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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

くじ引きの異世界編

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11.券を溜めて11回引こう!

 ……期待を持ったのはいいけど、これってどうするんだ?
 とりあえずくじ引き券を握り締めて、念じてみた。

「……」

 くじ引き券はくしゃくしゃになった。
 慌ててまわりを見る、何も起きなかった。

「えー、これどうすんの? まさかおれの勘違い? ただの紙くず?」

 そしたらすっげえはずかしいんだけど……。
 恥ずかしさがどんどん大きくなって、穴があったら入りたい気分になった。
 まあ、誰にも見られていないのが不幸中の幸いか……。
 おれはその場から離れることにした。部屋に戻ってふて寝しようと来た道を戻って、曲がり角を曲がった。
 その瞬間。

「……ここどこ?」

 目の前の景色が一変した。
 屋敷の廊下にいたはずが、急にどこかの部屋に飛ばされた。
 部屋の中に長テーブルがあって、その向こうに人が立っている。
 そして、テーブルの上にくじ引き機が置いてあった。

「いらっしゃいませ」
「ってあるのかよ!」

 思わず声に出して突っ込んでしまった。
 あの時の部屋だ。異世界にくる直前、二回目のくじを引いた部屋だ。
 おまけにスタッフも同じ人だ。

「お久しぶりです」
「これ」

 おれは拾ったくじ引き券をつきだした。

「これでくじ引きを引けるんだろ?」
「はい、これ一枚で一回引けます。でも本当にいいんですか?」
「何かまずいのか?」
「いえ、まずい事は何もありません」
「ふーん」

 嘘を言ってるようには見えないから、気にしないことにした。
 それよりもスタッフの背後にある、景品のリストを見た。

・参加賞 魔法の玉(黒)
・五等 魔法の玉(白)
・四等 五割引き買い物券
・三等 異次元倉庫
・二等 ワープの羽
・一等 ???

 最初に引いた時と大分違ってる。温泉旅行やら最新型スマホやらのリストが、いかにも異世界っぽいものになってる。
 おれが見てる事に気づいて、スタッフが聞いてきた。

「景品の説明が必要ですか?」
「半分くらいは何となくわかるけど、この魔法の玉(黒)と魔法の玉(白)ってどういうものなんだ?」
「黒は攻撃用で、白は回復用です。どちらも使いたいときに相手に投げつければ発動する優れものですよ」
「へえ」
「しかも誰にでも使えます」
「まじか」

 それはちょっとほしかった。参加賞の黒でも、ミウに持たせれば護身用になる。

「五割引き買い物券は?」
「文字通りです、買いたい物をなんでも五割引きの値段で買えちゃいます。しかも使用回数無限!」
「すごいなそれ」
「ただしこれは、当てた人しか使えませんのでご了承くださいね」
「わかった、異次元倉庫は?」
「別次元にある収納スペースで、これも当人にしか使えませんが、どこにいてもアイテムの出し入れが出来ます」
「ワープの羽は?」
「無制限で瞬間移動が出来ます。ただし一回行ったところに限ります」

 スタッフから説明を受けた。
 どれもこれも強いアイテムで、見てるだけでワクワクする。
 だけど、もっとワクワクするのがあった。
 一等の「???」。それを見ておれはある事おもいだした。

「一等のあれさ」
「すみません、それは当ててのお楽しみ――」
「そうじゃなくて。もしかしてこっちも、特等があるんじゃないのか?」
「どうして知ってるんですか!? ってそっか、お客さん特等を当ててこっちに来た人でしたっけ」
「そう」

 おれは頷いた。
 その通りだ。あの商店街のくじ引きで、一等を当てた人の次におれが特等を当てた。
 その時の一等もこれと同じように、景品リストには「???」と伏せられてあった。
 そして一等はスキルくじ引きを一回、特等のおれは気に入ったものが出てくるまで好きなだけ回せた。
 つまり。

「一等があって、特等があって。特等は一等よりも更にいいものがある、ってことなんだな」
「はい、そうです! それはもうすごいものですから、是非当てていってくださいね」
「おう」

 おれはワクワクした。こっちのくじ引きで何が出てくるのかすごく楽しみになってきた。
 それで引こうとして、くじ引き券を出そうとしたんだけど。

「本当にいいんですか?」

 また同じ事を聞かれた。

「さっきも同じ事をいったけど、どういう事なんだ?」
「そのくじ引き券一枚で一回引けるんですけど、実はですね、十枚を一気に持ってきたら十一回引けるんですよ。おまけで一回分多く引けるんですね」
「くじ引きってどういうシステムあったっけ?」

 ソシャゲのガチャならよく聞くけど。

「うちはあるんです」
「なるほど」

 おれは納得した。まあ似たような事だし、そういうサービスがつけられててもなんの不思議もない。
 そういうことなら、本当にいいのかって聞いてきたのも、別にまずい事はないって言ったのも納得できる。
 今でも引けるけど、今ガマンしてまとめて持ってきたらおまけで引けるんだ、そりゃ――。

「わかった、集まったらまとめて引く」
「はい、わかりました」
「で、くじ引き券はどうやったら集まるんだ?」
「この異世界を好きな様に生きてください、ゲット出来そうなときはきっと直感でわかるはずですから」
「直感か」
「はい、直感です」
「なるほど」

 こっちは何となくだけど、やっぱり納得した。
 さっきくじ引き券を見た時の様な気持ちなんだろうな、って。

「わかった、じゃあまたな」
「はい、お待ちしてます」

 おれはくじ引きの部屋を出て、屋敷に戻った。
 廊下の途中に立っていた。
 角を曲がったくらいの所に――あのくじ引きの部屋に行けた所に立っていた。
 ここが移動するポイントなのかな。
 まあいっか、それは行きたいときに考えよう。さっきの様子からだと、行きたいときに行ける感じだった。
 おれは廊下を進み、幽霊を追いかけてきた道を引き返した。

「あっ、ご主人様」

 ミウがやってきた。パタパタ駆け寄ってくる姿を見るともふもふしたくなる。
 そういえば帰ってすぐ幽霊騒ぎがあったから、もふもふしてなかったっけ。
 とりあえずお帰りのもふもふしようと思ったんだけど。

「ご主人様にお客さんです」
「客? おれに」
「はい。玄関で待たせてますけど、どうしますか?」
「わかった、玄関だな」

 おれは玄関に向かった。
 おれを訪ねてくる客なんで心あたりが限られてるけど、一体誰なんだろう。
 玄関につくと、そこに立っていたのはあの食堂の看板娘だった。
 顔見知りだけど、心当たりではない。
 おれはちょっとビックリした。
 看板娘もビックリしていた。

「なんでここに?」
「アンドレウ商会の人に腕利きの人がいるって聞いて来たんですけど……お客さんがそうなんですか」
「アンドレウ商会……腕利き、ああ、それはおれの事だな」

 アンドレウ商会というのは山ウシを買い取ってくれてる所だ。間違いなくおれの事なんだろう。

「……助けてください」

 彼女はそう言った。
 すがるような、期待するような目。
 それを向けられたおれははっとした。
 そうか、これがか。
 ポケットの中で無意識にくじ引き券をくしゃっとしてしまって、こっそりまたそのしわを伸ばした。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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