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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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109.魔と魔剣の邂逅

 深夜、死体収容所の中。

 チオザの死体の前に一人の男が現われた。

 黒装束を着た、暗殺者のような格好の男。

 男はフードを頭からすっぽりとかぶってて、そのフードから黒いもやが漏れ出している。

 一目見ただけでわかる、いや近くにいるだけでその異質さがわかる。

 気が弱いものなら、そばに近づいただけでやられて正気を失いかねない、そんな禍々しさを内包した様な存在。

 その男はチオザの死体に手をかざした。

 チオザの体から男と同質の黒いオーラが出て、その手に吸い込まれた。

 魔族のような姿になったチオザの体が徐々に人のそれに戻っていき、やがて黒いオーラが吸い尽くされ、チオザは、ただの人間(の塊)に戻った。

 手をにぎにぎさせ、今し方回収したものを確認する男。

 男は、苦渋に満ちた声でつぶやいた。

「魔剣を従え、魔剣を生み出した男……これで何度目だろうか」

「なーにが何度目かだって?」

「――っ!」

 男は、現われたもう一人の男に驚愕した。

 パッと振り向いた先には、二振りの魔剣を持った男が腕組みして、収容所の入り口に背中をもたせかけていた。

 鋭い眼差し、一見して凶悪さを内包するつり上げられた口角。

 魔剣を従え、魔剣を産み出したこの世界でもっとも異端の存在。

「魔剣使い……カケル・ユウキ」

「おう」

「なぜ……ここに?」

「こう何度も何度も行く先々にああいう――」

 カケルはチオザの死体を指さしていった。

「――魔の存在? 的な物が出てきたらバカでも考えるだろうが。カランバの三宦官、コモトリアの王妃、そしてこいつだ」

「……カランバの一件はどこから知った」

「おれの女に事情通がいるんで」

「……」

「そういうのが次々と現われちゃ、バカでも背後に何かでっかいつながりがあるって考えるってもんだろ」

「……言っておくが、今回のはイレギュラーだった」

「へえ?」

 カケルはわずかに目を見開かせて、笑みをたたえたまま聞き返した。

「種をまいたのは遙かに前、それが今芽を出したに過ぎない」

「その弁解に意味はあるのか?」

「我らは貴様と事を構えるつもりはない」

「おれが怖いのか?」

「われらは悠久の時を生きるもの。そして貴様は人間」

「……」

「数十年、長くて百年も待てば貴様はいなくなる。我々からすれば瞬きに等しいわずかな時間だ。その後でゆるりと計画を再開すればいい。それだけのこと」

「なるほど。納得は出来る話だ――だけど」

 カケルは魔剣エレノアを抜き放ち、まっすぐ黒い男に突きつけた。

「お前らが本当に引き下がる保証ってどこにもないよな」

「……ならばどうする」

「決まってる」

 魔剣ひかりも抜きはなった。

 魔剣から黒いオーラ――男のそれと似ているようで、本質的にまったく違う黒いオーラを纏った。

「斬っちまえば関係ねえ!」

「――はやいっ!」

 カケルの突進は男の予想を遙かに上回った。あっという間に肉薄され、魔剣の切っ先が目の前に迫った。

 交錯する二つの影。カケルは迎え撃つために振り上げた男の腕をエレノアで切りおとした。

「剣で我を斬ることは叶わぬ。我らはこの世にあってこの世の理からはずれた存在。いかな魔剣使いといえど」

「へえ、そう?」

 カケルは口角を持ち上げながら、男の斬られた腕を切ったエレノアでさした。

「こういう場合再生して『ふははは効かぬわ』ってやるのが相場だけど」

「そのつもりだ――むっ」

 男があきらかに動揺した。

 何かしようとして動かした袖が、びくっと動いただけで何も起きなかった。

「……なにをした」

「おれは何もしてない。全力で踏み込んで斬っただけ。こいつがお前らの様な連中にきくかもしれない秘策があるって言ったから、まかせたまでだ」

「魔剣……エレノアッ」

「そういうことだ。さあ、その首を置いてってもらおうか」

 カケルは突進して、二振りの魔剣を振り抜いた。

 交錯ざまに、チオザにしたように、男の体を十字に斬った。

「ちっ、逃がしたか」

 男はいつの間にかいなくなっていて、その場に残ったのは暗殺者が纏っていた、四分割されてしまった黒装束だけ。

 カケルは魔剣を鞘に収める。

「あっ、いたいた。カケルさんこんな所にいたんだ」

 外をイオが通りかかった。

「こんな所で何をやってたんですか?」

「いや。なんでもない。それよりおれを探してたみたいだがどうした」

「うん、あのね、もしよかったらでいいんだけど、今日、カケルさんいっぱい戦ったでしょ。だから――」

 最後までいわさず、カケルはイオにキスをした。

 彼女の表情に表れているもの――期待。

 それが何に向けられているのか、カケルは正しく把握している。

「ベッドは?」

「こ、こっちに」

 イオは照れながらもものすごく嬉しそうにした。

 そんなイオの肩をだいて、カケルはさりげなく暗殺者の服の切れ端を拾い上げた。

 次の時のために、彼は、手がかりとなるものをそっとポケットにしまい込んだのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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