第174話:『献奏の運命』と『聖夜の夜曲』
自分なんてこの世界の誰にも愛されないんだと想っていた舞人に"舞人が知るべきだった真実"と"本当の愛"を教えてくれ、舞人のことを救ってくれた少女。
大切なものはもしかしたら舞人が誰よりも知っていたのかもしれないのに。
どうしてそれはいつも舞人の胸から零れ落ちてしまっていたのでしょう。
「ずっと君のことも待たせちゃったのかな。白き血に眠るとても可憐なお姫様?」
舞人にとっては少女との運命の全てである"白い十字架と雪の結晶のネックレス"を握りながら不思議な女性の右手を握ると、彼女は優しく笑ってくれました。
「やっぱり舞人くんならもうわたしの正体にも気付いてくれているのかな?」
「どちらかといえばただ思い出せただけかもしれないけどね」
もしも人は自分らしく生きることによって本当に大切なものを手に入れられるというのなら、これから先に舞人にはいったいどんな未来が待つというのでしょう。
でも舞人は信じてみたいと思ってしまったのです。
もしも2人の愛が真実なら永遠の愛という幻想も証明できるのかもしれないと。
「もう全てを終わりにしようか。ぼくもやっと全ての記憶を取り戻せたからさ」