誘拐
中年女はチャンスをうかがった。毎日一緒に居る為に誘拐しお金の出所を吐かせて一儲けしようと考えたからだ。アリスは目が見えないから簡単に拐える。問題は若僧だった。いつもの様に散歩している後から隠れて見ている。なかなか離れない二人にいらだった。その時青年がカフェの外の席に少女を座らせ店の奥へ入って行った。
「チャンスだ。」
言うか言わない間に少女の腕を掴み口をふさぎながら無理矢理引っ張り駆け足で建物の影まで走って行った。アリスは何があったかもわからず呆気にとられた。しかし中年女の声が聞こえた時恐怖に襲われた。
「何もしやしないよ。久しぶりにあったのにその怯えようはなんだい。世話になった恩を忘れたかい。」笑いながらそう言うと若衆に少女を連れて行かせた。中年女は壁先から青年が出てくるのをジッと見ていた。何も知らない青年はゆっくりと奥から出てくると少女が居ない事に直ぐ気がついた。トイレかと思い店の人間に聞くと誰もわからなかった。狐につままれたと思いながらも必死に少女を探した。いつもの散歩の道、教会全ての知ってる場所を駆け歩きながら少女を呼び続けた。もしやと思い家にも帰ってみたがやはり居なかった。その時管理人の叔母さんが部屋に入ってきた。
「あんたに手紙だよ。なんか人相が悪いのが持ってきたけどなんかあったかい?」「アリスが居ないんだ。」
焦りながら言った。
「どっかではぐれただけじゃないのかい?」
と言い終わる前に青年は唸った。