絶体絶命
私の投げた石ころが、ちょうど海面から顔を出した半魚人に当たった。
「キシャアアアアー!!」
ものすごい怒りの剣幕。初めて見たモンスターっは、
「怖すぎなんですけど!?!?」
ドッキリじゃないよね!? テレビカメラマンとか隠れてない!? そうであってほしいけど、
「キシャアアアアー!!」
「あのリアルな迫力はマジもんですよねっー!?」
私は走り出していた。逃げるのみ!! 謝っても絶対通じないし、許してくれない!!
「全速前進だぁぁぁぁ!!」
砂浜に足が沈む。
「走りづらい!! もうっ!!」
でも半魚人から逃げなきゃ!! 捕まったら、
「キシャア!!」
「絶対に殺されるやつだよー!?」
後ろを振り返ると、半魚人が砂浜に上がっていた。まじハンパないよ異世界!! いきなり魔物とのエンカウントおかしくない!?
「キシャア! キシャア!!」
半魚人が私をすごい鋭い目で睨みつけ声を上げる。まちやがれ!! とでも言っているのだろうか。
「そんなの待つわけないでしょ!!」
半魚人は雄叫びを上げるものの、追っては来ない。泳ぐのは得意だけど、陸を走るのは苦手なのか。
「それならラッキーだよ!」
陸地の森の方へどんどん走って逃げ切るのみ!! ん?
半魚人が両手を胸元付近に構えた。少し俯き、何やら口元が動いている。
「一体何やって………、いいっ!?」
半魚人の両手が青い光に包まれたかと思うと、大きな氷の塊が現れた。
「なっ!? ま、魔法ってこと!?」
すごっ!? リアルにすご!!
そう思ったのも束の間、
ニヤリ。
半魚人が不気味に笑った。私の全身がゾッとする。嫌な予感がした。
「ま、まさか、あの氷塊をぶつけてくるきじゃ!?」
「キシャア!!」
その通り!! と言わんばかりに、私にめがけて氷塊をすごいスピードで飛ばしてきた。
「じょ、冗談でしょ!? よ、避けらんな、わわっ!?」
後ろ向きで走ってたせいで足がもつれ、砂浜に全身ダイブしてしまった。でも、これがラッキーだった。
「ひっ!?」
氷塊は私の頭上を飛び去り、陸地の森に向かって行き、
ズドン!!
と、大きな木の中心を射抜いた。
「あ、あわわわわっ………!?」
もし私に当たっていたら、お腹があんな風になっていた。
メキ、メキメキメキ!!
「やだ!? 木! こっちに倒れて!?」
ズドン!!
全身に響く大きな振動とともに、大きな木が私の横に倒れた。すれすれ、ほんと間一髪!!
「は、早く逃げなきゃ!! えっ!? あれ!? あ、足と腰が!?」
震えている。止まらない、言うことをきかない。
「わ、わわっ!? ちょっと待ってよ!! 動いて、足!! お、お願い!!」
パニックと恐怖で、どうすることもできない。
「キシャアアアア!」
不気味な高い声にハッとする。
半魚人が、嬉しそうに大きな口を緩めながら、私の方へ近付いてきた。




