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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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125.ボーナスステージ

 朝、屋敷のベッドで目を覚ました。

 体の上で誰かがもそもそしてる。

 ……はて、だれなんだろう。昨日はだれともしてないはずだが。

 こんな風にベッドの中に潜り込んでくるのはオルティアかミウか。一番あり得ないのがナナだ。

 さて誰だろうか、おはようのキスでもしてやろうか、と思ってもそもそしてるそいつを抱きしめると。

「おはよう、おとーさん」

「………………」

 一瞬固まってしまった、完全に目が覚めた。

 おれの上に乗っかってるのはひかり。

 魔剣ひかり、結城ひかり、……おれの娘ひかり。

 ひかりは生まれた日と同じように、おれの上に乗っかっていた。

「お、おはよう」

「もうおきた?」

「起きた」

「お顔を洗って、朝ご飯にしよう」

「あ、ああ」

 ひかりに手を引かれてベッドから起き上がるおれ。

 まだ心臓のぱくぱくが収まらない。

 早まって「おはようのキス」でやらかしたら大変な事になってたところだ。

(く、くくく、くはははは)

 エレノアが大爆笑していた。

 笑うなよ、シャレにならんだろうが。

(なあに、娘に嫌われるというのも男親の通過礼儀みたいなものだ)

 嫌われる?

 ひかりに嫌われる?

 …………………………。

 頭が一瞬真っ白になった。

『おとーさん大っ嫌い!!!』

 想像しただけで膝から崩れ落ちそうになった。

(くくく、意外な弱点だなあ、おい)

「う、うるさいな。ひかりがおれを嫌うわけないだろ」

「うん! ひかり、おとーさんのこと大好きだよ」

「ほれみろ」

(くくく)

 エレノアは楽しそうに笑ったままだった。

 こいつ、どっかに捨ててきてやろうか。

 そんなやりとりをして、おれはひかりと一緒に寝室を出た。

「そういえば、イリスおねーちゃんがきてるよ」

「そうか」

「今日のイリスおねーちゃん、すごく綺麗だった」

「へえ?」

 ひかりと世間話しながら、つれられて、リビングにやってきた。

 そこにイリスがいた。

 驚いた、たしかに綺麗だった。

 朝日の中、窓の外を見ていたイリス。振り向いた彼女は今までみてきた中で一番綺麗だった。

 格好は変わっていない。

 美しい金色の長髪をポニーテールにして、鎧姿にマント、いつもの格好だ。

 だが綺麗だ。

 何か今までになかった空気を纏って、ものすごく綺麗に見える。

「おはよう、カケル。よく寝れたか」

「ああ」

「それはよかった。昨日つかまえた暗殺者は吐いたぞ。例の偽造紙幣の一味で、腹いせにわたしを捕らえようとしたらしい」

「へえ」

「そっちは手を打っておいた。ありがとう。カケルのおかげで助かった」

「きにするな。そういえばあの男の子は?」

「まだ怯えててまともに話せない――が王家の魔法が使える以上、誰かが撒いた種(、、、、)なのは間違いない。手厚く保護して、ゆっくり考えることにする」

「そうか」

 簡単なやりとりで、昨日の事の後処理がすんだ。

 まっすぐイリスの目を見つめた。彼女もおれを見つめ返した。

「クシフォスの場所を突き止めてきた」

「早いな」

「アンフィサの湖というところだ」

 アンフィサの湖。

 聞いたことのない――行ったことのない場所だった。

     ☆

 馬車に揺られて半日、おれとイリスは湖にやってきた。

 誰も連れてきてない、おれとイリスだけだ。

 国の秘宝たるクシフォスをぶっ壊すのが目的だから、二人だけで動いた。

 厳密に言えばエレノアとひかりが剣の姿で一緒にいるが、それはまあそれとして、だ。

「ここにあるのか」

「ああ」

「湖しかないぞ」

「少し待っててくれ」

 イリスは馬車から降りて、湖の畔に立った。

 目を閉じて、呪文を唱える。

 足元から魔法陣が広がる。メルクーリ王家の紋章をかたどった魔法陣だ。

 それが爆発的に広まっていって、湖全体を包み込んだ。

 やがて、湖が割れた。

 モーセの海の如く真っ二つに割れて、道ができあがった。

 道の先に……何かの入り口があった。

「待たせた」

「なるほど、王家のものじゃないと入れない、ってことか」

「そういうことだ」

「簡単に居場所が分かったのもうなずける」

 イリスと一緒に湖の底を歩き、入り口に向かう。

「それで、どうするのだ?」

「まずクシフォスがあるところに行く。そこでおれがいったんワープで飛んで、マリの森にいってサンドロスを連れてきて、そこで解放する。サンドロスが暴れた後、そいつごとクシフォスをぶっつぶせば一丁上がりだ」

