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第157話:『雲城の蠱惑』と『遍照の玉座』
「いつか王様になることが夢だったんだろ。そうすればずっと探し続けていた物もみつかりそうで。――でも王様になった今ならみつかりそうか。その探し物も」
「やっぱり奈季は奈季なのね。もう私のことにも気付いているなんて」
天空の城には金髪の青年と少女でした。玉座に座る少女は左斜め前にみえる柱へと背中を預けながら月光に輝くシャンデリアを仰ぐ青年にくすりっとします。
「ねぇ奈季。せっかくなら私たちもこの夢の終わりに少しお話しをしましょうか」