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第155話 『鬼哭の災禍』と『意味の遡源』
世界の全てから見捨てられたような灰色の人々が数千人ほど生き残っている光りの都の中心区域へと“数千万の黒き幻影”が国中から集い始めているその様は、悲劇の渦のような運命に囚われている人々へと終焉の始まりを告げているようでした。
生や死はもちろん過去や現在の境界線まで乱れ始めたこの世界に最後まで残された人々は自らの利き腕にどんな想いを込めればいいのでしょう。彼らを導き続けた運命はやはり悲しみへと続く道だったのでしょうか。彼らを導き続けた運命は喜びへと繋ぐ道ではなかったのでしょうか。彼らにとっての運命の意味はどこにあったのでしょう。彼らにとっての運命は誰のためのものだったのでしょうか。
運命と自由。運命と束縛。
もしもこの聖夜の果てに物語の終わりがあるのなら、“どうして人は運命を授けられたのか”の真実が明かされる時ももう間もなくに迫っていたのかもしれません。