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信号待ちでドンッ!と脳

作者: BJ

恋人同士の男と女が信号待ちをしていた

目の前のこの横断歩道は道幅の広い幹線道路にまたがっているので横断歩道自体の幅もかなり広い

距離で言えば長さ60メートル幅40メートルはあると思う

こちら側で信号待ちしてる人おおよそ7・80人ほどだろうか・・

あちら側で信号待ちしてる人もおおかたこちら側と同じく7・80人くらいだろう


何気なく肩越しに男が女に話しかけた


「ねぇ君、君は今何を考えている?その脳で?」

「えっ?」

「君のその脳味噌で君は今何を考え何を想ってるんだい?」

「えっ?・・脳みそ?・・えっ?・・何それ?どういうこと?・・えっ?」

「君のその脳味噌で君は今何を考え何を想ってるんだいって言ってるんだよ?」

「ぇえっ!?・・・・・そ、そうねぇ・・しいていえばアナタのことかしらねぇウフフッ・・」

「ホントかな?見てみたいものだね一度君のその脳味噌が想ってること考えていることを君の【脳味噌出力端子】に【ライフ・メモリー・伝導プラグ】をを突っ込み【ビジュアル電脳映像大画面の入力端子】に差し込んでホントに君が言うように僕がその大画面に映っているのか見てみたいものだ確かめてみたいものだよフフッ・・」

「勿論ですともこの私の脳味噌が取り出せるものならばあなたのその目でしかと見てもらい確かめて欲しいものだわ」

「本当かい?」

「ぇ〜え、本当ですとも」

「こっちと向側で信号待ちしている人達約150人ほどの人をざっと見渡してごらんよ、この沢山の人々の一個一個の脳味噌も一体何を考え何を想ってるんだろうかねぇ・・一人一人が様々な過去の記憶の映像を持ちそれぞれが必ず何かを考え何かを思ってるんだよなぁ・・脳みその数だけ様々な人生があるんだよなぁ、あの人達の脳味噌も一つ一つ取り出してさ、さっき君に言ってたように大画面に一人一人の考え、想い、記憶、イマジネーションを映し出して見たいものだねフフッ・・」

「そうね・・そんなことが出来たらホントに私の想いもアナタに見せてあげたいわ。そしてみんなのも見てみたいものだわ、本当にそんなことが出来たら面白いのにねハハハハッ・・」

「本当にそう思うかい?・・・」

「アハハハハッ・・思う思う思うアハハハハハハッ・・」

「本当に本当なんだね?・・・」

「ホントホントッ・・・・ねぇ、何さっきから私の顔じぃ〜っと食い入るように見入ってるの?・・さ、青に変わったよ、早く渡ろ渡ろ!」

「京子、こっち側で待ってる人達と前から来る人達を見ててごらん」

「えっ?どういうこと?・・」


“ドンッ!!”

と男は思いきり地面を踏んだ・・

と同時に・・


シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!シュポンッ!


ドサッ・・ドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサッ・・


こちら側からむこうへ渡ろうとしていた人々、向側からこっちに向かって歩いてくる大勢の人々の脳天から勢いよく一斉に脳味噌が飛び出し全員その場に倒れ込んだしまった


そういった事態でその横断歩道から大渋滞が始まった


飛び出した150あまりの脳味噌達はやがて自ずからモゾモゾモゾモゾと動き出し一列になると街の巨大スクリーンを設置した商業ビルへと這いながら向かっていった


その脳味噌達は一斉にビルを這い上がり次々へと巨大スクリーンの中へと浸透してゆくのだった・・

そのたびに150人分の一人一人の考え、想い、記憶の情景、イマジネーション、意識、人生の数々の場面が次々へとまるでカオスなブラウン運動のように巨大スクリーンに映し出されてゆくのだった


京子は腰を抜かしその場にへたり込み震えながら驚愕の中、ただ唖然とその巨大スクリーンを見つめているだけだった


男はタバコの煙を深く吸い込みゆっくりと吐きながら京子の目を見つめる

京子はへたり込んだまま涙目で首を横に振り嘆願するように男の目を見つめた

男も首を横に振りながら吸ってるタバコを地面に捨てそれを足で悲しげにもみ消すと空しげに

“ドンッ!!”

と再び地面を踏んだ


シュポンッ!・・・ドサッ・・・・・・・・


京子の脳天からも脳味噌が飛び出し京子はその場に倒れ込んだ


京子のその脳味噌も巨大スクリーンを目指し這って行きやがてその中へと浸透していった


巨大スクリーンにやがて映し出されたのは男が見たこともない黒人男性と京子との濃厚で壮絶なSEXシーンだった・・


                    〓END〓

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― 新着の感想 ―
[一言] コメディというより、ホラーですね。 飛び出すシーンは怖かったです。
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