聖歌団と少女
それから毎日のように教会に通った。
始めはミサにでてアリスが気が済むまで歌を聞いた。
神父の説教まで聞かなくてはならない事にミィッシェルはユウツだった。
しかしそれは直ぐに解決した。少女はあっと言う間に全ての讃美歌を覚えてしまったからだ。そして少女は今度は教会の脇の公園で歌い始めた。讃美歌に合わせて。そしてその歌声は誰より美しかった。ミィッシェルは満足だった。かわいい妹が出来、まるで自分の為に歌ってくれているようだった。まるで神様に捧げるように。ある日教会の神父が少女に目をとめた。「お上手ですね。良かったら聖歌団員の募集審査があるんですよ。良かったら受けて見ませんか?」
いきなりの言葉だった。しかしその声に少女にも遠くを見ているような雰囲気に神父は目が見えない事に気づいたのだった。ミィッシェルは何も言わず神父に目配せをした。その目はとても怖かった。余計な事を言うなとばかりに首を横に振った。神父は軽くうなずき足早に去って行った。
「ミィッシェル?神父さんはどこに行ったの?」
「あぁ。今向こうで手を振ったから用事じゃないか?」
「私の歌を誉めてくれたね。審査はいつなんだろう?受かるかな?」
「あぁ。アリスなら絶対受かるさ。審査の日を聞いて応募しとくよ。」
ミィッシェルは苦い顔した。目が見えないアリスには譜面も指揮もわかるはずも無く受かるはずが無いのだ。その時から青年は聖歌団の話を避けた。いつ言われるかと心の中で言い訳を考えるしかなかった。一週間が過ぎた頃アリスが尋ねた。
「ミィッシェル。審査の事聞いてくれた?」
「聞いたよ。今人数が集まらないから延びてる見たいだよ。日にちが決まったら教えてくれるてさ。」
ミィッシェルはずっと考えていた。言い訳を本当のように話した。とりあえず時間稼ぎをするしか方法がなかった。少女の唯一の希望を奪う事をミィッシェルにはできなかった。青年は無力を嘘をついた事を悔やんだ。




