理由say群
コンビニは昼の内に行っておく。
夜にあんなルクスの高い場所に行くと、
暗順応に時間がかかるからだ。
虚数の書かれた看板の店で、
おでんとカップ酒を買う。
おでんは、レジの所でなく、
袋入りのものを買う。
安いのはもちろんのこと、
出汁がたくさん入っているからだ。
カップ酒は一番安いので十分なのだが、
最近は値札の貼ってない場合が多い。
確か一番安かったはずという理由と、
星を見に行くのだからと理由で、
月桂冠を二つ買う。
よくよく考えれば、
星を見るのに、月はいらないなと思う。
中秋の名月が確か、月末だったから、
今日は下弦の月に近いはず。
月の入りは真夜中だから、
星を見ていられるのは、
二十時から日付が変わるまでくらいか。
仕事が早く終われば良いが。
十九時四十七分着の電車で、駅に着き。
駅まで徒歩十分の自宅まで、
十五分以上かけての帰宅。
駅から家までは、
徒歩十分の距離ながら、
実際はほとんどが上り坂のため、
五分以上、余計にかかってしまう。
家に着く。二十時少し過ぎ。
ただいまと言っても、
何も返ってこない。
真っ暗の家の中を、キッチンまで行き、
冷蔵庫を開ける、少し眩しい。
買い置きの発泡酒を開け、流し込む。
上手い、
仕事で疲れていたからだろうか。
冷蔵庫の中の本数を確認する。
次からは何を買うか悩む。
ビールの酒税が安くなって、
発泡酒が高くなった理由に、
私はまだ、納得がいってない。
キッチンの豆電球を点け、
冷蔵庫の扉を閉める。
薄暗い中、
もう一度、発泡酒を飲み、
準備に取り掛かる。
鍋に袋入りのおでんを敷くように入れ、
水を入れ、コンロにかける、
タイマーは六分。
電子レンジがあるのにも関わらず、
対象物以外に水と鍋を温める必要があり、
どう考えてもエネルギー効率の悪い、
湯煎を選ぶのは、
なんか美味しい気がするという、
くだらない理由である。
おでんの湯煎の間に、
自分も湯洗、
湯船ではなく、シャワーではあるが。
シャワー中は風呂場の電気は点けない。
脳に入る刺激を減らし、
リラックスする。
いつもと違い、ちょっと他所行きの、
ジャージに着替える。
キッチンに戻り、残っている発泡酒を飲む。
鍋からおでんを取り出し、
首にかけていたタオルで、水気を取る。
鍋の中、残ったお湯の中に、
蓋を開けたカップ酒を入れ、
再び火にかける。
おでんは、封を切って、
タイガーの魔法瓶の中に入れる。
象印でなくタイガーを選んだのは、
体積に比べ表面積の小さい象よりも、
虎の毛皮の方が暖かそうだと、
思ったからだ。
発泡酒を飲み終え、
燗のついたカップ酒も、
魔法瓶の中に入れる。
蓋をしっかりと閉め、
準備完了。
おでんと酒の入ったタイガーの魔法瓶。
タイガーのレザーシート、ではなく、
ただのレジャーシートだけを持って、
(わかりにくい駄洒落は、
空きっ腹に入れた発泡酒による、
酔いのためであろうか)
家を出る。
夜にドアの鍵を閉める時、
別に誰もいないのに、
静かに閉めてしまうのは、なぜだろうか。
山の中腹にある自宅から、
天辺の公園を目指し、
坂を登る。
私は秋の夜空が好きだ。
天高く馬肥ゆる秋、
空気中に含まれる水分が少ないため、
シーイングが良いからという理由と、
何もないからだ。
何もないという、言い方は、
少々語弊があるかもしれない。
秋の夜空は、地味、なのだ。
天の川や大三角のない、
ペガススの大四辺形などと言われても、
どこにあるのか分かりにくい。
唯一の一等星、
フォーマルハウトも、
水平線近くで、分かりにくい。
強い言い方をすれば、
見るものがない。
だが、
それがいい。
星々は結ばれることなく、
物語りを秘められることもなく。
ただ、輝いている。
私は何も考えることなく、
ただ、ぼーっとして、
魔法瓶の中が空になったから、
帰らなければいけない。
もうすぐ、
オリオンや、月も出てくる。
けれど、帰りたくない。
明日も仕事があるから。
もー、いきたくないなー、
と一言愚痴ると。
流れ星が流れた。
家に帰って、
理科年表を開く。
そうだ、
あの流れ星は、
おうし座流星群からか、