「そうか」

 並んで歩き、やがて入り口から中に入った。

 瞬間、扉が閉まった。ごごごごごという水音がする。

「大丈夫だ、わたしが閉じた。これで邪魔がはいらなくなる」

「そうか」

 イリスは用意していたたいまつを取り出して、魔法で火をつけた。

「さあ、進もう」

「ああ」

 中は洞窟のような場所だった。

 石畳の地面で、道が曲がりくねってる。

 時々天井からポタ、ポタと水が滴ってくる。

「カケル!」

「むっ?」

 切羽詰まったイリスの声。

 彼女が見つめる先に奇妙な人型のモンスターが現われた。

 サイズは普通の人間と同じくらいだが、首から上がない。

 デュラハンとかのようになくなった首を盛ってるかと思えばそうでもなく、両手はそれぞれ槍と盾を持ってる。

 代わりに、裸になった上半身の体の真ん中に顔がある。

 鋭い目に、凶暴そうな牙を持つでかい口。

 遠目には宴会で腹に顔をかいた中年おっさんのようで、初めて見るタイプのモンスターだ。

「あれはなんだ?」

「すまん、わたしも初めて見る」

「そうか。ならたたっきるぞ」

「ああ」

 おれはエレノアを抜き放ち、モンスターに向かって突進していった。

 エレノアを無造作に振り下ろす。モンスターは盾を構えてガードしようとするが、盾ごと真っ二つにたたっ切った。

「たいしたことないな」

「いや」

 イリスは倒れたモンスターに向かって、自分の剣を思いっきり振り下ろした。

 火花が散って、金属音が鳴り響く。

 盾は無傷だが、イリスの剣の切っ先がかけた。

「たいしたことがないのはカケルだからだ、わたしではどうしようもなかっただろう」

(こやつというよりは我だからだな)
(ひかりは? ひかりはできそう?)

 魔剣の母娘が頭の中で行ってきた。

(むっ、おい、あれを見ろ。モンスターの心臓の辺りだ)

 エレノアの指示通り真っ二つにしたモンスターの心臓がある当たり――というより目がある当たりを見た。

 そこにくじ引き券があった。

(運がいいな)

 ああ、拾っとこう。

 この世界において、いくつかの行動でくじ引き券をゲットすることが出来る。

 モンスターを倒せばまれに出る、女をだけばまれにでる、でかい買い物をすればわずかにでる。

 そうやって地道にくじ引き券を集めてきた。

 大体モンスターは100匹たおして一枚出ればいい方だから、今日は運がいい日だ。

(またくじ引きができるね)

 ひかりが無邪気に喜んだ。

「さて進もう。クシフォスの場所は?」

「こっちだ……むっ」

 歩き出そうとした瞬間、同じ腹に顔を持つモンスターが現われた。

「カケル」

「任せろ」

 突っ込んでいって、こんどはひかりで槍ごと横に真っ二つにした。

(わー、ひかりにもできた)
(当然だ、我の娘なのだからな)
(うん、おかーさんの娘)

 魔剣の母娘がのんきに世間話気分で話していた。

「あれ?」

 おれは気づいた。

 真っ二つにしたモンスターに、おなじくくじ引き券が現われていたことに。

「二枚目、だと?」

「何が二枚目なんだ?」

「いやなんでもない」

 イリスにごまかして、券をポケットに突っ込む。

 これで二枚目、今日は運がいい日なのか? もしかして。

 そう思ってると、同じモンスターの三体目が現われた。

 もしかして――と、おれは期待に胸を膨らませつつ、飛び込んで、母娘でモンスターを切り刻んだ。

 一瞬で絶命するモンスターに――三枚目の券が現われる。

 それをひろう、間違いないくじ引き券だ。

(……また来たぞ)

 エレノアのトーンが変わった、彼女も気づいたのだ。

「カケル!」

 道の先を見る、首無しのモンスターがうじゃうじゃ出てきた。

 イリスでは到底叶わないと認めたモンスターだが、おれの目には宝の山のように見えてきたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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