無視した。

 最初は致命傷と、顔に傷がつかないようにと守ってた(、、、、)んだが、次第に意味合いが変わっていった。

 槍と撃ち合って、盾をはじいて、アケファロスを切り刻む。

 舞うように戦う彼女の姿がとても綺麗に見えて、もっと見ていたくなった。

 こっそりアケファロスをながした。

 一撃で倒すことなく、適当にあしらって引きつけて、イリスが一体倒して所を見計らって敵を流す。

 ライブを見てて、無限アンコールをしている、そんな気分だ。

「はあ……はあ……次!」

 息を切らせて、あごから滴る汗を拭って、それでも剣を振るうイリス。

 おれはそれを、見守り続けた。

 彼女が倒したアケファロスからも片っ端からくじ引き券が落ちたが、それを拾うことすら忘れるほど見入ってしまった。

 終わりが来る。

 剣を杖替わりに突き立てて、息を切らせるイリス。

 全力の戦いがかなりの消耗を強いていた
 次のアケファロスが襲いかかる。

 剣を振りかぶる、盾を撃ち合い――はじかれる。

 今まで互角に撃ち合っていたのがはじかれた。

 剣ごとはじかれて、上半身を起こされて、のけぞってしまうイリス。

 アケファロスの槍が猛烈に突き出される。

 ここまでだな。

 エレノアを握って、割り込んで代わりに倒そうとする。

(待て)

 短い、しかい有無を言わさないエレノアの制止。

 珍しく真剣な口調におれは一瞬動きがとまった。

「――っ、はあああああ!」

 ギリッ! と歯を食いしばる音が聞こえた様な気がした。

 はじかれかけた剣を両手で握り直して、気合ととも大上段から振り下ろすイリス。

 アケファロスの槍が縦に真っ二つにされた。

「――でぃやああああ!」

 更に歯ぎしり、そして真横に振られる長剣。

 体を使って、遠心力まで加わった文字通り渾身の一撃。

 それは――アケファロスを盾ごと両断した!

「はあ、はあ……」

 今度こそ力尽きて、杖替わりの剣すら手放して、地面に倒れ込むイリス。

 とっさに抱き留める。

「カケルに……ふさわしい……女に……」

 おれの腕の中で目をつむって、うわごとのようにつぶやくイリス。

(いい女だな)

 エレノアをして、珍しく手放しの褒め言葉を放った程だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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