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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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112.おれだけの力

 くじ引き所にやってきた。

 ここに来れるのは転移者であるおれと、おれの血を引くひかりと、それと原因不明だがエレノアだ。

 エレノアの場合、ここに来てる時だけ人間の姿になれる。

「……」

「なんだ、ジロジロみて」

「いや、そういえばここに来てる時だけその姿になるんだよな、お前」

「それがどうした」

「その姿を知ってるのがおれだけって事か」

「ひかりも知ってるよ!?」

 横からひかりがいう。

 それはそうだが、そういう話じゃなくて。

 エレノアは……結構綺麗だ。

 体や顔の作りは子供のそれだが、目や口などに作られる表情とか、たたずまいから醸し出される雰囲気とか。

 そういうのから、「かわいい」じゃなくて「綺麗」に感じる。

 いや、「可愛いと同時に綺麗」が正しいのか。

 それをおれだけ(、、、、)知ってる。

 おれはエレノアを見た。

 なんというか――。

「あのぉ……」

 話しかけてくる声がした。

 女の声。振り向くとそこにあきれ顔のくじ引きスタッフがいた。

「何度も言うようですけどそういう変な家族団らんをここに持ち込まないでくれませんか? なんかまた変なのに目覚めてるし」

 スタッフはぶつぶつ言った。

 変なのってなんだ変なのって。

 ……まあいい。

 おれは気を取り直して、彼女に聞く。

「新しいくじ、増えたか?」

「なんでわかったんですか?」

「前に言ってただろ? 世界に大きな動きがあると新しいくじ引きが出来るって
「そか、メルクーリが紙幣を取り入れたときに言ったんでしたっけ?」

「そうだ。だから今回のシラクーザの一件でも同じ事になってるんじゃないかって思ってな」

「はい、なりました! すごいですね、国の中興、しかも女王が二人ですよ。歴史に名前がのるの確定です。中興の祖の双女王とかそういうので」

「中興の祖はかっこいいな。徳川吉宗みたいなもんか」

 あれもたしかそう呼ばれてた気がする。

「で、どういうくじ引きなんだ? 今度のは」

 おれはスタッフの背後を見た。

 赤と白の垂れ幕とは別に、そこに看板らしきものを布で覆ったものがある。

「じゃじゃーん!」

 スタッフはその布をぱっ、と引っぺがした。

 そこから現われたのはくじ引きの賞品のお品書きだった。

「どれどれ」

 おれは商品リストを見た。

・特賞 シラクーザの秘宝 1/1
・一等賞 シラクーザの領地 1/1
・二等賞 シラクーザの土地 5/5
・三等賞 シラクーザ人の奴隷 10/10
・四等賞 シラクーザの名産 50/50
・参加賞 シラクーザの銀貨 300/300

