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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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105.大将軍カケル

 夜の部屋の中。

 一見して普通の部屋だが、大きな特徴がある。

 部屋のど真ん中に広いテーブルがあり、テーブルの上は砂が大量にある。

 ただのテーブルでも砂でもない、この世界における魔法アイテムの一種だ。

 魔力を込める作動させると、砂が魔力を帯びて立体的な地図になる優れものだ。

 それを囲んでるのは、おれとナナとヘレネーの三人。

 将軍タイプのナナと、軍師・参謀タイプのヘレネー。

 二人にこの後の進軍ルートを聞いた。

 するとヘレネーはサンドテーブルに魔力を送って、地図にした。

「ここが今いるユフラテス、この先にガリラヤとキレネト、ゲネサレ、ティベリアの四つの町があります。次に攻略するとしたらこの四つになるでしょう」

「優先順位は?」

 ヘレネーに聞く。

「ゲネサレ以外大差ないというところです。いずれもここを突破すれば旧シラクーザ王都……今はアドアと名前を変えられた所まで一直線となります」

「ゲネサレはどういう所なんだ?」

「王都に続く道を睥睨するように作られました。相応の兵力とわかる人がいれば攻守ともに力を発揮して要塞化する場所です」

「ならそこから攻略した方がいいんじゃないのか」

 話を聞くと、放置したら背中を突かれる事になりそうだ。

「いえ、ここには一部隊を張り付かせておけばいいでしょう。落としてもいいのですが、中途半端に活かした方が向こうにダメージを与えられます。じわじわと毒のように」

「なるほど」

「そこにナナさんをオススメします」

「わたしを?」

「はい、ゲネサレを生かさず殺さず、進むも戻るも出来ないほど叩くのはカケル様か、ナナさんしかいません」

「……なるほど」

 ヘレネーの言いたい事はわかった。

「全力で手加減する、っていうことだな」

「はい」

「ナナがゲネサレを釘付けにしてる間に他の三つを落とすのか」

「いえ、出来ればアドアまで」

「そこまで一気に行くのか」

「はい。そのかん、敵兵にゲネサレに逃げ込んでもらう様にします」

「……生殺し状態を維持しろ、と」

「その通りです」

 見つめ合うヘレネーとナナ。

 かつて正規軍と反乱軍として敵対の立場にあった二人。

 こうして仲間として向き合ってのはちょっと面白い。

「ですので、カケル様かあなたしか」

「承知した。任せていただけるのなら全力をもってこたえる」

 これはヘレネーにじゃなくて、おれに向けた台詞だ。

 ナナはある意味奥ゆかしい女だ。

 おれの命令はなんでも従うけど、すすんで何かを要求することはない。

 命令をおねだりすることもあまりない。

(彼女にしてはかなり踏み込んできたな)

 エレノアがいう。おれもそう思う。

 やらせてくれって言ってないけど、実質言ってる様なもんだ。

 こういうのすら中々ないから新鮮だ。

 おれはちょっと考えて、ヘレネーに聞く。

「敗走した兵が確実にゲネサレ逃げていく方法はあるのか?」

「いくつも。包囲をわざとゲネサレ方面だけ緩くする、ゲネサレの戦況がいいと噂を流す、ゲネサレの指揮官をたきつける。などがあります」

「そうか、ああ、詳しくは聞かない」

 驚き、さみしがるヘレネー。

 聞いてくれないのか? って顔だ。

「二人に任せる。上手くやってくれ」

「はい!」

「御意」

「おれも好きな様に使え。駒としてぶん回してくれてかまわん」

「はい」

 婉然と微笑み、頷くヘレネー。

 その顔ははじめてあった時、馬車から降りてきた時よりも綺麗に見えた。

「カケル様?」

「ああいや、みとれてた」

「そんな……」

 ポッ、と頬を染めるヘレネー。

 うん、やっぱりあの時よりも綺麗だ。

「ヘレネー殿下はお綺麗だ」

 ナナが横から言ってきた。

 至って真顔で、本気で言ってる顔。

「わたしの目から見ても、羨ましくなるくらい綺麗だ」

「ナナも綺麗だぞ」

「言葉ありがたく――」

「お世辞じゃない。戦場でならお前は誰よりも綺麗だ」

「……」

 唖然となるナナ。そんな事を言われるとは思ってなかった顔だ。

「わたくしもそう思います」

 ヘレネーが同意する。さっきのナナと同じだ。

「ナナさんの白い鎧は戦場で目立ちますし、その後も安心と信頼感を産み出しています。誰よりも敵兵を斬ってるはずなのに、誰よりも返り血がすくない」

「ああ、それはおれも思ってた。そういう鎧なのかって最初は思ってたけど一緒に戦ってるのを見てどうもそうじゃないみたいだよな。はじいてるんだ、お前自身の動きでそもそもつかないんだな」

 そう、ナナはその動きの激しさで返り血をはじいてる。

 手数でいったら下手したらおれをも上回ってるから、そのせいなんだろう。

「そんな風に……思われていたとは」

「ずっと思っていました」

「そうか、わたしと一緒だな」

 ヘレネーとナナ、見つめ合って、やがて微笑み合った。

 認め合う二人の姿はやっぱり綺麗で、それを通り越してまぶしかった。

     ☆

 フィオナに呼び出されて、彼女の部屋にやってきた。

 部屋の中だからか、フィオナは看板娘時代と同じ格好でおれを出迎えた。

「ごめんなさいカケルさん、いきなり呼び出して」

「いやいい。相談があるって聞いたけど、なんだ?」

「カケルさんにお願いしたいことがあって」

「言ってみろ」

「大将軍になってくれませんか?」

「……は?」

 キョトンとなった、大将軍?

「なんだそれは」

「言葉通りの意味です。シラクーザ軍を指揮する一番偉い人に」

「別になるのはいいが、なんで?」

「考えました」

 フィオナはそう言って、真顔になる。

「わたしが女王として、この戦いで何が出来るのかをずっと。神輿にのって象徴的な存在でいるだけじゃ足りないような気がしたんです。ここまでずっとカケルさんにおんぶにだっこって言うか……とにかく何かしたかったんです」

「ふむ」

「それで、最近カケルさんの事が敵側に噂になってるのを聞いて」

 デルフィナが流してる噂だな。

 魔剣使いと二振りの魔剣の事だ。

「それ恐れられてるって、だったらそれをもっと大きくしたらいいのかなって」

「それが大将軍か」

「うん。いろんな人に話も聞いた。任命するのはわたしとマリが好きにやっても大丈夫だって」

「ま、女王様だからな」

 そりゃ好きにやっていいだろうさ。

「というわけなんだけど……どうかな」

 おれはフィオナをじっと見つめた。

 そんな事を考えてたなんてな。

「……だめ? かな」

 シュンとなるフィオナ。

 おれが黙ってるから勘違いしたみたいだ。

「ダメじゃない、見とれてただけだ」

「え?」

「女王らしさが出てきて綺麗だなって」

「ふええええ!」

「その驚き方は女王っぽくないな」

 頬を突っついてからかってやった。

「もう、変な事言わないでよ」

「ふっ、悪い悪い」

 もう一度フィオナを見た、同時にヘレネーとナナの事を思い出した。

「わかった大将軍になってやる」

 まったく、おれのまわりにはいい女が多いな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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