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イギリスの凋落

イギリスの凋落


「突撃にー!進めーーー!」


1944年6月。ニューギニアに送られた異能兵達は、ポートモレスビーに夜襲を仕掛け、雪崩れ込んでいった。

日本陸軍は再びオーエンスタンレー山脈を越え、今度はポートモレスビーへの攻撃を完遂できたのだった。


日本陸軍は1944年5月までに、東部ニューギニアのポートモレスビー北東部に位置するブナまで占領していた。

日本軍による夜間空襲の効果は高く、連合国軍の抵抗力は低下していたのである。


支那事変を解決した日本陸軍は、多くの兵を復員させていたものの、ビルマやニューギニア方面へは多くの戦力を送り込んでいた。


ビルマではインド国民軍へ支援を送り、インドの独立運動を後押しし、インド国民軍の進軍を手助けするため航空支援を行っていた。

しかし日本陸軍は直接インド国内に攻め込む事はせず、夜間空襲でイギリス軍を叩き続けるに

とどめるのだった。


東部ニューギニアでは日本軍が優勢に戦い、航空支援の下オーエンスタンレー山脈を越え、拠点を設営するにいたっていた。

浮遊魔法が使える兵が重量物輸送で活躍し、兵站も万全だった。


浮遊魔法は重力魔法ともいえ、重さを軽くしたり重くしたりできた。

浮遊魔法使いの兵は、簡易的なソリに重量物を積載し浮遊魔法を掛け、重量を大幅に軽減し、効果時間内に三式指揮連絡機で懸吊し空輸させたのである。


三式指揮連絡機は短距離離着陸性能が高い機体であり、狭い飛行場でも離着陸ができた。

オーエンスタンレー山脈の近くまで運ばれた物資は、急造された狭い飛行場から三式指揮連絡機によって、ポートモレスビー側の拠点まで運ばれた。


空輸された重量物は非常に軽くなっており、送り先の拠点に低空低速で落下傘投下され、現地の兵士達によって回収されていった。

ソリに積載された重量物は、浮遊魔法が掛かり非常に軽くなっているため、落下傘での落下速度も遅くなっており、積載物は無事に現地へ届くのであった。


もっとも、ぶっつけ本番でこのような事ができるはずもなく、内地において検証・訓練が行われ、安全に懸吊できる方法が割り出されていた。

また、制空権が確保されているからこそ行える芸当でもあった。


この浮遊魔法を使った空輸により、ポートモレスビーの陸路での攻略作戦が可能となったのであった。

しかし、相手は国民党軍とは違うため、航空支援は徹底され、目に付く砲や機銃陣地は念入りに破壊していったのである。


さらに、探知魔法を活かした砲爆撃を加え、敵陣地を丁寧に潰した後、異能兵達は夜襲を行いポートモレスビーを占領したのだった。

日本軍はニューギニア全島を占領し、オーストラリアに圧力を掛けていくのであった。


ポートモレスビーを攻略した日本陸軍は、ウェーク島沖海戦を終えた海軍と協力し、ソロモン諸島の再占領に乗り出した。

オーストラリアをこの戦争から離脱させるには、米豪遮断は必要な事だと日本陸軍も理解しており、支那事変が解決し米海軍が戦力低下している今が好機と捉えていた。


1944年7月。ソロモン諸島に対し、日本海軍による大規模な砲爆撃が行われた。

続いて上陸作戦となったのだが、10ヶ月も耐えていた連合国軍は既に疲労困憊であり、ある程度の抵抗の後、降伏していくのだった。


8月には、ニューカレドニアやフィジーへの攻略作戦も行われ、夜襲によりその抵抗を封じ、攻略を進めていった。

いよいよ追い詰められたオーストラリアに対し、飛行場への夜間爆撃が行われ、沿岸部の都市への砲撃を通告したのだった。


戦艦10隻による艦砲射撃を行うと通告し、沿岸部から40kmは被害を受けるため、オーストラリア市民への避難勧告を行った。

実際それは計画されており、講和に応じなければ実行に移されていた。


1944年9月。オーストラリアは講和に応じ、今大戦の中立を宣言した。

日本はこれを歓迎し、オーストラリア方面から徐々に撤退していくのであった。


日本はガダルカナル島の意趣返しを行え、オーストラリアを戦争から離脱させる事に成功したのだった。

日本陸軍の異能兵は、ニューカレドニアとフィジーの攻略がある程度進展した段階でオーストラリア方面を離れ、今度はセイロン島攻略のために転進させたのだった。


