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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メルクーリ王国編

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117.黒幕をおう

「あけます。丁!」

 ――おおおおおお!

 賭場内にどよめきが起きる。

「これで十回連続ではないか……」

 隣にいるイリスも唖然としていた。

 彼女までそうなったのは訳がある。

 さっきからこの場で丁が出続けてる。今ので十回目になった。

 丁だけが出続けてる事で、他で賭けてる連中までが話を聞いて集まってきて、遠巻きにしてあれこれ言い合ったりしてる。

 その十回を全部はずしてる男がいた。

 偽札を持ってきた男は半をかけ続けて、負け続けた。

 最初は何となく半を賭けてたが、途中で意地になって半をかけ続けた、って感じだ。

「おいてめえ、イカサマしてるだろ」

「そんな事はいたしません」

 壺振りは慇懃な態度で答えた。

「ここにいる皆様はいずれもお目利きです、こんなに目がある中でイカサマなどできるはずがありません」

「そうだな、してるようには見えないな」

「ここにいる百人以上が見守ってるんだ、何かあったらわかるだろ」

 まわりが口々に言う。偽札の男は「ちっ」と忌々しげに舌打ちした。

(イカサマ()していないな)

(そーなの?)

(うむ)

 母娘の会話。

 おれもエレノアと同意見だった。

 ズル、っていう意味でならイカサマはしてない。

 確実に。

「次だ次!」

「よござんすね……入りやす」

 偽札の男にせっつかれて、壺振りがサイコロを振った。

 ドン、と壺を床におろし、サイコロが音を立てたあととまる。

 すると偽札の男が真っ先に。

「半だ! 今度こそ半!」

 と、更に金を取り出して半に賭けた。

「半!」

「おれも半!」

「さすがにもう半がでるだろ」

 それに追従して、他の連中も次々と半に賭けていく。

 まっ、気持ちはわかる。

「なあ」

 イリスがそっとおれに耳打ちしてきた。

「なんだ?」

「イカサマではないのだな?」

「ああ、ちがう」

「そうか……」

 イリスは少し考えて。

「丁だ」

 と、まわりの反対に賭けた。

 まわりの注目を集めた。

 十回連続で丁が出た後、まわりは半一色の中、イリスだけ丁を賭けてる。

 掛け金は少ないが、一人だけそうしたのは目立った。

「おいおい、流石にもう丁はねえよ」

「そうだ。イカサマもなくそんなに続くわけがねえよ」

「ばっかだなあ」

 嘲笑が飛びかう。

 イカサマがなかったら十回連続丁の後また丁の訳がない。

 理屈はわかる、わかるが。

(やるな、イリス嬢は)

 ああ。

 エレノアと同感だった。

 イカサマではない、ならば十一回目もきっと丁のままだというイリスの判断は。

「あけます。丁!」

 一瞬静まりかえったあと、阿鼻叫喚の地獄という形で答え合わせがされた。。

     ☆

 結局一度も勝つことなく、偽札の男が賭場を出た。

 おれとイリスもそれを追って外にでた。

「後をつけよう」

「当然だ。だが少し待て」

 気が逸って、追いかけてくイリスを引き留めた。

「どうした」

「見つかったら元も子もないだろ?」

「それはそうだが……ああっ、角を曲がってしまった。離してくれ」

「いいから」

「このままでは見失う! それこそ元も子もない」

「おれに任せろ。昔同じ事をした」

「同じ事を?」

「あの男の足音はとらえてる、どのコースを通って歩いてるのはつかんでる」

「足音?」

 イリスはまわりを見た。

 雑踏の中、様々な音があふれてる。

 話し声や生活音、タイミングよく目の前を通り過ぎていった早馬の音なんかもある。

「これで足音がわかるのか?」

「わかる」

 おれははっきりと頷いた。

 この世界に来た直後も尾行したことがある、あの時も足音で尾行してた。

 今はあのときに比べて能力の使い方もなれてきてる、足音を聞いただけで頭の中に相手が通っていったルートを構築できる。

 後をつけてなくても尾行は出来るようになってる。

「すごいな。……戦場だけの男ではないのだな」

「その認識もあながち間違いではない」

「……姉上が心酔する訳だ」

 なんか意味深につぶやいた。

 そこは今掘り下げると話がややこしくなるからスルーした。

 そうしてるうちに足音がとまったから、イリスに言った。

「ヤツが止った行くぞ」

「ああ」

 頷くイリス。表情がキリッとなる。

 おれが先導して、歩き出した。

 拾った足音で作った脳内ルートを沿って歩いて行く。

 何回か曲がって、街の中心を抜けて、反対側にでる。

 雰囲気ががらっと一変して、そこは貧民街の様な場所だった。

 建物が薄汚れてて、あっちこっちにぼろぼろの格好をした人間が地ベタに座っている。

 連中はおれとイリスをジロジロ見たが、無視する。

 曲がりくねった道をいって、入り組んだ所に入った後、一軒の建物の前に足を止めた。

 木造の平屋で、ずいぶんと風通しがいい。

「ここか?」

 おれはイリスに頷き。

「ああ、ここに入った」

「中に他の人間は?」

「いない、物音も気配も一人分だ」

「わかった、ならわたしが行こう」

「大丈夫か?」

 目を見開いてイリスをみた。

「任せろ」

 イリスはそう言って、意気込んで中に入った。

 この距離なら何があってもすぐに介入は出来るから、彼女の好きな様にさせて、その場で待機した。

 中から言い争いが聞こえてきた、イリスと偽札の男の声だ。

 イリスが男に偽札の事を突きつけて、問い詰めてる。

 男が手を出した。逆上して、イリスに殴りかかった。

 が、すぐにイリスに鎮圧された。

 音からしてパンチを避けてそのまま腕をひねりあげたんだ。

 男はすぐに降参して「喋る、喋るから!」といった。

(やるもんだな)

「ああ」

(ではわれらもそろそろ動くか)

「そうだな」

(ふぇ?)

 ひかりがキョトンとなるなか、おれはワープの羽を取り出し、通って来た道の途中にワープした。

 離れた物陰に隠れてこっちの様子をうかがってた男がいて、その男の背後に出た。

「動くな」

「――っ!」

 魔剣の柄を背中に突きつけて威嚇する。

 男は反応が早かった、すぐに手をあげて降参した。

(あれ? この人さっきさいころをふってた人だ)

 ひかりがいう。

 そう、男は壺振りだった。

 おれは、さっきからつけてきた男に低い声で問い詰める。

「なんで偽札を回収した」

 男はびくっとした。

 イカサマはなかった、男は熟練のテクニックで、振ったさいころの出目を完璧にコントロールしただけのこと。

 そして偽札の男は一回も勝つことなく、もっていった偽札を全部吐き出した。

 なぜ男を狙い撃ちにしたのかを、おれは壺振りに問い詰めた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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