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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

シラクーザ王国編

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103.万戸将軍タナシ

「うおおおおおお!」

 血風が踊る。

 両軍がぶつかり合う最前線、その中心地。

 おれのまわりを温かい血と人だったもののかけらが飛び散っていた。

 黒衣(漆黒オーラ)を纏い、二振りの魔剣を振るう。

「ま、魔剣使いだ」

「ひぃいいい!」

 最初の圧力は跡形もなく消え去ってる。

 おれの前にいる敵兵はほとんど腰砕けになって逃げ惑っている。

「タニア、ペギー」

(いるよー)

(はい)

 手が空いたから、元気と内気のメイド幽霊コンビを呼び出した。

「状況は?」

 二人は空高く飛び上がって、手をおでこにかざして遠くを見た。

(左翼の敵も潰走してるよー)

「さすがナナだな」

(う、右翼はやや優勢。あっ、リカ様とイオさんが詠唱をはじめました)

「なら時間の問題だな」

 魔剣を構えたまま、現状を整理した。

 チグリスの近くにある、ヤルコンと言う名の場所。

 上空から見ればただの荒れ地にしか見えないそこに名前がついてるのは、昔から何度も大きな合戦が行われてきた古戦場だかららしい。

 そこで蛮族軍と真っ向からぶつかった。

 こっちの兵力は4700、三カ国からの援軍4500に奴隷兵200だ。ちなみに親衛隊はフィオナとマリを守るためにおいてきた。

 蛮族軍は5000、数の上ではほぼ同等だ。

(しかし、貴様がその陣形を言い出した時は気でも触れたのかと思ったぞ)

「鶴翼の陣の事か?」

(なまえはしらんが、どう見ても多勢が小勢を包囲する陣形だった)

(あっちとこっちは同じ位のかずだったもんね)

 ひかりも会話に参加してきた。

(気でも触れたのかと思ったぞ)

「二度言うな。……正解だっただろ?」

(貴様以外出来ん手だがな)

 陣形を展開するにあたって、兵力をこんな風に分けた。

 左翼、ナナ・カノー率いる王国連合兵2000。

 右翼、三王女率いる同じく王国連合兵2500。

 中央、おれと奴隷兵200。

 両翼を極端に兵を振り分けて、中央でおれが無双することで鶴翼の翼の効果を発揮させた。

 事実、中央はおれが十倍近くいる敵の本体を潰走させて、両翼は徐々に敵軍を包囲しつつある。

(我はもういちいち貴様のやる事に驚きはせんが、後世の歴史家がなんというかな?)

「なにをってなにが?」

(歴史は勝者が作る)

「よく聞く言葉だな」

(貴様のはやり過ぎて水増しされた勝者が作った歴史に受け取られるだろうなということだ)

「ああ、そういうことか」

(大抵は史書に載せるとき水増しするのだが、貴様のは水増ししたら神話レベルになりかねん)

 それはそれで楽しそうだ。

「閣下」

 斜め後ろから呼びかけられた。

 第一小隊隊長、ニキだ。

「どうした」

「追撃、用意が整っているであります」

「追撃か」

 目の前の敵兵を見た。

 総崩れで敗走してる。

 今追撃したらイチコロだろう。

「そうだな。損害は?」

「各隊、魔法の玉の使用率が五割越えてるであります」

「五割。全部か」

「そうであります」

 一瞬たじろいだあと、ニキが答えた。

 前に自分達だけ損害を出しすぎておれに怒られたのを思い出したんだろう。

 にしても全部五割か。

 追撃はやめにするか?

 そう、おれが考えていた時。

「閣下!」

 ニキが声を上げた。目を見開かせて前方を見つめる。

 視線を追っていく――血の風が踊っていた。

 逃げていく敵兵の更に向こうから何かが来る。

 兵を斬り殺しながら向かってくる。

「少し下がってろ……邪魔になる」

「はっ」

 ニキは言われた通り下がった。

 背後の気配から、奴隷兵が距離を取ったのがわかる。

 そして、そいつが見えた。

 力尽くで作った鮮血の花道を悠々と進んでくるのは痩せこけた一人の男。

 いかにも病弱、さもなくばなにか呪いにかかってる線の細い男。

 獲物は魔法剣の類か? 刀身が細くて、光って波打ってる。

 それを振って、逃げ遅れた敵兵を縦に真っ二つにした。

「まーたっく。役に立たない弱卒どもねえ」

 男はオカマだかおねえ口調だかで言って、悠々とこっちに向かってきた。

「あんたが魔剣使いかしら?」

「お前は」

「万戸将軍タナシ・アリアドネ。よろしくねえ」

「万戸?」

「一万人の部下を持つ事を許された地位って意味。すごいのよお、我が国じゃ二人しかいないんだから」

(重鎮って訳か)

 エレノアの言葉に小さく頷く。

「その万戸将軍がなんで自分の兵を斬った」

「だあって、こんな弱卒いらないじゃない。敵を前にして逃げ出すようなのは。兵は兵らしくぶつかっていかなきゃダメ」

「……」

「敵前逃亡だから、あたしが処刑したってわけ。理にかなってるでしょう?」

「……さあな」

 よくわからん。

 言いたい事はよくわからんが、腹には立った。

「その点、あなたはいいわ。あなたの兵もいいわあ。ねえ、その子たち、あたしに頂戴よお」

 背後の奴隷兵達が動揺する気配を感じた。

「断る。こいつらはおれのものだ」

「じゃああなたを倒してその子達をもらうわ」

 魔法剣を構えるタナシ。つかつかと向かってくる。

 おれはエレノアとひかりを構えて応戦しようとした――。

「じゃまよ」

 タナシの前、比較的軽傷だった一人の兵がもがいて起きて、槍を構えようとした。

 それをタナシは斬った。真っ二つにした。

「……」

「いくわよお」

 甲高い声をあげて飛びかかってきた。

 その身のこなし、ただ者じゃない。

 敵兵を斬って巻き起こした血の風といい、今までおれが戦ってきた相手で一番強いかもしれない。

(ナナ嬢と同等か、へたするとそれ以上だな)

 エレノアが冷静に分析した。

 大体それくらいだな。

 が、人格はお呼びもつかないくらい下劣だった。

「ニキ」

「はっ、閣下」

 呼ばれてニキは一歩進み出た。

「力を借りる」

「何なりと」

「ニキに速度を貸し出し」

『ニキ・セフェリスに速度を貸し出します。残り29秒』

「コピープラス発動、ニキの速度をコピー」

『ニキ・セフェリスから速度をコピーします』

 くじ引きの商品、能力貸し出しとコピープラスのコンボ。

 通った瞬間、全身に力がみなぎるのを感じた。

 黒衣(漆黒オーラ)を纏い、二振りの魔剣を振るう。

 ザザザザ。

 斬撃四連。

 突進してきたタナシの両腕両足を切りおとした。

「あらあ?」

 自分に起きたことがまだわかってなくて、気の抜けた声とともに後ろにすっ飛んでいく。

 ドサッ!

 肉の塊が地面に落ちる音が聞こえる。

「な、なんなのこれええ、なによおおおお」

 絶叫が聞こえた、タナシの甲高い――聞くに堪えない絶叫が。

(耐えないのならトドメをさせば?)

「やだ」

 拒絶する。

 ちらっと背後を一瞥する。

「ニキ」

「はっ」

「そいつが死ぬまでしっかり守っとけ」

「了解しました!」

 敬礼するニキ。奴隷兵二百人が転がってるタナシを取り囲む。

 おれの命令を正しく(、、、)理解したニキは、わめくタナシが絶命するのをしっかり見届けたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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