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フィナーレ

作者: clown


 死後の世界。それはいったいどういうものなのか。


 死んだ後なんて空想の世界。


 そう思ってたんだ。


 実際、目の前にしてみるとそれはとてつもなく恐ろしく感じる。


 恐いんだ。


 死ぬのは恐くないという人もいる。


 でも、俺は違う。


 正確に言うと、違ったかな。


 

 数日前、俺は足がなくなった。


 バイク事故だった。


 病院のベッドで寝かされてた。


 だけど、足以外に外傷はなかったらしく、傷は見当たらなかった。


 足がなくても、ひざで動ける。


 それに何でか知らないが、超能力が身についた。


 念力で物が動かせるんだ。


 念力は便利だ。


 あと、ちょっとで届くのにって物をちょちょいと持ってこれる。


 俺はもともと、友達が少なかったし、家族もいないから、誰も心配してくれなかった。


 見舞いに誰もきやしない。 


 俺は、全然元気だったから、医者に「帰ってもいいか?」って聞いた。


 そしたら、医者はうなずいた。


 だから、家に帰ってきた。


 テレビをつけると、オカルト番組がやっていた。


 死んだ後の世界について、っていう特集らしい。


 俺が、幼稚園のころ、地獄について聞かされたことがある。


 それ以来、死ぬのが恐くてたまらない。


 悪いことばっかしてるからだ。


 毎日、仏様に「天国にいけますように」って祈ってるけど、恐くてしょうがないんだ。


 でも、その番組では、そんなものないって思ってる人がたくさん出てきた。


 死んだ後の世界は何もないって人も出てきた。


 何もないってどういうことなんだろう。


 何もないって言っても、いろいろあるじゃないか。


 真っ白な世界とか、真っ黒な世界とか。


 大体、何もないってどういう状態なんだ。


 そんな疑問にたいして、自問自答してるうちに夜になった。


 不思議と腹は減らない。


 だから、その日はその場で寝た。


 

 次の日


 おかしい。


 毎朝来る新聞が来ない。


 なぜだ。


 新聞会社に電話をしてみる。


 つながった。


 しかし、きられた。


 なんなんだ、この新聞会社は!


 もう、新聞を取るのはやめた。



 次の日


 大家さんが、誰かを連れてきた。


 女の人だった。


 結構、可愛い人だった。


 それにしても、なんのようだろう。


 「大家さん。なんかあったの?」


 しかし、大家さんには聞こえてないみたいだった。


 そうやって話しかけていたら、女の人が大家さんに質問した。


 「どうして、この部屋、そんなに安いんですか?」


 「実はね、前に借りてた人が死んでしまってね。」


 え?俺は死んでないよ!


 ここにいるよ!


 気づいて!


 誰か気づいてよ!



 しかし、誰も気づいてくれなかった。


 そして、分かった。


 俺が死んだことが。


 そして、思った。


 これが何もないって言う状態なのかなって。

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