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“Kiss to Freedom”  ~世界で最後の聖夜に、自由への口付けを~  作者: 夏空海美
Chapter3:Kiss to you , because Kiss to me.
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第68話:『遍満の讃美』と『久遠の感恩』

 現にこの街にいる瑞葉くんの信徒たちは、舞人が信服をするべき過去を歩んでいるのか不透明になり始めたのにも関わらず、付き従ってくれているのです。


 しかしそれは、《舞人に守ってもらえれば自分たちは安全》という打算ではなく、彼らがみてきた舞人が、自分の全てを預けてもいいと思える行動をしてきたからこそ、舞人を信じ、過去の舞人まで理解しようとしてくれているのでしょう。


 そしてそれは異端者たちだって同じでした。


 いかなることがあっても彼らが、「舞人さん舞人さん!」と親しみを抱いているのはもちろん、奈季くんの《離反行為》から動揺や不安を抱いていた彼らも――、


「別にそれは心配ないよ。みんながみんなである限り、絶対に奈季は味方でいてくれるからさ。――だからみんなだけは、奈季のことを信じ続けてあげてくれ」


 という舞人の言葉で平静を取り戻して、ジェンガをしていたのですから。


 彼らにとって舞人の言葉は、神から授けられたものに等しいのでしょう。

 

 もちろん桜雪ちゃんだって、こんな青年を兄に持つことが誇らしくないといえばうそになりましたし、敬意を払ってないといえばもっとうそになりました。

 

 でも桜雪ちゃんは年頃の少女だからこそ、素直な面が影に眠ってしまうのです。


 異端者たちは気のいい少年少女の集団なので、子供たちのいい遊び相手でした。


 あの大きな袋の中に入れてきていた、ジェンガやトランプやボードゲームや野球盤やラジコンなどで、遊んであげていたのです。奈季くんと違い、子供たちが相手でもイカサマするような屑とは違うので、みんな楽しそうに遊んでいました。


 ロザリアは謎の特技のトランプタワーで、子供たちはもちろん、お姉ちゃんのように敬愛してくれているアレシアちゃんにも賞賛されていました。気分を良くしたロザリアがいかにも魔王様らしい高笑いをする中で、幼女シェルファちゃんはトランプタワーへと息を吹きかけ、ご主人様の努力を台無しにしてしまいます。


 それでもってこんな異端者たちの中では、奈季くんを信じる旧派の異端者たちと、奈季くんを反逆者と見なす新派の異端者たちで対立があるのは伺っていましたが、彼らにまで「偽舞人」が目撃されていたのは予想外でした。やはり4日ほど前に彼らの前に現われ、負なる者に襲われた異端者たちを救っていたようです。


「でもあの時は、本当にありがとうございました、舞人さん! ――俺たちは舞人さんの男気に、涙を流すぐらい感動しました! マジでかっこよかったです!」


「……えっ。うん。それはありがとう……」


 と珍しく本心から照れていましたので、さすがの桜雪ちゃんも、それは少なくともここにいるお兄様の手柄ではないでしょうとは、野暮に突っ込めませんでした。


 また飲食店の子供たちは、「――絶対にクリスマスにも来てよね?」とお願いをしてくれましたが、果たしてそれは可能なんでしょうか? この世界に新しいクリスマスが来ないという可能性さえも、現状では十分に考えられてしまうのに。

 

 されどこんな状況でも舞人と惟花さんだけは、この世界を守ろうとしています。

 

 だから桜雪ちゃんも2人の願いのために、自分の清純なる命を捧げるのです。


 舞人と惟花さんは桜雪ちゃんにとって、存在を救ってくれた救世主ですから。


 ……でも美夢は、あの《お化け青年》をみた時に少しだけ表情をおかしくしていましたが、いったいどういうことなんでしょうねぇ……。……本人はばれてないと思っているのかもしれませんが、隣にいたわたくしにはバレバレでしたし……。


 桜雪ちゃん本人としては認めたくないのかもしれませんが、常に美夢ちゃんと一緒にいることで、惟花さんと同じくらいに美夢ちゃんマニアになっていました。


 美夢ちゃんの表情の変化だって、誰よりも聡く悟ることができます。


 でもそんな桜雪ちゃんだからこそ、《何か美夢ちゃんは触れられたくない事実があるから、あんなに微々と表情を変化させたんだろうな》とは、推測できました。


 だから桜雪ちゃんも、そこまで深く突っ込もうとは思いません。


 今は美夢ちゃんの心中を考慮してあげてもいいでしょう。


 明らかに怪しいと思ったら、その時は深く突っ込めばいいだけです。


 どこかのお兄様と違い桜雪ちゃんは空気が読めるので、惟花さんと美夢ちゃんが姉妹だけで話したいこともあるだろうと思って、一端執務室から離れました。


 でも桜雪ちゃんが執務室を離れたところで、そこまで問題はないはずです。旭法神域に所属する信徒たちは扉の前だけではなく、王の間の4階付近全体を警備してくれていますし、目にみえない所にも数多くの護衛者を配置させていますから。


 それにどこかのお兄様だって、惟花さんと美夢ちゃんには最高の守護者です。


 2人に危機が迫ってもお湯遊びをしているほど、のん気ではないでしょう。


 だから自分がそこにいるのは、まず無粋だったのです。


 舞人の白い糸のおかげで、惟花さんと美夢ちゃんも意思疎通できますし。

 

 でもこうして2人に気を使ったのは確かですが、自然と心臓の鼓動が早くなるような「嫌な予感」を桜雪ちゃんが感じてしまっていたのも、また事実なのでした。

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