ふれあい
少女は震えていた。助けてはもらったがどんな人かはわからない。今までの事を思い出すとまた虐待をされるかと小さな胸が張り裂ける思いがした。雰囲気を感じた青年はきりだした。
「怖がらなくていいんだよ。私は何もしやしない。これからは同居人になるんだから。お嬢ちゃん名前は?」
「ア、アリス」
震えた小さな声が聞こえた。
「私はミィッシェル。よろしく頼むよ。」二人は少しづつながら話続けた。アリスもだいぶ慣れてきて話の合間に少しではあるが微笑んだ。ミィッシェルも少女の素直さに段々と言葉が多くなってきた。久しぶりの楽しいひと時に十二時を越えた時アリスは寝てしまった。ミィッシェルはそっと抱き寄せベットへと運んだ。その夜アリスは夢を見た。大きな鳥に抱かれて寝る夢を。その羽は暖かく優しさに包まれ雲の上に居るようだった。次の日から二人はいつも一緒だった。公園やカフェを回りまるで本当の兄妹のようだった。兄は妹のため手を引き妹は兄のために歌を歌った。素直なアリスを管理人も可愛がった。時間があれば一緒に夕飯を食べミィッシェルが出かける時には面倒を見てあげた。アリスの前では管理人も楽であった。照れ屋で憎まれ口しか言えないが一緒だとつい笑顔になってしまう。しかし、見られる事が無い為におもいっきり笑う事が出来た。いつしかそんな事も気にせず大笑していた。ミィッシェルも変わって言った。もとより優しかったが何処となくあった陰は無くなり暖かさを増していった。