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新しい始まり
青年は街の一番高い所に行き見下ろした。そこには騒がしい音と動く小さなものが交差し熱気を放っていた。青年は深く風を吸い込み深呼吸するとそこに歩き始めた。目には希望と顔には悲しみを抱えよれたコートをなびかせながら。
少し歩くと道を塞ぎながら建物が見えてくる。どこからか鼻を揺さぶる臭いが立ち込め小さく動くものの形がはっきりとしてきてざわめきが言葉と変わりつつある。門に立つ着飾った女性が声をかける。
「お兄さんどこへ行くの?」
少しからかっているようでもある。青年は軽く微笑んでその場を通り過ぎる。花屋を通り過ぎ放射状に延びた石畳を一つ一つ踏みしめながら小さなカフェに入った。
「お兄さん何になさいます」
プロフェッショナルのような男性がオーダーをとった。
「コーヒーをダブルで」
少しぶっきら坊に頼むと周りを観察し始めた。