日本海軍はオーストラリアが中立となった事で、その方面に展開していた艦艇をアメリカ方面とインド方面に振り分けた。

アメリカ方面には潜水艦隊を展開させ、インド方面には戦艦部隊が当てられた。


戦艦陸奥や航空戦艦などはトラック島に残り、不測の事態に備えた。

戦艦大和・武蔵・長門は、インド国民軍の支援のためインド方面へ送られる事が決まった。



10月。日本軍はセイロン島の主要部をあらかた攻略し、次いでソコトラ島を攻略した。

マダガスカル島も攻略が始まり、占領後はヴィシーフランスへ返還されていった。


セイロン島には日本軍の航空戦力が展開し、魔法や技能を活かした夜間空襲により、セイロン島の占領やインド国民軍の支援を行った。

セイロン島の飛行場は拡張されていき、インドに対する夜間空襲の一大拠点となっていった。



1944年11月。日本海軍は紅海沿岸のイギリス軍へ夜間空爆を開始した。

昼間の戦闘は避け、魔法や技能を活かした夜間空襲に徹し、イギリス軍拠点を丁寧に潰していったのであった。


紅海沿岸部への夜間空襲には、新たに就役した雲龍型空母も3隻参加し、太平洋方面の小型空母も数隻合流し参加していた。

金剛型戦艦2隻もこれに合流し、沿岸部攻撃に加わった。



12月にはエジプトへの夜間攻撃が始まり、現地の反英勢力には武器弾薬の支援が行われた。


日本軍はインド・アフリカ・アラビア方面では、現地の反英勢力を支援しイギリス軍と戦わせ、島嶼以外では航空支援ばかりを行ってきた。

しかし、スエズ運河を確保するには直接手を下さざるを得ず、現状の日本陸軍の全力を投入する事になった。


とはいえやる事は変わらず、航空支援の下で橋頭堡を確保して飛行場を建設し、夜間空襲を強化してイギリス軍の航空戦力を低下させていき、異能兵が先陣を切って占領地を広げていったのである。

スエズ運河を中心に占領地を広げ、現地の反英勢力とも共闘し、カイロとアレキサンドリアを確保したのである。


スエズ運河の安全が確保され、日本軍はエジプトからイギリス軍を排除する戦いに協力していった。

エジプトの統治は現地の独立勢力に任せ、日本はスエズ運河の復旧に注力していくのだった。



1945年1月。インドは独立を宣言した。

既にインド国内での兵器生産も始まり、軍隊も日増しに増強されていて、独立を実力で維持する態勢を整えつつあった。


東南アジアの各地も独立し、現地で兵器生産が始まっており、独自の軍隊を持つに至っていた。

武力は政治的発言力でもあるため、日本の影響力も下がっていった。


日本は東南アジアから駐留軍を大幅に減らし、復員させる事にしたのであった。


大東亜共栄圏を支えるために起きた、好景気と深刻な人手不足。それに伴う中国人の浸透や躍進は、日本に危機感を持たせた。

このままでは中国人に美味しいところを持っていかれてしまいかねず、日本は大東亜共栄圏を建前ではなく本物にする決断を下したのであった。


ともあれ、オーストラリアは中立を宣言し、インドが独立を宣言し、スエズ運河が日本の手に落ちた段階で、イギリスでは遂に政権交代が起きてしまったのである。

イギリスの新政権は枢軸との単独講和交渉に入るも、その間にインドは軍事的自立を達成し、ニューデリーも陥落間近となっていた。



1945年3月。イギリスは遂に連合国を離脱し、中立を宣言した。

枢軸はこれを歓迎し、イギリス連邦が担当していた戦場では休戦状態となり、イギリス連邦の軍隊は撤退していった。


イギリスとの講和が成立するまでの間に、インドではインド軍がニューデリーを占領し、インドは完全独立を果たした。


かつて歴史上最大の版図を築いた大英帝国は、国力を大きく落とす事になってしまったのである。


あとはアメリカと講和すれば、日本は戦争を終わらせられ、伸張著しい中国人との経済競争に注力できるのである。

しかし、アメリカは講和に応じる気配はなく、日本は戦争終結への道を模索する事になるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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