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第160話:『世界の黙契』と『彩雲の楽園』
もしかしたらこの世界には楽園なんてないのかもしれません。人々がどこに逃げようと悲しみや苦しみから逃れられることはないのです。悲しみの黒き影に包まれた光りの都はそんな人々の予感を確信へと変えようとしているようでした。
でも灰色の人々は笑っていました。
彼らはもう思い出していたから。世界を支配し続けていたたった1つの矛盾を。
この聖夜の果てには物語の終わりがあるのなら、“どうして人は運命を授けられていたのか”の真実を明かす時ももう間もなくに迫っていたのかもしれません。




