別れ
少女の顔に赤みがさしてきた。傷ついたアザは段々薄れてきた。少女だけが光って見える。ミィッシェルが覗き込むと微かに呼吸を始めた。
「アリス。アリス大丈夫か?」
青年が大声で呼ぶと少女は今まで寝ていたのを起こされたように気がついた。
「ミィッシェル。ありがとう。助けてくれたのね。」
少女は喜びながら抱きついた。
「とって怖かったけどきっと助けてくれると信じてた。」
ミィッシェルはまだ涙が止まらかった。
「ミィッシェル。大変、私目が見えるわ。ミィッシェルの顔が良く見える。どうして?部屋もお花も見える。目が治ったのね。」
少女ははしゃぎ回った。青年は父に感謝した
「ミィッシェル。また目がおかしいわ。」
「どうしたんだい。アリス」
青年は焦った。
「だってミィッシェルが霞んで見えるもん。」
青年は別れを悟った。
「アリス。良く聞きなさい。僕はもう行かなきゃいけない。お別れの時だ。」
「なんで?どうしてなの?」
少女の喜びはすぐ悲しみと変わった。青年の汚れていた体が少しづつ綺麗になって行く。ミィッシェルの体が光始めた。隠した羽も大きく開きオーラのように見える。
「ミィッシェル。やっぱり貴方は天使だったのね。初めてあった時私はあったかな羽を感じたわ。私を助けてくれた時から貴方は私の天使様だったの。」
泣きながら言った。
「アリス。泣かないで。私は行きなきゃならない。でもいつでもアリスの側にいるよ。」そう言うと青年は消えた。あっけない別れだった。少女は泣き続けた。
ある日の教会。
そこには聖歌団で歌うアリスの姿があった。誰よりも透き通る声と笑顔があった。
アリスは寂しくなかった。大聖堂の天上には神に使える天使の絵があった。ミィッシェルそっくりの。それに向かって歌い続けた。