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“Kiss to Freedom”  ~世界で最後の聖夜に、自由への口付けを~  作者: 夏空海美
Chapter3:Kiss to you , because Kiss to me.
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第138話:『昧爽の白弓』と『夢幻の白弓』

 翌日でした。12月22日です。聖夜まで残り3日でした。午前9時です。

 

 舞人は嬉しかったのかもしれません。

 

 目の前に母親の鼓動があるような気がして。

 

 舞人は恐かったのかもしれません。

 

 目の前にある弓に触れたら何か取り返しのつかない事が起きるような気がして。


『……やっぱり舞人くんはわたしのことが嫌いかな?』


 時間に余裕ができた舞人はみんなに白き弓を調べてみる旨を告げると“自らの魔法書”が眠る書斎に1人で閉じ篭っていたのですが、そんな時に声が届きました。


 白き弓のことを考えていた中での女性の言葉です。


 それは舞人もまさかと思ってしまいました。


 でも実際は――、


「……嫌いだよ惟花さんのことは。だって惟花さんはおばさんなんだもん……」


 いつの間にか惟花さんが左隣にいただけなので舞人はとてもがっかりしました。


『手にとってみないの舞人くん?』


「……なんか申し訳なくてさ。ぼく貧乏性だし……」


『でもお母さんの声が聞こえたんでしょ?』


 お姫様のように優しい惟花さんの言葉はある意味で真理なのかもしれません。


 確かにこの白き弓からは自分の母親の声が聞こえました。


 たぶん母親も自分と会いたがっています。


 それは舞人だって同じでしょう。


 でも舞人は恐れてしまっていたのです。


 瑞葉くんや奈季くんのこともあり、自分の環境に変化が生じてしまうことを。


 母に触れたい思いと、今の状況のままで世界を救いたい思い。


 それは舞人にとっても五分五分でした。

 

 決して母への愛が少ないわけではありません。


 変化への恐怖が大き過ぎるのです。


 でもそんな中で――、


「お兄様と惟花様。奏大くんやレイシアさんがお2人をお呼びになっていますよ」


 今度はちゃんと扉を叩いて入ってきてくれた桜雪ちゃんの声が届いてきました。

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