十
ーーー登校後
「懍!おはよぉー!」
ぎゅぅぅっ!
「ゆ、柚木!苦しぃよっ」
そして女子の皆様の視線が痛い。
「冬夜ぁっっ!助けてぇ」
柚木を止めてくださいぃぃ!
「柚木、懍が可哀想。離れろ。」
魔王の顔をした神様がいる!
「はぁーい・・・」
柚木は拗ねても可愛いよっ
私にも分けて欲しいなー・・・
(懍も十分可愛いよっ!by作者)
「ありがとっ♪冬夜」
にこっと笑ってお礼を言ってから
用意された席に座る。
当たり前の様に、私の周りは來達。
担任まで奏になってるし・・・
「なんで奏さん着いてきてんだよ!」
ほーら、來も吃驚してるよー
「おぃ、來!俺の授業で喋るとは
いい度胸してるなぁ!」
ありゃー・・・
來達には怒るんだー・・・・・
仕方ない、助けてあげよう。
「奏、私が來に喋りかけたの。
ごめんなさい?」
奏が少し困った顔をしてから、
「そうですか、喋ったら駄目です」
私だけへの喋り方で話す。
「はい。気をつけます」
授業が再開された。
「はぁー・・・・
懍、ありがと。奏さんってほんと、
懍には甘いよなぁー」
そんな事ないと思うけどなぁ・・・
奏はみんなに優しいでしょ・・?
「どういたしましてっ♪」
キーンコーンカーン・・・・
バンッッ!
乱暴に教室の扉が開いた。
來、柚木、優弥、冬夜と
話していた私は気に止めなかった。
「懍!懍はいるか!」
名前を呼ばれて振り向くと、
そこには・・・海龍。楝達がいた。
「なんで・・・・来るの・・・・」
呟いて、來達の方を見ると
柚木が握ってる私の手に力をこめる。
「懍・・・!なんでここに居る?
なんで桜花の奴らと居るんだよ...?」
悲しみと怒りのこもった瞳で
私達を見ている楝達。
ごめんなさい....みんな.......
「來、柚木、優弥、冬夜来て。
楝達と話そう?
あの人達には言うしかないみたい」
みんな困った顔をしたけど、
ついてきてくれた。
「楝、行こう。少し話そうか」
私の手を握ったままの柚木を引っ張って
歩く。
その後を來達と楝達が続く。
周りからみればおかしな光景だろう。
敵同士である桜花と海龍が
並んで廊下を歩いてるんだから。
裏庭に連れて行って人が居ないのを
確認して、座った。
「ごめんね、クラス替えたりして。
でも、奏が担任じゃなければ怖くないでしょ?
心配・・・・してたらごめんね。」
できるだけ、話をそらしたくて。
こんな事を話すのが嫌で。
「懍!なんで・・・?
話をそらすなよ!聞かせてくれよ...」
弱々しい声で話す楝に心が痛む。
千津、朱鳥、楷、祥の軽蔑するような
視線がここまで効くとはね・・・
一緒に居たのは1週間くらいなのに...
泣きそうになるよ・・・・・
「ごめんなさい・・・。
貴方達を傷付けるつもりはなかった...
私はもう貴方達とは居られないの。
この人達が1番大切だから・・・・」
駄目・・・泣いちゃだめ・・・・
楝達にこんな瞳にさせてるのは私。
私がもっと突き放せばよかったんだ...
「懍・・・・・」
手を握ってるから柚木には分かっちゃうね
私が震えている事が・・・・・
「懍・・お前は・・・桜花の何だ?」