「全部シラクーザがらみだな」

 エレノアがいった。

「そうだな。まあわかりやすい。シラクーザの事件を解決した訳だしな」

「しかもあの二人が中興の祖ともなれば、これらの賞品の価値はいずれもっと上がる。領地や土地はとんでもなく上がるとみていいだろうな」

「すごくあがるの?」

 ひかりが好奇心たっぷりの目で聞いてきた。

「あがるだろうな。業績がいい大企業に入って、ボーナスが現金支給じゃなくて株って言われたときの気分だ」

「それをもらったらますます一生懸命働きますね!」

 スタッフが同意を示した。

 自分の会社の株、しかも上昇気流にのってる株をもらえば、それの価値を更にあげるために一生懸命働く様になる。

 これから先のシラクーザの(領地・土地)は更に上がっていくだろうから、このくじはいつになく俗っぽいけど、結構値打ちがるものだ。

 それはいいとして。

「特賞の『シラクーザの秘宝』はなんだ?」

「秘宝です、あてての楽しみです」

「ふむ。数が書いてあるけど、くじの中はこれで全部か?」

「はい」

「つまり最後まで引けば必ず手に入ると」

「そうですよ? やだなあお客さん、くじ引きってそう言うものじゃないですか。最後の一玉まで引けば絶対当たるって」

 普通ならそうだな。

 ここのくじ引きは不思議要素が絡んでるから、そうとは限らないと思った。

 にしてもそうか、最後まで引けば絶対手に入るのか。

「それはいいことを聞いた」

 背後から男の声がした。

 振り向くと、そこに例の男がいた。

 おれよりも先にくじを引いてこの異世界にやってきた男。

 転移してから結構時間が経つが、このくじ引き所でしか合ってない。

 その男はニヤリ、と笑った。

「おまえ、何枚持ってる?」

「二十枚って所だ」

「おれは300枚。つまりあと40枚集めてくれば全部ゲット出来るってことだな。よし、引くのは後だ、券を集めてくる」

 男はそういっていなくなった。

 それをみて、スタッフがぼそっとつぶやいた。

「あの人なら全部集めるでしょうね」

「おれもそう思う」

 あの男がどういう生活をしてて、どうやってるのかはわからないけど、毎回毎回ものすごい数のくじ引き券を集めてくる。

 数で言えばおれの数倍から十倍って所だ。

「でも、あれが正しいです」

「うん?」

 スタッフを見る。

「いえ、わたしがこんなことを言うのもなんですけど、やっぱり特賞の確率は低いです、最初は」

 おれは商品リストをちらっと見て、数えて、聞いた。

「367分の1じゃないのか」

「はい、最初は」

 やっぱり不思議なくじ引きじゃないか。

 普通のくじ引きならこの場合普通に367分の1の確率だというに。

「だから、枚数分を集めて、全部引くのは今回正しい攻略法です。お客様はどうしますか?」

「367枚を集めるのは不可能――ああ、あいつより先に集めるのは不可能だ」

 おれはそういい、横でエレノアが頷いた。

 くじ引き券を集める能力だけで言えばおれはあいつに圧倒的に低い。

 ましてやむこうは今300枚持ってる。

 この状況で先に367枚集めるのは不可能だ。

 だが――。

「とりあえず券を10枚、これで11回だな。ひかり、いつも通りくじを引いてくれ」

「うん! やろ、おかーさん」

「うむ」

「せーの。がらがらがらー」

 うちには、幸運の女神かわいいがついている。

 がらがらがら――ぽとっ。

「え?」

「ふむ」

「わー」

 三人の声がそろう。

 出てきたのは、金色の玉。

「と、特賞大当たり……」

 ハンドベルを鳴らすのを忘れるくらい驚くスタッフ。

 後日、例の男が泣きながら一等賞以下全部を回収していったらしい。

     ☆

(これがシラクーザの秘宝とやらか)

 屋敷に戻ってきたおれ、ひかりはチビドラゴンと一緒に遊びにいって、おれと魔剣の姿のエレノアの二人っきりになった。

 おれの前に手のひらサイズの宝箱がある。

 箱の外側に紋章が彫られている。

 フィオナとマリーが親指につけてる指輪にあるものと同じ紋章だ。

「これを開けばいいんだっけか」

(あの女はそう言ってたな)

「あけるか」

(大丈夫か?)

 エレノアがからかい口調で言ってきた。

「お前がいるし大丈夫だろ」

(……)

「ん? どうした」

 いきなり黙ったことを不思議に思って、聞いてみた。

(な、なんでもないわ! さあ、さっさと開くがいい)

 変にせっつかれた。なんなんだ?

 まあいっか。

 おれは気を取り直して、宝箱を開けた。

「……」

(……)

 シーン。

 何もおきなかった。箱の中には何も入ってなかった。

 何も起きなかったことに肩すかしを感じた。

 ――その時。

 箱の底から光があふれ出し、おれの体を包み込んだ。

(大丈夫か!)

「ああ、大丈夫だ」

 慌てるエレノアの声、おれは対照的に落ち着いていた。

 光がおれを包んだ途端、この「秘宝」の効果が頭の中に流れ込んできたからだ。

「なるほど、技……奥義みたいなのを作るアイテムか」

(わかるのか)

「わかる――想像力をたかめて……強くイメージしたものがそのまま力になる。か」

(ほう)

 落ち着いたエレノアがいつもの楽しげな声に戻った。

(それはおもしろいな。貴様は今まで技らしい技はなかったからな)

「いわれて見ればそうかもな。大抵能力に任せて戦ってたから」

 最初のくじ引き、全能力777倍のチートがある。

 それで能力に任せて適当にやってても余裕でどうにかなってきたから、わざとか奥義を作る、と言う発想はなかった。

(それで簡単にできると言うのだな)

「強くイメージすれば」

(ならばするがいい)

 何故か偉そうに命令されたが。

 まあいい。

 おれはイメージした。

 おれが使う技。

 おれだけが使えるのは当たり前だ。

 正体不明なのがいい。魔剣の二振りと同じ、正体不明の方がいい。

 それでいておれの女達に影響を与えるようなのがいい。

 それらの条件をすべて満たせる様な能力を、おれはイメージした。

 強く、強くイメージした。

 そして、できあがったのが――。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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