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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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108.カケルからは逃げられない

 地面に転がってる首をみる。

「こいつがここのボスって事でいいのか?」

(身なりからしてそうだろうな。しかも情報通りだ)

「危なくなったら一人で逃げ出すって情報か……」

(デルフィナから買っておいてよかったな。高くついたが)

 この男、ヘロドトスの耳より情報だって事でデルフィナ銀貨1000枚で買わないかと持ちかけられた。

 1200枚で買った。その時のデルフィナの表情がちょっとおかしかった。

 おれが大きい買い物をしたとき、銀貨300枚ごとにくじ引き券1枚をゲット出来る。

 せっかくだし、銀貨1000枚で券3枚よりも、もうちょっと足して1200枚で券4枚の方がおれにとって都合がいい。

 ま、余談だ。

(貴様の情報も流されてるし、それで取引を持ちかけてもよかっただろうに)

「くじ引き券をもらえるんだ、損はしてない。それに」

(それに?)

「デルフィナはいずれおれの女になるんだ、結局損はしない」

(内貨扱いか、なるほどな)

 エレノアが納得する。

 彼女と話してる間、おれは黒衣を纏ってキレネトの町を進む。

 民の姿は建物窓からちらっと見える程度。

 ヘロドトスを追いかけてか、たまに兵がやってくるけど。

「ま、魔剣使い」

「シラクーザの大将軍」

「ひいい!」

 おれに攻撃してくる兵はいなかった。

 大半がおれを見た瞬間および腰で、一部は即座に逃げ出す位だ。

 威嚇だけで進むことができた。

(ここも落ちたな)

「ああ。あとは――」

(ご主人様ー)

(連絡です)

 メイド幽霊がちょっとした時間差で飛んできた。

 最近ますます行動範囲が広くなった二人をそれぞれガリラヤとティベリアに残して来た。

(ガラリヤ、占拠完了です!)

(ティベリアはご主人様がいなくなった後にちょっと抵抗があったけど鎮圧しました)

「そうか、ご苦労」

(抵抗か、貴様が最後まで残ってやればよかったな)

「それくらいいいいだろ。タニア、ペギー」

 メイド幽霊達の名前を呼ぶ。

「見ての通りここももう落ちる。ナナの所に飛んで時間稼ぎはもう必要ないって伝えろ」

(わかった!)

 二人があっという間に空の彼方に消えていった。

(これで残す所王都アドアだな)

「ああ、このまま――」

(ご主人様!)

 空からタニアが降ってきた。ナナの所に行かせたはずなのに戻ってきた。

「どうした、戻ってくるの早すぎないか?」

(敵だよ、あっちから敵が来たよ)

 タニアは反対側、ヘロドトスが逃げていこうとした方角を指した。

 大通りから抜けていく地平線の向こうから、砂煙が巻き起こってるのが見えた。

     ☆

 町を出て待ち構えてるとそれがやってきた。

 砂煙がおれに百メートルって所まで近づいた所でとまった。

 それでよく見えるようになった。

(わあ、お馬さんがいっぱいだあ)

 のんきなひかりの声。

 やってきたのは騎馬部隊だった。

 数はざっと数えて300。

 数自体は少ないが、ここまでまとまった騎馬隊なら相当の突破力がありそうだ。

(見慣れぬ旗がまざっているな)

「ああ、普段の蛮族軍の旗の中にやたら威勢のいいのが一つあるな」

(貴様用に作らせた大将軍の旗とにているな)

 エレノアが言った。

 フィオナとマリに大将軍に任命されたあと、それように旗を一緒に作ってくれた。

 象徴的な存在になってくれと言う二人の女王の考えの一環だ。

 それと似てる……ってことは。

「向こうの対象が来てるのか」

(うむ。蛮族王とやらだな)

(すごく強そうな名前だね)

 ひかりの台詞はやっぱりどことなくのんきだった。

 母娘魔剣とそんな事を話してると、騎馬隊の中から一人の男が前にでてきた。

 手綱をうまく捌いて馬を乗って、前にでる。

「カケル・ユウキだな!」

 かなりの大声だ。百メートルも離れてるのに、はっきりと聞こえてくる野太い声。

 おれは男をみた、777倍の視力で百メートル先にいる男を観察した。

 まるで石膏像の様なひげ面に、細かい傷だらけの鎧。筋骨隆々といっても差し支えない肉体に、太刀ほども長い双剣。

 そこにいるだけでかなりの雰囲気のある男だ。

 そいつが更に口を開く。

「おれはチオザ! チオザ・ストラトス! クロポリス王国の王だ!」

 クロポリス王国の王、チオザ。

 おれ達がずっと蛮族軍と呼んでる組織と、そのリーダーの男の名前だ。

(本物だな)

「ああ、雰囲気が出てる」

(あれも英雄の類だな)

 エレノアは無感動につぶやいた。

 こいつが言うと英雄の大バーゲンセールに聞こえてしまう事がよくある。

「おれが結城カケルだ」

 チオザに負けじとおれも大声を出した。

 777倍の声。

 叫び声じゃない、淡々と喋る大きい声(、、、、、、、、、)

 チオザよりも大きい声に、向こうの馬が次々と棒立ちになった。

 なんとかいななきですんだのはチオザが乗ってる馬だけだ。

 チオザは馬を宥めつつ、おれを睨む。

「よくもやってくれたな」

「敵同士、しかも戦場での出来事だ」

「なぜおれの邪魔をする。男爵位のためか」

 そういえばおれ、シラクーザの男爵だっけ。

 その事を本当、しょっちゅう忘れる。

「公爵をやろう。しかも永世だ。なんなら貴様の跡継ぎ以外にも、次男当たりにも爵位をくれてやる」

 大盤振る舞いだな。

 永世継承ならおれだけじゃなくておれの長男もあとを継いで公爵になれる、それだけじゃなくて次男にも爵位をくれるっていうのはかなりの条件だ。

 ま、普通ならな。

「興味無いな」

「だったらなんのために戦ってる」

「女のためだ。おれの女を女王にする」

「茶化すな!」

 何故か怒られた。その事は周知の事実になってるはずなんだが。

「貴様ほどの男が傀儡を打ち立てて何をするつもりだ!」

「誤解があるな」

(だが向こうが正しい、貴様がやったことは酔狂にすぎる)

