死
夜まで不安な時間を過ごした。
怒りを抑えアリスを救う事だけを考える事に努力するが難しかった。
約束の時間がやけに長く感じる。
頭を抱え床を見つめながらアリスとの楽しい時を思い出した。青年はあの子と一緒に居て明るくなる事が出来た。人々は少女を救ったように思っているが救われたのは青年であった。美しい歌声と楽しい食卓、過去を忘れ去る事が出来た。あの笑顔を守らないといけない。それが自分の使命なのだ。そう思った。約束の時間には少し早かったが青年は家を出た。いつも散歩をする道が今日はヤケに遠く辛く感じる。人通りはなかったがいくつかの店の明かりが薄暗く街を照らしている。教会の十字架が建物の影から覗いている。青年は急いだ。早く出たつもりだったのに時間ぎりぎりに着いた。一歩一歩表階段を上がって行く。頂上に辿り着くと縛られたアリスが見えた。
「おっとそれ以上近づくんじゃないよ。さあ早々とクジの秘密をいっちゃいな。そうしたら無事に返してやるよ。」
「クジには秘密はない。言っても無駄だ。この金をくれてやる。アリスを返せ。」
「そうはいかないよ。どんなズルをしているんだい?私ゃ一生楽して暮らすんだい。独り締めしないで教えな。」
中年女は怒鳴った。興奮して咳こんだ時、青年は少女を助けようと飛び付いた。怯んだ中年女は慌てて掴んでいたロープを離してしまった。力が抜け張られていたロープが緩んだ時少女は金を響かせる塔から下の大聖堂へと落ちた。青年は助ける為とっさに飛び降りた。興奮して咳こんだ瞬間青年は少女を助けようと飛び付いた。怯んだ中年女は慌てて掴んでいたロープを離してしまった。力が抜け張られていたロープが緩んだ時少女は金を響かせる塔から下の大聖堂へと落ちた。青年は助ける為とっさに飛び降りた。その時だった。青年の背中には真っ白な羽がでて、まるで鳥が急降下するように少女を追った。しかしあまりにも短すぎる距離に青年は間に合わなかった。鈍い音をたて少女は大理石に叩きつけられた。「アリス。」
大声をあげながら舞うように着地した青年は少女を抱きかかえた。
「ミィッシェル。助けに来てくれたんだね。でも私はもう駄目見たい。今まで楽しかった。ありがとう。せめて一度だけでもミィッシェルの顔が見たかった。そしてここで歌いたかった。サヨウナラ。」
少女は虫の息で話した。青年の目からは大粒の涙が溢れ少女の名を何度も呼び続けた。少女の体の力が抜けた。