 そうなのかもな、だがどうでもいい。

 本当に女を女王にしたいだけでも、他に何か目的があったとしても。

 目の前の男を倒す事に変わりはないんだから。

「こいよ」

「なに?」

「おれを倒せば何を企んでようが関係ないだろ?」

「……ふっ」

 チオザは笑った。

 唇を片方持ち上げて笑った。

「ふはははは、そうだな、その通りだ」

 チオザが双剣を構える。

「貴様を首にすれば全てが終わる。行くぞ!」

 チオザが馬を駆って突進してきた。

 交錯する瞬間、双剣がうなりを上げて迫ってくる。

 エレノアとひかりで受け止める。

 斬撃は鋭いが、パワーはそれほどでもない。突進がのってこの程度なら大した事はない。

 はじいて首を落とす、それおわ――。

(おとーさん!)

 珍しくひかりのせっぱつまった声が聞こえた。

 瞬間、ものすごい力がおれを襲う。

 二振りの魔剣がはじかれ、弧形の光が首に飛んでくる。

「――ふっ!」

 とっさに体が反応した。

 下から双剣の腹を蹴り上げて、後ろに飛んで危機を脱出。

 油断した――と思ったら。

「なんだそれは」

 チオザの姿が変わっていた。体のまわりに黒いもやもやが集まって――変身した。

 側頭部に二本の角、背中からコウモリの膜のような翼。

(まるで悪魔だな)

「ああ」

(うぅ……怖いよぉ)

 ひかりが怯えてる。

 チオザの姿をみて、アウラの事を思い出した。

 コモトリア王国、知らずのうちに魔族に浸透されてた国。

 チオザも同じなのか?」

「その力をどこで得た」

「これはおれの力だ」

「……そうか」

 てこでも話さない――というのじゃない、本気で自分の力だって思って、誇りにしてる目だ。

「更にいくぞ。うおおおお!」

 チオザが斬りかかってきた。馬を操って突進して双剣で斬りつけてくる。

 エレノアで受け止める、手のひらにしびれが走った。

「――はああ!」

 ぐっと踏みとどまって、押し返す。

(やられっぱなしでいないよな)

「当然だ!」

 エレノアの発破にのった。

 エレノアとひかり、二人からのオーラで黒衣を纏いなおす。

 そうしてチオザをわずかに押し戻したあとすぐさまに飛んで、大上段から斬りおろす。

 双剣で受け止められた。チオザにダメージはない。

 その衝撃が下に伝わり、乗っていた馬がぐしゃぐしゃにつぶれた。

 ガキーン、と、魔剣と双剣がぶつかり合う金属音が響いて、チオザはつぶれた馬から飛び退いた。

 チオザと撃ち合った。

 黒衣に魔剣が二振り、悪魔の姿に長い双剣。

 よく似てる二人の戦いを、いつの前に近づいてきたチオザの騎兵が固唾をのんで見守っていた。

 地面におりたチオザは更に手ごわくなった。

 馬が足手まといだったのか、スピードもパワーも馬上の時よりも増している。

 ―ーが。

「くぅ!」

「どうした、威勢がいいのは最初だけか」

 わずかだが、おれはチオザを押した。

 力もスピードも技のキレも、全部おれが上回ってる。

 そして、体力も。

 打ち合いを始めてから10分くらい立つと、そいつの力はがた落ちした。

 大粒の汗を浮かべて、苦しそうな顔をする。

(時間制限ありか)

「ありがちだ、うおおお!」

 ギアをあげて更に攻撃する。

 このまま押し切れる――と思っていると。

 左右から銅鑼が鳴り響いて、兵が集まってきた。

 おれの――シラクーザの兵だ、三カ国からかき集めた兵。

 一人でこの町を落とすために待避させてたのが集まってきた。

 それに木を撮られた一瞬。

「はああああ!」

 力を振り絞って! という感じでチオザがつばぜり合いでおれをはじいた。

 ぐっと力をいれて踏みとどまる、一方のチオザはその勢いで大きくとび退けた。

 追撃しようとすると。

「チオザ様!」

 騎馬隊から一人の兵が出てきた。

 新しい馬を引いて、チオザのそばに駆けつける。

 チオザはひょい、とそれに飛び乗った。

「邪魔がはいった、勝負はお預けだ」

 そういって、やはり慣れた手綱捌きで馬を返して、騎兵隊とともに去っていった。

 チオザは消耗してふらふらだが、新しい馬はピンピンしてて、風のように駆け去って行く。

 左右から集まってくるおれの兵も追いつけない程の速さ、侵攻も撤退もかなり早い。

「シラクーザをアッという前に制圧したのはその機動力もあってなんだろうな」

(そうだな、惜しいが次の機会ということになるな)

「何を言ってる」

 おれはワープの羽を取り出した。

「それをまつ必要はない」

 そう言って、ワープした。

 チオザが猛速度で撤退していく道、それはおれがこのキレネトに侵攻した時に通った道。

 ワープは、チオザの目の前。

「なっ――」

 出会い頭で驚愕したチオザを、魔剣の二振りで十字に切り刻む。

 四つになって転がっていくチオザは、最後まで何が起きたのか理解できないって顔をしていた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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